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異世界無双の召喚者 ~無限に使える召喚術が普通に異世界最強でした~  作者: 風来山


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41.召喚者、ドワーフたちに技術を伝授する

 アキトたちは、今日は冒険はお休みということで、ミスリルの丘にやってきた。

 何か残してやろうと考えたのだが、みんなの道具を作れるドワーフたちに技術を教えてあげるのが一番いいだろうと考えたのだ。


 オークたちに荒らされていたマール村の復興も急ピッチで進んでいて、ミスリルの丘の解放者であるアキトは、村のみんなから称えられた。

 村長の息子であるマールが、代表で挨拶する。


「アキトさん! 今日はマール村に来てくださってありがとうございます。いつでもいらしてください。村人総出で歓迎しますよ」

「ありがとう。これは、みんなにお土産だからあとで食べてくれ」


 せっかくドラゴンステーキが余ってるのだから、焼肉屋アキトでドラゴンステーキ丼にしてもらってみんなに弁当として持ってきたのだ。


「こんな物まで、ろくにお礼もできてないのにありがとうございます!」

「いや、ミスリルの塊は役に立ったよ」


「いつでも言ってくださいね。銅とミスリルなら、それこそ売れるぐらいありますからお渡しできます」


 それは、生産性を向上させるモチベーションも湧くというものだな。


「今日は採掘所の手伝いに来たつもりなんだが、村の復興もまだまだのようだな」

「そうですね。村を取り戻して日にちが経ってませんから」


 廃墟となった村を住処にしていたオークたちだが、荒れ放題に荒らしてボロボロになっているようだ。

 建物のほとんどは、建て直すしかない状態で村の元住人を全員呼び戻すには、まだまだ日数がかかりそうだということだ。


 ふと、召喚で建物ごと出したらどうだろうと考えたが、さすがにそうするとお金が足りるかどうかわからない。


「スライン。何かいいアイデアはないか」


 困った時の賢者スライムだと思って、スラインに相談してみた。


「建設ならおまかせください。木材は馴染みの森から取ってくればよろしいのですよね」

「それはそうらしいんだが、スライムに大工仕事の真似事などできるものなのか」


「真似事ではありませんよ。我々がなぜ便利スライムと呼ばれているのか、あるじさまにお見せする時が来ました! みんな張り切って働くのだぞ!」


 司令塔であるスラインがそう叫ぶと、どんどんと出てきたスライムたちが集まって叫んだ。


「「「「けんせつー!」」」」」


 こうして、世にも珍しいスライムによる建築作業が始まった。

 ここで役立ったのが、ワイルドの谷で生まれたワイルドドラゴンスライムである。


 ワイルドドラゴンの力を持った大型のスライムは、ズドン! ズドン! と馴染みの森の木をなぎ倒す。

 丸太を、ワイルドウルフスライムがすごいスピードで村まで引きずってきた。


「スライン、俺に手伝えることはないか」

「あるじさま、いささか大工道具が足りないようなのでお願いします」


 それぐらいならお安い御用だと、俺は大工道具をたっぷりと召喚する。

 トントンカンカン、他のスライムたちは小さい手で器用にそれを建材へと変えていく。


 どうやら便利スライムは、大工仕事が全員できるようだ。


「むらー」

「このスライムは、なんて言ったんだ?」


「元あった村と同じ建築様式でいいのかと言ってるのですが、どうでしょう。空き地はたくさんありますし、ここは更に立派な村を建造しませんか」


 スラインは、さらさらと図面を引いてくる。


「なるほど、真ん中に広場があって、ログハウス風の家が建ち並ぶのか」

「せっかくの丸太ですし、元の素材の風合いを活かしたデザインにしてみました」


「マールくん。村長の息子としてはどう思う?」

「え、ああ……素晴らしいと思います。もうなんというか、スライムさんたちが働いてるのを見てるだけで僕たちはビックリしてしまって」


 建物は、雨風がしのげればとりあえずなんでもいいとマールたちは言う。


「ではこの素案でいいわけですね。そうと決まれば話が早い。すぐに建設に取り掛かります!」


 張り切ったスラインたちは、超高速でログハウスを建て始めた。

 丸太を運んできて木材にするのも平行で行われている、完全な流れ作業だ。


 あれよあれよという間にマール村の復興は完了し、それと同じ形の村が二つできたところでマールがストップをかけた。


「アキトさん。もう十分です! 元の村より建物が多くなってますよ!」

