21.召喚者、オークから村を取り戻す。
ミスリルの丘の中央にある採掘所とマール村のあった場所に向かって、アキトたちはずんずんと進んでいく。
「いくら竜殺しのアキトさんでも危ないですって、村はオークの巣窟になってるんですよ!」
アキトの作戦は簡単だった。
敵の巣窟に突っ込んでいって、敵を全部引きつけてから一網打尽にして倒す。
魔術師のエマは、その作戦の無茶苦茶さに驚いて悲鳴をあげる。
だが、危ないと忠告してもアキトたちは構わずに前に進んでいく。
オークの数はどんどん増えているが、その全てをテトラが倒しているようだ。
「マールどうするんじゃ?」
ドワーフたちは、マールに聞く。
最年少でFランク剣士に過ぎないマールだが、誰よりも情熱があるのは彼だ。
「アキトさんを信じて一緒に行こう。僕たちの村を取り戻す戦いで、僕たちがいかないでどうするんだ!」
すでに覚悟は決まっているマールが進むのを見て、ドワーフたちも苦笑いしてついていく。
無謀だが情熱にあふれ、応援したくなる少年なのだ。
「もう、私はどうなっても知らないからね!」
そう言いながらも、マールたちが心配でたまらないエマも、魔術師の杖を構えて警戒しながら進む。
村があった丘の上に近づくに連れて、オークの数がどんどん増えてくる。
「ブオオオオオオオウ!」
豚というよりは、猪に近い凶暴な鳴き声を上げて、オークが襲い来る。
村は、オークたちが大量に住む巣窟になっている様子で、そこからどんどん武器を持ったオークがなだれ込んでくる。
その突撃は、まさに猪突猛進の勢いだ。
すでに先頭を行くテトラだけでは、さばききれない数になっている。
「テトラ、前を代われ」
アキトは、空間収納からこの前手に入れたライフルを取り出して、無造作に引き金を引く。
ダダダダダダッ!
群れになって押し寄せるオークに向かって、水平に銃撃を浴びせた。
「え、なに……」
「あれがアキトさんの魔法か?」
前面で群れをなして襲ってきたオークたちが、バタバタと倒れた。
それは一瞬のことで、殺されたオークたちですらなんで自分が死んだのかもわからなかっただろう。
生き残ったオークたちも、突然仲間が倒れて混乱して右往左往している。
攻撃する隙ができた。
ダダダダダダッ!
乾いた銃声を響かせて、アキトはゆっくりと乱射しながら前に進んだ。
なにせ周り中が敵なのだ。
当たるを幸いに撃ちまくる!
そのたびに、数十匹のオークが悲鳴を上げながら一気に銃弾になぎ倒される。
「あ、アキトさん。大丈夫なんですか!」
熱血漢のマールですら心配して尋ねるのに、弾倉を交換しながらアキトは笑って答える。
「さすがにこの数はきついかもな。だけど、もうちょっと敵を引きつけたい」
「そういう作戦ですね! わかりました。僕たちもいきます! みんな、せめて敵を引きつける役割くらいするぞ!」
囮になろうというのか、マールたちオークスレイヤー団はアキトの右側に陣を張った。
採掘所や村からぞろぞろ出てくるオークたちは仲間がなぎ倒されてちょっと困惑したものの、後から後から無数に湧いてくるのですぐ戦線を立て直して迫ってくる。
「ちょっとマールたちは、まずいかな」
ゴブリンよりちょっと多いくらいの感覚できたんだが、アキトの予想よりもオークの数はずっと多い。
迫ってくるオークの中に、体格の大きく知能も高い指揮官クラスのオークリーダーやオークジェネラルも交じり始めた。
一体何千匹いるんだ、もしかすると一万超えてたりするか。
アキトや俊敏なテトラは心配ないだろうが、マールたちは心配だ。
その分、いい囮になってくれてはいるとも言えるんだが……。
アキトの心配を見越したように、賢者スライムが言う。
「あるじさま。私におまかせください」
「スライン。なにか策でもあるのか」
「最強賢者スライムですので、すぐ助けてきます!」
作戦があるんじゃなくて、普通に戦うのか。
賢者要素どこにいったという感じではあるが、スラインは普通に強かった。
魔術師のエマが杖から出してるファイヤーボールを、一気に十発づつ撃っている。
回復スライムも「ホワイトーホワイトー」と謎の掛け声で回復サポートしているので、あっちは心配ないだろう。
「あるじ、あれは!」
テトラが叫ぶ。
「わかってる! ゴブリンロードと一緒の展開だからな」
村からでかいのがぬっと姿を現した。
膨れ上がった肉の塊のような巨大なオークロード。
それが、一体ではなく三体ぐらい見える。
あいつらが、この莫大な数の群れの司令官なのだろう。
ボスが出てきたということは、向こうが本気を出したということか。
ちょうどいいタイミングだ。
「そろそろいいか。みんな、爆発を合図に引くぞ!」
「爆発!?」
オークスレイヤー団が、そのアキトの不穏な言葉を一斉に聞き返したところで、アキトが放り投げた手榴弾が前面のオークに炸裂した。





