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そんな夢のような世界です!!

 エリックとの戦いの疲れがあってか、今夜はぐっすりと睡眠が出来た。窓から差し込む淡い光が、朝が来たと伝えてきている。


 「ふぁ~。そろそろ起きるか」


 ぐっと、伸びをしてベットから降りる。カナさんはよく眠っていたと言っていたけど、このベットなら頷ける。

 ちょっとした反発のあるふかふかのベットに、一番寝やすい温度に保たれている布団......これは、人をダメにするベットだ。


 二度寝したい衝動と戦いながらも、ベットを後にする。

 今日はやるべき事が多くある、その為にも早くみんなのところに行かないと。


 階段を降り、ラスボスの部屋へと向かう。

 ここまで来た勇者を、歓迎する豪華な扉が私の目の前にそびえ立つ。それを見ると、私が勇者だった時のことを思い出してしまう。


 毎日毎日、このドアの先にいるラスボスに挑んでは負け続けた思いでの扉でもあり、今は私が居るべき場所だ。

 三メートル以上の大きな扉を開き、中へと入る。


 すると、すでに皆が揃っていた。

 そしてローエンが5人の代表として言葉を言う。


 「おはようございます。マナ様。早速ですが......」

 「うん、分かってる」


 この部屋にあるのは、大きな檻。エリックを捕まえているものだ。そして、今からミーニャとカナさんに関しての情報を聞き出さないといけない。


 もし、エリックが話さなければ、拷問になってしまうかも知れない......


 「みんな、私とエリックの二人だけで話がしたいの......ちょっと席を外してくれない?」


 私が言った時に反応したのは、セツナだった。


 「でも、マナ様。危険です!!」

 「分かってる。でも、重要な事なんだ......お願い」


 私が質問することは、この世界の常識に関わるかもしれない。だから、この世界の人間に聞かれる訳にはいかなかった。


 そして、まだその場に止まるセツナをリッカが無理矢理連れていく。


 「セツナ、マナ様は大丈夫。だから、いこ?」

 「......うん。分かったよ、お姉ちゃん」


 少し悪いことをしたように思えたけど、仕方ない事だと割りきる。

 そして、全員が出たのを確認してから、話を始める。


 「エリック。私は、カナさんを救いたい。その為にも、ミーニャに関して知っている情報を教えて」

 「一つ、確認だ。カナは......カナは生きてるんだな?」


 いつになく真剣な表情をするエリック。


 「ええ、ミーニャが今はまだ(・・)生きてると言ってた」


 私のその回答に、エリックは少し表情を曇らせる。カナさんが危険であることを隠していても始まらない。


 「エリック。君は、【ブレイバーズストーリー】と言うゲームを知ってる?」


 まず、私が確認したかったのは、エリックがゲームをプレイしている【プレイヤー】なのではないかと言う疑問。

 もしそうならば、私と同じようにミーニャに会っている可能性が高い。


 「知っている。だが、俺は【プレイヤー】じゃない」

 「どういうこと?」

 「......いずれ、分かるときが来る」


 その後、問い返しても真実を言わないようなので、別の質問にすることにした。

 それは、


 「なんで、ミーニャを探してるの?」


 その疑問だ。私の質問に少し固まるエリック。そして、何かを言おうと迷っている素振りを見せ、話始める。


 「この世界の真実を知るためだ。外から来たお前はこの世界をおかしいと思うだろう? だけど、俺はそんな事を思わない。敵が強すぎるのが普通で、何をして来るのか、どんな凶悪なスキルや能力を持ってるのか全く分からない。それが、俺にとっては普通で、お前にとっては”異常”なんだろ? 俺は、そんな所にこの世界の真実が隠されてる気がする。だから、ミーニャに会って真実を知る。それが、俺の生きる意味だ」


 エリックの言っていることは多分正しい。

 戦いとは無縁の世界から来た私にとって、この世界は異常だ。何が起こるか分からない、誰がいつ死んでもおかしくないこの世界を創ったミーニャは、何を目的にこの世界を創ったのだろうか。


 考えてみても全く分からない。

 そして、エリックに聞くべき重大な質問。


 「ミーニャは、一体何者なの?」


 自分の事をこの世界を創った神だといったミーニャ。だが、本当は、そんな事なかったら......そんな疑問が私の中で最大の謎だった。


 「俺が考える限り、ミーニャは......人間だ。推測でしかないが、ミーニャは何らかの能力を使って色々な場所に現れていると考えている。つまり......この世界を創った神は、他に居るんじゃないかと思ってる。俺が話せるのはこれぐらいだな......」


 そう言って、エリックは一息ついていた。そして、何かを思い付いたように手を叩く。


 「ああ、そうだ......冒険者ランクがSになれば、王都の大図書館にあるSランクしか閲覧が許されていない書物が読めるって話を聞いたぞ」


 何でそんな事を言ったんだと思ったが、思い出した。”勇者”は”冒険者”にはなれないんだった。

 と言うことは、まず私がSランク冒険者になってミーニャの手掛かりと、世界の秘密と言うのを調べる事が、私が今出来ることだ。


 「それにしても......何でもこんなに色々な事を話したの?」


 あまりにもエリックが素直に話をするので、つい疑ってしまう。


 「この檻の中じゃどうしようもないし、何より、お前に負けた事がショックでな......カナにしか負けた事が無かったのにな」

 「じゃあ、挑めばいいじゃない。私に勝てるまで、何度でも。私は、いつでも”勇者”と戦う準備ができてるから......いつでもかかってくればいい......あぁ、でも今は忙しいからカナさんを助けた後ならいつでもいいよ」


 私がそう言った途端。エリックが私をしばらく見つめてから楽しそうに笑う。


 「ふっ。やっぱり、お前。カナに似てるよな。見た目もそうだが、何より雰囲気が似てるよ」


 そう言って愉快に笑うエリックを見たのは初めてだった。こんな風に敵も味方も関係なく笑える日が来ればいいのにな......そんな夢みたいな日々が続けばいいのに。


 その為にも、今は頑張らないとね。

 



 ―――マナが目指すSランク冒険者。その冒険者達は、誰もが驚く功績を掲げ、多くの人間から英雄と呼ばれた者達。

 現在のSランク冒険者の数は......たったの3人。


 1日でダンジョン100階層を全てクリアした者。未開の地を発見し、国を作り上げた者。

 そして......魔王を倒した者。

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