表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真名解放の奴隷使い  作者: レルクス
責任の方位磁石編
15/200

第十五話

 ミーティアを連れて上がった時、まあ、案の定と言うか二人には驚かれたが、まあそんなことは知らない。

 ラシェスタの店員に聞いた話だが、南に方で何かあったらしい。

 ザナークル王国は、まず中央に『首都ザナークル』がある。国名と首都名が同じと言うのはこの世界でも珍しいが、まあ、それは今はいいとして。

 ザナークルから東に向かってかなり進むと、ミーティアとヨシュアを買った町、『エルーサ』がある。ちなみに商業都市のようだ。

 ザナークルから北に向かって少し進むと、荒川が散々暴れたと推測される村、『テリリアル』がある。

 では、南には何があるのかと言うと、『バセルーク』と言う町があり、『ザウスフィード帝国』との国境に一番近い町らしい。一応、町の中にダンジョンを保有しているようだ。

 もともと周辺の魔物が強い環境らしい。

 そのためか飢餓になっていたものをかなり無理矢理に開拓した部分があるようだ。

 それも、町が出来たのはここ数年のことのようだ。


「一体何があったんだか……」


 ミチヤは馬車で考えていた。

 バセルークはダンジョンを保有しているし、その分防衛もしっかりしているようには思う。

 ただ、ザナークルも税金はかなり高い設定だったが、バセルークもかなり高いらしい。

 そして、なんというか、勇者たちがかかわっている気がするのだ。


「マスター。町で聞いていた情報をまとめると、バセルークでの税金から考えると、そこにいる人の生活費は、ザナークルで過ごすよりも倍近くかかる」


 ヨシュアがPCを見ながら言った。


「そりゃすごいな。なんでそんなに税金がかかるんだ?」


 まあ、イナーセルでもさすがに分からないか。


「王国と帝国って言うのはなかなか相いれない部分も多いだろう。そう考えるなら、町を守る常備軍が必要になる。もとより周辺の環境も手強いものなら、その分、環境を対処する必要があるからな。結果的に、戦力を動かすのに金がかかっているんだろう。その分税金が重いんだ」

