運命の"ジョブ鑑定の儀"
蒼河遥です。
本作に目を留めていただき、本当にありがとうございます!
本作は第2作目の小説になります。
主人公アルフレッドが運命に翻弄されながらも、廃ゲーマー転生者・ユウマと出会い、この世界を救っていく・・・
そんな物語となっていきます。
まずはアルフレッドの「運命の日」から始まります。
よろしければ、アル・ユウマの2人の物語にお付き合いください。
「エイッ!ヤァーッ!」
「ほらっ、アル坊ちゃん、脇が甘いですよっ!」
「バルト、まだまだダァーっ!」
「隙ありです、坊ちゃんっ!」
「がぁーっ!痛ってぇ~っ!」
「ははは、坊ちゃん、惜しかったですな!」
「くっそぉ~!」
「あぁ~兄さま、残念だったのです~」
「ごめんなぁ、フィオナ~。また負けちまったぜぇ~」
「ハハハ、アル坊ちゃん、私に勝とうなんて10年早いですぞ!」
オレの名はアルフレッド・・・・アルフレッド・ヴァン・ハールト。
ヴァン・ハールト公爵家の三男坊だ。
この日オレは、誕生日を迎えて14歳になったばかり。
そしてこの日も早朝から、剣の稽古だ!
オレは子供の頃から剣と魔法の天才と呼ばれ、
8年前、その資質を見抜いた親父が、
オレの剣の師匠として、ヴァン・ハールト領 騎士団第一隊長のバルトを、
そして魔法の師匠として、同領 魔法士団のエース・エルマを付けてくれた。
毎朝バルトが、オレに剣の指南をしてくれた後、
次はエルマが魔法の指南をしてくれることになっている。
でもバルトによる剣の稽古はなかなか厳しく、
最初は朝からずっと素振りで始まったその稽古だったけど、
オレの腕もメキメキ上達し、最近では街の外に出て魔物と戦ったり、
さっきのようなバルトとの手合わせが増えてきている。
彼もオレの上達ぶりを、少しは認めてくれたってことなのかもしれない。
とはいえ、バルトの剣は、ハッキリ言って滅茶苦茶凄い!
騎士団の中でもダントツの実力で、オレがどんなに剣の腕前を上げても、
14歳の子供が、マトモに戦って勝てる相手ではなかったんだ。
ということで、今朝の手合いも、オレはバルトに散々打ちのめされてしまうハメに・・・
そして、この後はエルマによる魔法の稽古。
エルマは魔法士団のエースと呼ばれる人なんだけど、
呑み込みの早いオレに対して、とても熱心に魔法を教えてくれる。
お陰で、オレはこの歳で、既に中級魔法まで習得している魔法属性もあるほどだった。
一方・・・
オレの家、ヴァン・ハールト公爵家は、ゼーラント公国の名門。
代々、我が公爵家の人間は、公国魔道士団の要職に就く慣わしとなっていて、
オレの親父・ギルバートも、その例に漏れず同団の団長を務めている。
更には、オレの2人の兄達も、既に魔道士団に入団しており、
現在22歳の長男ラインハルトは、剣と魔道の双方に精通していて、
何れは親父の跡を継いで団長になると見られている。
次男で18歳のルードヴィッヒも魔道にとても精通しており、
親父や長男ラインハルトを力強くサポートしていた。
ただ、この2人の兄貴は、昔から、なぜかオレには冷たい。
特に嫌われるようなことをした覚えは無いんだけど・・・
「アル、今日の午後は"ジョブ鑑定の儀"だったよな?」
「あぁ、ルード兄貴」
魔法の稽古が終わる頃、庭の脇の通路を通りかかった
次男のルードヴィッヒが、オレにそんな言葉を投げかけてくる。
そう・・・
今日はオレにとって運命の日。
"ジョブ鑑定の儀"が行われることになっていた。
オレの生まれたゼーラント公国では、全ての子供達に対して、
14歳の誕生日にジョブ鑑定を行う決まりとなっている。
