作戦10
ゼロツーが先行して上へと登っていく。弾倉は試作品5号と試作品6号に任せて行きつつ2人の力を借りることで一切のクールタイムなしで弾丸を撃ち込み、進むことが出来ていた。
「はぁはぁ・・・んっはぁはぁ・・・」
「ゼロワン・・・一度休む・・・?」
「んっ・・・はぁはぁだ、大丈夫・・・だ・・・」
司を見る事もなく警戒しながらゼロツーが声をかける。
「自称オリジナルの時その状態でどうする。少し休んでから行った方がいい」
「2人に・・・背負ってもふっ!・・・・・・貰ってるから大丈夫だ」
「あのなゼロワン。2人の力を理解していないのなら言わせて貰うが、その子たちは壁を作り出してこちらには攻撃を通させずに向こうに攻撃するには非常に適した力だ。多少の休む時間は取れる」
「さっきみんなが助けてぐふっぐっ・・・・・・ときに十分休めっ・・・た」
「いいから休め命令だ。2人とも頼むぞ」
「了解」
「任された」
2人は腰を下ろしながら司を一度横に寝かせる。肩を大きく上下させる司をまるで自分のように見ている2人に司はどこかで会ったことがあるのか?と感じた。
考えられるとするならボスの家族を蘇生した時のように2人を助けたからだろうか。しかし司は2人を同時に助けた記憶はない。別々になら考えられない事もない。
が、そうだとしたらなぜ審判から話を聞いた後というタイミングで初めてあったのだろうか?それに攻撃する必要だってなかった。
司を助けてくれているというのは言い方を、見る方向を変えればゼロツーたちと同じように自分たちの有用性を示してもう一度あの戦いをしたいということでもありそうだ。
背中のポーチから注射器を取り出し首に撃つ。多少は身体が軽くなった。だが馴染んではいないのでしっかりと休ませる。
2、3分程度だが薬を身体に馴染ませた後、2人に行こうと告げると近くの壁を使って立ち上がりゆっくりと歩き出す。
移動を始めた司のサポートに付くように後を追う2人。
先行していたゼロツーに合流すると、そこで足を止める。
「ここを上がったら自称オリジナルの場所だと思われる。ゼロワン、行けるな?俺はお前の知り合いを止めることに意識を割くからオリジナルからの攻撃は止められないからな」
「分かってる。奴とのタイマンぐらいはしてみせる」
「その意気だ。・・・入るぞ」
扉を開けると散らばるように部屋に入っていく。右にゼロツー左に司、中央に壁を展開しながら試作品5号と試作品6号。
ここまで来る間に私兵は使い切ったまたは必要ないということだろうか。目の前にいたのはオリジナルのみだった。
半壊したパワードスーツの無線機能を使い司とゼロツーは同時に攻撃をかける。
移動しながら竜騎兵を脚部へ同調させて機動力を上げる。
オリジナルは余裕があるのか冷ややかな笑みを浮かべて司を見ている。その余裕が癇癪に触る。小型鉄塊を呼び出すとゼロツーは脇部へ拳を、司は頭部へ鉄塊を振り落とす。
しかし、いや当然というべきか。構えもなしに余裕があるならばそれぐらいは予想出来た。2人の攻撃はトリシュによって阻まれ、その止められた所で矢の攻撃を受ける。
直撃しているわけじゃない。だが遠距離武装を持つものを放置するわけにもいかず、ゼロツーは矢の飛んできた方向へと走る。十中八九瞳さんだろうが、ゼロツーならば殺さず無力化するのは造作もないだろう。それが分かっていたからこそゼロツーもそちらへ走った。
試作品5号試作品6号は司のサポートに入るようにトリシュと司の間に壁を作る。
「すまん助かった!」
首だけを後ろに回し感謝の言葉を飛ばす。
感謝を飛ばすとすぐにトリシュの方を見ながら鉄塊を強く握りしめる。
当てても死なないよな・・・と不安感が司を巡る。心配していたらそれこそトリシュが非難するだろうと考えた司は頭を振り雑念を飛ばす。
今度は横に回りながら近づいていく。トリシュの前に壁が立つことでタイミングだけでもずらす攻撃を始めた。