ホワイトハッカー
『次のニュースです』
テレビをダラダラ流しながら、私は炭酸水を飲んでいた。
朝、連絡が来た。なんでも警察庁のサーバかハッキングされたらしい。
休みだったけど、休日出勤。私はシステムの点検。まず、外部に流出したデータの確認。……特に問題はなさそうだ。
それはそうだろう。
ーーこのデータをハッキングするようにけしかけたの、私なのだから。
私の算段はこうだ。
まず、警察庁のデータをハッキングさせる。それだけだと普通に危ないが、話はそれからだ。そのデータを手に入れた人物の個人情報を【逆に】取り込む。私たち、企業が欲しいのは、【優秀なホワイトハッカー】なのだ。
私たち警察庁側は、ハッキングした犯人の個人情報を手に入れている。つまり、相手に拒否権はない。
「おーおーすごいな? まだ高校生じゃん。青田買いだなぁ」
ひとりつぶやきながら、私は犯人であるハッカーひとりにショートメッセージを送る。
『はろー。サイバー警察なんだけど、キミをホワイトハッカーとして雇いたい。どうかな?』
5分待つと、既読がつく。私は再度たたみかける。
『高校生なのに前科がつくのと、国のために働くの、どちらがいいかなんて聞かなくてもわかるでしょ?』
またしばらく待つ。いいよ、きちんと考えな。って、私がキミにハッキングさせるよう仕組んだんだし。
『ネット上の彼女にいいかっこするためだけにハッキングするなよ』
……うん、そのネット上の彼女がまさかサイバー警察官とは思わないよね。
ごめん。どうしても私は、優秀なキミが欲しかったんだ。まぁ、ハニトラみたいなものだろうか?
私たちはキミみたいなホワイトハッカーが欲しい。
時計の針が夜の0時を回ったとき。
「っ!」
短くメッセージ。
『……よろしく』
おーおー、また悪い大人に騙されるなよ。私は腹の内でつぶやいた。




