11/12
〜 11 楽士ナユッコ 〜
私たちは三日間の野営の旅から我が家に帰ってきた。「光の精霊魔法の習得」という、思いもかけない出来事もあり、ラドニスと私にとって充実した三日間だった。
「あなた、ラドニス君、お帰りなさい。すぐ夕食にしましょう」
「ありがとう。着替えたら、すぐ食堂に向かうよ」
「フィムさん、僕もうお腹ぺこぺこです」
その言葉に、フィムは思わず笑みを零した。
「たくさん食べてね、ラドニス君」
その、夕食の席のことだった。
「あなた、明日ナユッコが遊びに来たいと言っていたわ」
「ナユッコが? 私は構わないが……」
私はナユッコを思い返していた。
楽才にとんだナユッコと出会ったのは、五年前の夏のことだった。音楽会に、若い娘が出演して素晴らしい演奏を披露していたのだ。巧みなリュートの演奏は、その年齢からして驚くべき才能であった。その時に私とナユッコは知り合いとなり、現在も親交があった。時々我が家を訪れては、唄やリュートなどを聞かせてくれるのだった。
「明日はいつ頃くるのかな」
私は、フィムにそう尋ねた。
「お昼の鐘が鳴る頃だと思います」
フィムはそう答えて、スープに手を付けた。