そのキッカケとなったのは、公国魔道大学による80年前の研究報告書。
その報告によると、この世界で、人のジョブ適性というものは、
14歳までに、その能力が固定される・・・
そんな結論が出されたからだ。
その報告を受けた当時の公王と、国の中枢の奴らが、
"ジョブ鑑定の儀"という儀式を考案して、
それを全ての子供達への義務としたらしい。
迷惑な話だよな。。
そんな中、一般の子達は、街の教会でその儀が行われ、
オレのような貴族は、教会の高名な司教・司祭などを
自宅に呼んで行われることが一般的だった。
でもって・・・
14歳を迎えた今日の午後、オレはその儀式を受けることになっていたんだ。
我が公爵家は魔道士団の家系・・・
だから魔法系のジョブ・・・
その中でも、特にその上位職が望まれている。
因みに、2人の兄貴は、攻撃系魔法の中位職「精霊魔道士」のジョブ持ちで、
その中でも長兄ラインハルトは炎と風魔法が得意で、
次男ルードヴィッヒは水と土魔法が得意だった。
対して姉貴は、回復・強化系魔法が使える治癒士系の中位職
「光魔道士」のジョブ持ちとなっていた。
なお親父に至っては、魔道士の上位職「魔導師」というジョブの持ち主で、
この国の魔道士の中でもトップクラスの実力者なんだ。
そして、子供の頃から魔法と剣の才能を発揮してきたオレは、
当然、親父と同じ上位職「魔導師」を期待されていた訳なんだが・・・
「ではこれから、アルフレッド・ヴァン・ハールト殿の
"ジョブ鑑定の儀"を始めていきましょう。」
「ノイマン大司教、よろしくお願いします」
午後1時・・・
オレの運命の儀式が始まっていく。
因みに今日、オレの"ジョブ鑑定の儀"を行うのは、
公国教会の大司教のマルクス・フォン・ノイマン氏。
2人の兄貴や姉貴の鑑定をおこなったのも、この人らしい。
今、屋敷の広間には、
親父とお袋、そして2人の兄貴と、姉貴、妹の家族全員が揃い、
オレの鑑定結果を見守ろうとしていた。
その一方、オレはこの鑑定の儀に、若干の不安があった。
オレ自身、勿論、魔法が得意だったんだけど、ただ、同時に剣も得意だったため、
もしかしたら剣士系のジョブになるんじゃないか?
そんな心配があったんだ。
世の中的には、"剣士"系の需要はとても高いんだけど、
我が公爵家に、それは通用しない。
1人の人間に与えられるジョブは1つ。
とは言え、この世の中には、戦闘系や生産系のジョブ持ちでも魔法が使えたり、
その逆もあったりと、不可解なこともあるらしい。
その辺りの原因って、未だに解明されていないそうなんだ。
"魔道士系"・・・
できれば、魔道士の中位職か上位職を・・・
オレは心の中で、必死に念じながらも、
一方で、"ジョブ鑑定の儀"は淡々と進められていったんだ。
「それでは鑑定してきます・・・」
「大司教、宜しくお願いします」
目の前のテーブルに置かれた大きな水晶玉。
オレは大司教に促されるまま、そこへ両手を添えていく。
緊張の瞬間・・・
オレは心臓がバクバク鳴るのを感じながら、その水晶を凝視する。
一瞬の間の後、水晶が明るく光り出すのが分かった。
そして・・・
「アルフレッド・ヴァン・ハールト殿の鑑定結果は・・・・」
"ゴクリ・・・"
オレは緊張のあまり、喉がカラカラ。
唾を飲み込む音が周囲に響いていく。
第1話を読んでいただき、ありがとうございました!
いよいよアルフレッドの「ジョブ鑑定の儀」が始まりましたね。
果たしてアルフレッドに与えられるジョブとは……?
次話から物語が大きく動き始めます。
引き続き読んでいただけると嬉しいです!




