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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第三章
63/138

63◆魔法物質低下エリアの原因確認と謎の石碑

 エルナリアの街の近くで迷宮を作成してから徒歩で街へ戻り、現在はこれからどうしようかなと考えている。

今日は既にMPが無い。

この状態で出来る事は……村周辺の探索かな。

あのエリアは基本的に魔物が居ないので戦闘になる事は無く、《フルブースト》を使う程度なら幾らでも可能なMPは残っているし、随時回復もしていく。

いずれはやらなくてはならないのでやってしまおう。


 こうして、この後の方針は決まったので動く事にする。

ただ、その前にまずは領主館に行って必要になる物を依頼しておこう。

現在必要な物は家が二つ、そして小屋が一つだ。

それに加えて、その中で使う家具一式かな。


 これらの使用用途は、ジムルとロウの家である。

これからは色々と行き来もするし、迷宮の入口や移動扉を管理して貰う必要がある。

それなりにしっかりとした建物を用意しておいた方が色々都合がいい。

特にロウの立場は、一応領主からの指示で動いている役人みたいなものとなっている。

それなりにてきな事も気を使った方が良いはずだ。


 家を作って貰うと流石に時間がかかり過ぎるので、現在建って居る物を移築する方向で検討中。

ある程度土台を掘り起こしさえすれば、結構強引になるのだが……魔素で強化した《土魔法》で地面ごと引き離して《アイテム》に入れてしまえる。

勿論タダで貰うつもりは無いので、しっかりとその分は支払う事になっている。

まぁ、主に魔物素材と加工した魔石でだが!


 村で使う予定の道具やゴーレムの作成にはMPが必要なので明日以降予定。

師匠には一応、また明日来ますと挨拶してから村へ移動した。




 ☆ ☆ ☆




 実家の村に戻ると誰も居なかった。

両親は農作業に出ているし、ルナは仲の良い男の子と一緒に居る時間だ。

ここに居ても仕方が無いので、すぐに私も目的地へ移動を始めた。


 現在判っている事は、何故かこの村から東西南北の方向約十km地点に、迷宮……又はそれと同様の性質を持った何かが存在している。

この影響で東西と南北方向では最長四十kmにも及ぶ魔法物資低下エリアが発生していた。

因みに、母さんはルークから得たスキルのお陰で魔法が使える。

しかし、村には魔法物質が少なすぎて役に立たないらしく、《ショートカット》すら持っているのに全く活用していない。

まぁ、今までと同じ生活をしている限り、困る事は無いので問題は無い様だが。 




 ☆ ☆ ☆




 《魔術師魔法(異世界)》の呪文、《座標》のお陰で探索はありがたい事に相当楽だった。

グルリと境界線を座標で記載した自作の地図から中心点を割り出し、誤差を考えても私が1単位として選んだ十m四方のエリアを幾つか確かめれば見つけられた。

現在は三か所目まで調べ終わっているが、その全てに迷宮が存在していた。

普通には見つけられない様に加工した跡もあり、明らかに周囲にも手が加えられている。

ただし、その加工した跡も風化が進んでおり、相当な時間の経過が予想された。

迷宮自体は生きて居るが、主が存在するのかは不明かな。

不死者や相当な長寿を持つ種族でも無ければ、既に死んでしまっている可能性が高い。


 取り敢えず、今回は場所の確認なので中には入らない。

MPも余裕が無いし、主が存在して居た場合はどんな行動に出るか分からない。

探索するならば、最低でも仲間と一緒に来なくてはリスクが高すぎる。


 探索は順調に進んでいた。

今日中に四か所共回れそうなので面倒な事が残らなくて良かった。

やる事は多いので順番に潰していかなくてはね。




 ☆ ☆ ☆




 村の南側に位置する四個目の目的地には迷宮が無かった。

その代わり、石碑……と言えば良いのだろうか?