「私もミチヤ様の考えには賛成です。そこに、勇者と言う存在。関係は深いでしょう。もしくは当事者の可能性もあります」

「まあ、すでに向かっていた勇者はザナークルに戻っているみたいだけどな。エルーサから直行してきているから知らんけど」


 ミーティアの賛成にぶっきらぼうに答えて、ミチヤは再度考える。

 ちなみに、ミチヤ様というのはミーティアだけだ。どうでもいいけど。


「まあ、街に近くなってきたらわかると思うがな」


 ミチヤは言いながらも考える。

 なにかはあったのだろう。

 臨機応変に対応するのは必要だが、ミチヤは、海道たちが向かったと推測している。

 その時点で、なんとなく状況は分かっていた。


「なあマスター。マスターは何となく状況をわかってるんじゃないか?」

「推測ができないわけではないな。そろそろ到着する。そこから考え直そう。まあ推測のなかでのキーワードがあるとするなら、『情報力皆無の正義感』って感じだな」


 イナーセルは分かっていないようだ。

 ヨシュアはなんとなく分かっている。

 ミーティアは道也とほぼ同等のことを考えているだろう。


「見えたぞ」


 バセルークに到着した。

 門番がいる。


「この門を通りたいのなら、通行料として一人につき銀貨八十枚だ」


 高圧的とも取れるが、事務的とも言える。鎧を着ていても、ヘルムの奥に焦りがあるのは分かる。

 一人で銀貨八十枚。四人だから、金貨三枚。銀貨二十枚か。


「なんか通行料にしては高くないか?」

「イナーセル。ここは考えずに普通に払うぞ」


 ミチヤは言われた金額を取り出して、兵士に渡した。


「あんたも大変だな」

「ああ……すまないな」


 これが、勇者が通った後の町か。全く。 

 さて、入ったわけだが、空気が重いな。

 何と言うか、疲れ切っている雰囲気が強い。


「宿に行くか」

「馬車の方が寝心地よさそうじゃね?」

「現場のことをちゃんとわかるようにするためだ」


 で、分かったことだが。

 まず、バセルークは重税だ。これはすでに分かっていたことである。宿代もすごく高かった。

 しかし、重税は必要だったとも言えるだろう。

 民あって国が成り立つというが、国がなければ民は護れない。

 重税はその護るために行われるものだったということだ。

 そして、勇者がこの町を訪れた。

 いや、厳密には、町の発展速度が乏しいので、原因の発見と解決のために勇者が来たらしい。

 おそらく、海道たちだ。

 で、勇者はまずバセルークに入って、発見した子供たちに聞いて、重税に苦しんでいるということを海道は聞いた。

 正義感の強い海道だ。重税をとる町長を許すはずはないだろうし、大人よりも泣いている子供の言葉しか聞こえない思考回路だ。

 海道の思考回路では、人を傷つけることはまず無理だろう。

 町長は失脚されたか、まあどのような形であれ、町長を今はやっていないはずだ。

 それで重税がなくなり、町に活力が戻るのならいい。

 しかし、重税をとってもギリギリだった町の運営で、重税を解いたらどうなるか。

 後に待っているのは無法地帯だ。

 まだ、そこまで時間がたっていないから大きなことは起こっておらず、かなりわかりにくいが、小さな騒動はたくさん発生しているはずだ。

 そして、行きつく先は何があるか。

 元の運営方法に戻るに決まっている。

 ただし、こんな町を、力及ばずながら運営していた町長はかなり優秀だったはずだ。

 その町長はもういない。

 重税が無くなると思っていた町民の運動として、重税復活による反発が起こるだろう。

 必要悪、と言う言葉を信じない。

 都合のいいことしか、受け入れられない。

 このまちは、結果的にはそれが分からなかったのだ。


「海道のことだ。重税の理由が『愚王(ぐおう)の独裁』なのか『賢王(けんおう)の苦渋の決断』なのかすら分からず、真っ先に町長を失脚させただろう」

「なんか、すごいんだな。マスターのクラスメイトって」


 今に始まったことではない。

 まあ、日本におけるいじめで、いじめられる側にも悪い部分があると思っているような奴だ。

 全てがそうではないが、日本のいじめの多くは、多くの人間が一人に対していじめをするというものである。

 そうなると、海道の意見では、弱いことが罪になってしまう。

 確かに、弱いことそのものはその先の人生の中でいいものはうまないだろう。

 しかし、海道がすることは、それではないはずだ。

 というか、海道の信じるのは自分の正義……いや、正義と言うよりかは自分が正しいと思っている部分だけなのをミチヤは知っている。

 そもそも、海道は自覚はしていないが、ミチヤを意図的に助けることはない。

 ミチヤはクラスで嫌がらせをよくされる。

 その理由は理由は分かっている。

 クラスメイトにとって一番のアイドルである菊田夏奈が、ミチヤに好意を寄せているからだ。

 というより、普通に好きなのだろう。

 夏奈を優遇したりする思考はないが、フラグはあったと自覚している。

 好意を寄せていることにクラスメイトが気付いているかどうかはともかく、夏奈のミチヤに対する態度と言うか、その部分が他の人間と比べて少々、恋愛的な部分を感じるのはなんとなく分かるだろう。

 夏奈とよく一緒にいる茜はよくわからないが、まあそんな感じで、男子生徒がムッと思う気持ちが分からないわけではない。

 それが原因で嫌がらせをしてくるのに対しては、器の小ささに引いたものだが、見限るのに苦労しないので今はそれはいい。

 ミチヤは一度、嫌がらせをしてくるタイミングと場所を誘導して、海道によく見える位置でそれを発生させたことがある。

 海道の反応は、反射的にミチヤから目を逸らした。

 ミチヤも、その時初めて、海道正哉と言う人間を理解したが、まあそんな理由で、ここまでの推測が出来たのである。


「っていうか、マスターって、そのクラスメイトの女の子が自分のことが好きだってこと、知っているんだな」

「俺は起こっていることを疑うことも現実逃避もしない主義だ。いや、たまにするけど。まあ、人の好意が分からないわけではないよ」

「マスター。罪深い男」

「ミチヤ様……」


 まあ、今は俺個人の話はいいのだ。

 問題は、この町をどうするかである。

 ここまで来て言うのもなんだが、あまり大きなことはしたくないのだがなぁ。

 また考え始めるミチヤである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