作戦11
司がトリシュとオリジナルと戦いを始めたと同じ頃、車の中で松長は狭いのにもかかわらずその場をぐるぐると歩きまわっていた。
「行くか・・・行かない方がいいか?」
上司が慌てるのを見て木下はため息を吐く。
「社長が焦っても何も意味ないでしょうが。今戦ってるのは主任たちなんです。私たちはそれをサポートする。これ以上のことなんて出来ませんよ!」
「けど、1度司死にかけてるんだ。確実にその相手より強いのと当たらなきゃいけない以上今度は致命傷だけじゃすまないだろ?だから助けに行きたいが・・・」
「今の行動で精一杯ですよ。私たちの誰かがあそこに行ってみて下さい。それこそ主任が最も困るじゃないですか。それにみんな仕事がなくなるの覚悟でここまで来てるんです。これ以上のサポート出来るなら教えて下さい」
事実この行動さえ社会的に見れば反逆的行為だ。会長グループの一員である松長は自分たちから動くことは難しい。兵器が暴走したということにすることで可能な限り責任追求から逃げる。逃げたいなぁという感じか。
現にこちらから派遣しているのは司のみだ。司と試作品1号は違うということにすることもできない訳じゃない。ゼロツーたちが見たようにゼロワンと司は姿が違う。言い訳には使えないこともない。
「けどよお。やっぱ不安だ・・・撤退のサポートは?」
「これが限界って言ってるでしょうが。信じて待ちましょう」
「ううっ・・・」
歩くことは辞めて座席に座るが心配で手足の震えが止まらない。
「俺がもう動けないなら、あの人に連絡とってもいいか?」
「スネークさんですか?判断は社長に任せます。・・・失礼。主任、突撃を掛ける時は右6度方向に走って下さい。トリシュの癖がやっと分かってきました。主任の機動性の低さは後方の試作品5号と試作品6号に任せて主任は攻撃に集中して下さい」
『そのつもりでやってるよ!やっぱ早え!眼では追えても身体の反応が追いつかないんだよ!』
「無理なのは分かってます。それでもそれしかないんです。ゼロツーをそちらのサポートに付いて貰いますか?代わりに後方支援が一切無くなるのでオリジナルの攻撃が来ますよ」
『ちっ!ぬおおおお!!!!!』
前方の画面に司の視界が映ったものを見ながら木下は声をかける。
「社長!スネークさんに連絡するなら早くして下さい!」
木下が司をサポートしている間に他の部下が松長を焦らす。
携帯を持ちすぐにかけるとまるで待っていたかのように電話がすぐ取られた。
『来ると思ってたよ。会長グループの末端。司くんの援護に行けばいいんでしょ?』
「すいませんお願いできますか?今の俺たちじゃ行動出来ないんです。クライアントとはいえ会長グループとは関係のない貴方なら司を助けられると思うんです」
『まあそうだね。でもこちらにはメリットがない。理由が欲しいな、君たちを損得なしで助けられる理由がね』
「それは・・・」
あるとすれば実戦データが取れる人材が減るということか。ニアとカオルが取れるとはいっても2人は司と比べて特化したものしか良いデータを取ることが出来ない。ニアなら機動性の高いもの、カオルなら遠距離系統のものに縛られている。
それに比べて司はブックスが必要ではあるが、それさえあれば意外となんでもいけるのだ。特化したものに関してなら2人に劣るものの専門外なら充分だ。現に今の司が使用しているパワードスーツもその1つだ。
『実戦データの収集が目的で救出して欲しいなら司くんよりもゼロツーなどの方がいいんじゃないかな?1度彼とは相対したけど、動きに関しては司に似た点が多く見受けられた。これが事実だとするなら———』
「・・・・・・友達なんです。いくら司のわがままを聞いた故とはいえそれを許可したのは俺です。あいつを助けたいんです」
理由など簡単なものでいい。感情的なのはいいことでもある。
『・・・・・・そうかい。分かった受けよう』
「ありが———」
『感謝の言葉はいらないよ。後会長グループへのことは考えなくていい。会長とは知り合いでね多少のことなら目を瞑って貰えるようにするよ』
「ありがとうございます!」
電話が切れる。やったと腕を上げる松長。
「スネークは会長グループ本社へは取り入ってくれるとのことだ!それじゃ援護に行くぞ!お前ら白兵戦いつでも出来るようにしとけよ!」
「能力者以外なら余裕ですぜ社長」
「民間企業に就いたのになあんで人殺しをせなならんのか。まっ!いいんですけどねえ!」
部下たちは各々の武器をを取りながら車を司たちのいる場所へ走らせた。
それを見る人が1人いくつかあるビルの一室から見ていた。