大き目の土台に石の様な材質の物が建っており、その石碑そのものが魔法物質を吸収している様だ。

土台は風化しているのに対し、石碑はほこりや泥で汚れてはいるが本体に傷や風化の跡は無い様に見える。

少し気になったので……触ってみた。

魔法物質を吸収する以外には、特に何もおかしなところは無い。

ただ、何故他は迷宮なのにここだけ違うのかが気になったので、念の為に《迷宮の主》で調べてみた結果……驚愕の事実が……!

この石碑……迷宮です。


 確かめた方法は《迷宮の主》の能力の一つだ。

正確には、単純に迷宮を支配しようとしただけだが。


 主の居ない迷宮は支配を試みる事が出来る。

この行動を行った際に得られる情報を利用すれば色々分かる事もあるのだ。


 例えば、現在私は保有上限まで迷宮を持っている。

この状態では、これ以上迷宮は支配出来ないと認識する事ができる。

ただし、あくまで支配できる迷宮に対してこの反応が起きる為、迷宮であるかどうかの判別にも使えるのだ。

そして主が居る迷宮では、フリーの迷宮では無いので支配できない事が理解できる。

これにより、主の存在が判別できるのだが……この不思議な迷宮には主が存在した。

因みに、他の三つの迷宮は調べていない。

もし、この迷宮を支配しようという行動が相手にも感知できてしまうとしたら……敵対行動と取られる可能性があるからだ。


 今回の件でこの石碑の主が何らか行動を起こす可能性は低いとは思うのだが、一応は様子を見た方が良いのでここで移動迷宮を呼び、上空に再移動して置いておく。

明日からも、移動迷宮を置いておける間はたまに確認に来よう。




 ☆ ☆ ☆




 実家に帰ると夕食の支度が始まっていたので手伝い、夕食を食べた後は家族とゆっくりとした時間を過ごした。


 寝る前に《自動MP回復》で補充された分のMPを消費して、作っている最中の迷宮に必要な分を全て送り込んだ。

明日中には迷宮が完成するだろうし、迷宮関係でMPを消費しなくなるので魔法具やゴーレムの製作を進められる。

頑張ってロウの移住に必要な物をある程度作ってしまおう。


 因みに、今日もルナと一緒に眠りにつくまで話しをしていた。

微笑ましい話が多く、私やルークが居なくなっても寂しい想いをして居なくて良かったと実感できた。

その子には、いずれ会った時に何か御礼の品でも渡した方が良いかな?

そんな事を考えながら私も眠りについた。




 ☆ ☆ ☆




 朝になって食事が終わり、恒例の師匠の所に行く前に移動迷宮へ行った。

昨日最下層に対しておこなった、《出現魔物:亜人》への変更に対しての様子見だ。


 一層は魔獣系、二層の鳥系までは指定していたが、そこから後を今までは特に変更していなかった為、鳥系と魔獣系がランダムで割り当てられていた。

最下層は魔獣系だった様だが、現在は半分が魔獣、半分が亜人で構成させている状態になっている。

魔物同士でも戦う為、徐々に魔獣は数を減らし、減った分の追加は亜人である為にいずれは全て駆逐される。


 魔獣が駆逐され、亜人の種類も多くなった段階で私のテストは始める事にしよう。

そう決めてから、私はマスタールームへと戻った。


 マスタールームには珍しくエグフォルドタイガーの五匹が居た。

普段は迷宮内部を走り回っているらしく、ほとんどここにはいない。

《迷宮の虜》状態にある魔物は《迷宮の主》の配下である為、迷宮の魔物は主と同様に手が出せない様だ。

即ち、この五匹は手を出せない相手を一方的に攻撃できる。

そこで、どんどん下の階へ行っては逃げまどう自分よりも格上の相手を狩りまくっているらしい。


 この行為は実に有効らしく、現在のレベルは32~33。

恐ろしく順調に育っていた。

逃げる相手を狩るという行動と、格上の相手の魔法物質を吸収する事で強化していると私は予想している。

しかも、この狩りで得られた牙や骨等の素材は勝手に回収してここに置いていってくれる。

ありがたい事だ。


 さて、ここで確認する事は終わったし、今日は製作三昧だ。

頑張って行きましょう!

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