「そうか。スライムたち、ご苦労だったな」


 スライムたちは、満足そうに仕事を終えた。


「アキトさん、ありがとうございました!」

「いや、俺は大工道具を出したぐらいだからなあ。スライムたちにお礼を言ってやってくれ」


 マールたち村人にお礼を言われると、スライムたちはぷるぷると嬉しそうにしていた。


「あるじさま。私達も久しぶりに便利スライムらしい仕事ができて、嬉しゅうございました」

「そうだったよな。お前たちがそういう設定なの、すっかり忘れてたよ」


 スライムたちは、何やら集まって口を揃えて合唱する。


「「「「いどー!」」」」


「なるほど」

「どういうことだスライン」


「水場が足りないので井戸を掘ってはどうかと言ってますね。材料になりそうな木や石などはこの辺りにはいくらでもありますから」

「マールくんどうする?」


「お願いできればと……」

「なるほど、それじゃあ俺は採掘所の方を見てくるからよろしく頼む」


 スラインたちは、これから井戸の建設と村に柵を作ったり、建物中の細かい仕上げをするそうだ。

 その間に、アキトは当初の目的であるドワーフたちが働く採掘所を見に行く。


「英雄殿、よくぞいらしてくれた。この間、頼まれたミスリルの爪。できておるぞ」


 ドワーフたちがそう誇らしげに言う。

 ああ、そういやテトラの武器を頼んだなあと思い出した。


 実は頼んでおいて忘れていたとは、ちょっと言えない。


「よし、テトラ。これを装備しておいてくれ」

「おお、これはすごいのだ。ありがとうなのだ!」


 同時にミスリルの剣も渡してくる。


「これは?」

「ミスリルがまだあったからのう。召喚術師であるアキト殿にはいらんとも思ったんじゃが、腰の飾りじゃと思って受け取ってくれ」


 ふむ、まあもらっておいたら何かの役に立つかもしれない。


「それと、この前のオリハルコンでも武器や防具を作ってもええぞ」

「あれは、そっちの取り分なんだけどね」


 一緒に掘りにいったのだから、山分けするのは当然だ。


「ワシらは、オリハルコンを掘り出した記念にちょっともらえば十分じゃからな」

「そうか。じゃあ、同じ爪を作るというのも芸がないので、防具を作ってもらうのもいいかもなあ」


「あるじ、動きにくいのは困るのだ」

「ああ、そうだよね。じゃあ、篭手とかすね当てとか、要所要所を守る感じの防具を頼めるかな」


「ワシらに任せておいてくれ。最高の防具を作ってみせるわい」

「それはそうと、今日はこの採掘所の効率化のためにきたんだ」


「この前の電動削岩機を使うのに、電気というのがいるという話じゃったな」

「どうせだったら、採掘所に大型のものを置いておこうと思ってね」


 ソーラーでも充電できるタイプの発動発電機を召喚する。

 エンジンを動かす燃料の軽油はすぐ尽きてしまうだろうが、これなら太陽光があればソーラーパネルが壊れるまでは使える。


「なるほど、太陽光のエネルギーを貯めるのか。電気というのは魔法みたいな仕組みなのじゃな」

「詳しくはいろいろとあるんだろうけど、俺は技術者じゃないからそういう理解だな。あとは、道具を知りたいって言ってたでしょう」


 続いて、スコップや猫車、農地の開拓で使えそうなものを召喚する。

 農機具も、鍬や鋤などどれがこの世界にあってないのかわからないので、一通りセットでだす。


「おお、これは凄い」

「これをサンプルに作ってみたらどうかな」


 アキトが出した道具を、調べ始めるドワーフたち。

 鉄で出来てるなとひと目で見抜く。


「アキト殿のおかげでワイルドの谷が平和になったからの。オリハルコン山の麓で鉄も掘れるから、作るのは可能じゃぞ」

「この車輪についてるゴムというのも、自分たちで作れればええんじゃがの」


「さすがに、ゴムの木は高温多湿じゃないと育たないだろうからどうだろう。とりあえずビニールハウスと一緒に出してみるよ」


 上手く温度や湿度を調整できれば育つかもしれない。

 生育しているハウスごとまとめて召喚してみる。


「おお、これがゴムの木なのじゃな」

「建物もすごいぞ。なるほど、これも太陽の光でハウスの中を温めるようになってるんじゃな」


 この際だから、大盤振る舞いだ。

 高温多湿なら火山の地熱で温めればどうかなどと、ドワーフたちは相談している。


「物はついでだ。他に困りごとはないか」

「うーむ。実は、ワイルドの谷の近くで鉄の採掘所を作ろうとしてるんじゃが、どうしても割れない岩盤があって困っておるのじゃ」


 なるほど、では次はそれを解決しにいくことにしよう。

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