〜 6 ラドニスの朝 〜
「ラドニス、明日から三日の間、野営の訓練をしたいのだが、良いかな」
「勿論、喜んで参ります」
「では仕度を頼む。テントと毛布、食料をラパにつけていて欲しい」
「わかりました。楽しみです」
「あなた、ラドニス君、お昼にしましょう」
フィムだった。多分宝石職人のベルベリーが、あの後訪ねたのだろう。手にはパンの包みを持っていた。
「有難う、すぐに行くよ」
次の日の朝方、ラドニスは厩舎へ行き、野営の仕度をする予定だった。しかし、私が朝早くに厩舎へ出向いた時には、まだ誰もいなかった。
「ラドニス、起きているか?」
私はそう言って、ドアをノックした。
「……神さま、どうか、母上の命が末長く続きますように……」
ラドニスは、神さまに祈りを捧げていた。
「ラドニス、入るよ」
「先生」
ラドニスの両の眼には、光る粒があった。
「すいません、遅くなってしまって」
「いや、大丈夫だ。母君は病に臥しておられるのか」
「はい。もう余り長くないのかもしれないのです」
「そうか。夏の陽が陰る季節に入ったら、すこし修行に休みを入れよう。十日の間休みにするから、その間に母君にあってくるといい」
私はラドニスの肩に手を置いて、言葉を紡いだ。ラドニスが静かに頷く。
「先生、有難うございます。母上もきっと喜んでくれると存じます」
「……今日は野営に行くが、大丈夫か」
私はラドニスの目を見て、言葉を発した。
「はい、勿論です」
「よし、すぐに仕度を」
「はい」




