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タカラモノ/佇む九月
月明かり踏んで
帰った道
影は紫
雲は薄墨
引き伸ばした
星明かり
繋いで
思い出
跨いで
どこに帰ろう
鼻唄が
つづく範囲の
ご機嫌
耳鳴りに似た
虫の音の
織り成す
さざ波
久し振りのようで
夜は
新しくさびしい
アスファルトは銀
外灯は薄緑
点滅する
飛行機を追って
なぞる指先
私を
見返す星に
辿り着くよう
祈りながら
風と
風との
合間にいたのに
吹き抜けたのは
どこなのだろう
隙間だらけの
ささやかな日々
明かりは
どこからも
漏れてしまうから
蓋をするよう
突っ込んだ
両手
暗闇は
いつだって
ポケットの中