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吸血鬼の慟哭  作者: 不田 颯奈夜
第一章
3/24

part2

 ノープラン一人リレー小説(←)、第一章part2、書き上げました。約1000文字。

 投稿間隔は分かりませんが、約1000文字毎に投稿して行こうと思います。

 完結まで時間が大分掛かりそうな気もしますがごゆるりとお楽しみ下さい。

 次回か次々回くらいから話はメインに入って行くかな、多分。

 御医者様は

“おかえりなさい”

と私を迎えた。そして、

“今日もお疲れ様。そして疲れて居る所悪いが、夕御飯を作って呉れるかい?”

と私に声を掛けた。

 私も勿論其の積もりだったので、母の御粥と、御医者様と私の簡単な料理を作る。

 今日も三人で食事を済ますが、常と違う点が未だ在った。

 母の食事のペースが明らかに遅かった。

 何とか完食した様だが、見ると顔色も常以上に悪い。

 体調が普段より悪いのは当然。然し、目に見えて常より辛そうだった。

 私は御医者様に母の病状を訊いた。御医者様は常の如く、

“心配する必要は無いよ”

と言った。

 其れは嘘だ。素人の私にも判る。母は常の状態より酷い。

“本当に御母さんの身体は大丈夫なの?”

 私は御医者様に問い直した。御医者様は渋い顔をして黙りこくった。

“ねぇ、御医者様、正直に答えて下さい。私ですら御母さんの体調が何時もより悪いのは見れば判ります。御医者様、お願いです。本当の事を話して下さい”

 私は懇願した。其の気持ちに押されてか、御医者様は重い口を開いて呉れた。

“分かった、正直に話そう。御母さんの容態は極めて悪い。原因は分からないが、何時もより遥かに身体が弱く為って居る。言い辛いが、何時亡くなっても可笑しくない位に”

 母が、何時死んでも可笑しくない……其の言葉は、私の後頭部を思い切り打ち付けた。

 女手一つで私を育てて呉れた母が、私の唯一の肉親が、死ぬ。信じられない。信じたくない。頭が理解を拒もうとする。然し、拒み切れない。其の事実を受け入れるしか無かった。私はパニックに陥った。

“落ち着きなさい。未だ亡くなると決まった訳ではない。御母さんが気力で持ち直す事だって十分に考えられる。人が何時亡くなるかなんて誰にも分からないのだから。屹度御母さんは良く為る。御母さんを信じなさい”

 御医者様が私を宥める。然し、尚も落ち着かない私を見て、

“暫く私は此の家に通って御母さんの看病をしよう。だから安心しなさい”

と言って呉れた。そうだ、御医者様が母をずっと看て居て呉れるなら安心だ。

“分かりました。御願いします、御医者様”

 私は母を御医者様に頼む事にした。御医者様に頼めば、屹度母は死なない。そう思った。

 そして其の日は御医者様は帰った。

 其の後、私は働きに母の職場へ、御医者様は母の看病の為に我が家に通う毎日が続いた。

 ――事態は、少しずつ進行して居た。


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