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裏・代役勇者物語  作者: 幸田 昌利
第一章
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5◆街への移動と私達のギルド登録(順調なのは良い事だ)

 街への道中は予想以上に快適だった。

ルークが《アイテム》を有効に活用して、箱型寝台を用意していた。

大きさは大体高さで七十cm、幅百二十cm、長さ二mってとこかな?

所々に換気を考えた隙間があり、内側から鍵がかかる様になっている。

試しに寝てみたが、下にわらを敷く事で満足のいく快適さだ。

ルークもそろそろお年頃だし、流石に一緒に寝たくは無いのかも知れないがえてこう言った、


「流石に二人だとちょっと狭いけど、暖かいし結構快適ね」


ルークはちょっとだけ微妙な顔をしたが、嫌と言うわけでは無さそうだ。

もし嫌がったらルークは必然的に外になり、そうなったら悪いなぁと思っていたので良かった。

まだ寒い時期でもないし、《危険感知》って言うスキルもあるそうだから外でも何とかなるとは思うけど、ルークにすれば私がついてくる事が寝耳に水であっただろうから……流石に若干気まずい事になる可能性もあった。

ルークは今も成長していて身長は百六十五cm位かな?

私は前世で百五十八cmだったが、全く同じ位で止まった。

その他のプロポーション的には、正直前世より良い……。

前世と似た体型になっているらしく、結構胸はある。

お尻とのバランスもいいと思う。

問題なのがウェストだ……。

前世はどうしたって飽食の世界だったのだ。

かなりの運動をしていたが、《魔素の扉》から高位のエネルギーでもある魔素を供給すると途端に脂肪は燃焼しなくなる。

魔素を使わないと許容量が増えないし、訓練自体が魔素消費状態じゃないと意味が無い。

結果、お腹がチョットだけ残念な事になるのは仕方が無いじゃない!!

……そう言う訳で、粗食と言うか必要な分だけしか栄養を摂らなかったこの身体はかなりスタイルが良くなって居る。

嬉しいのだが……複雑な気持ちが渦巻くのは止める事が出来ない。

一応言っておく! 二kg! そう、二kgが減らせなかっただけ!

べ、別におデブさんだった訳じゃない!

男性から見たらそれ位が良いよって言われるのに、女性としては気になってしまう二kgが落とせなかっただけだから! 間違わない様に!




 ☆ ☆ ☆




 旅は順調に進み、特に何事も無く街へ着いた。

街は高さ三m程度の外壁に囲まれている。

主に魔物対策らしく、街の正面口は森とは反対側にあるらしい。

これによって魔物が街に近づいた場合、街道が被害に会う前に発見される事が多い。

さて、これから街へ入る事になるのだが、街へ入る為には通行証か通行税が必要となる。

今回は村で発行可能な多少安く購入できる通行証を購入してある。

税を若干余分に払う事で村長が街から購入出来る物で、村長がサインして有効になるものだ。


「おや、兄ちゃん達は村からの買い出しかい?」


私達の格好はいかにも農村の子供が街へ出て来たとしか見えない姿だ。

しかも、村長のサインからどの村から来たのかも確認されている。


「いえ、私と弟で今回冒険者になる為に来ました」


「ふむ、この街のギルドはあまり大きくはないが、初心者が力を付ける為にはいいかもしれないな。まぁ、がんばりな」


私達が成人するかしないか位の年齢だからか、それとも普段からなのかはわからないが親切に話をしてくれている。

領主の評判は良いし、この街は実力を付けるまで修行するには都合が良い環境が期待できるかもしれない。


「はい、ありがとうございます」


そう言って街の中へ入った。




 ☆ ☆ ☆




 まずはギルドの登録にいく事にする。

仕事の内容や得られる額、与えられている仕事件数等を下調べしておきたいからだ。

もし食べていくのがやっとな場合は色々と考えて行動する必要がある。


 門番の人から確認したのだが、ギルドは門からすぐの所にある。

あまり大きくない二階建ての建物で、中に入ると入口付近に四人用のテーブルが二つ、奥のカウンターの中央と奥のほうに一人ずつ職員が座っている。


「すみません、ギルドへの登録をお願いしたいのですが」


ギルド職員に取り敢えず話しかける。

私達の歳や格好に対してどういう対応を取るかも確かめておきたい。


「はい、登録はこちらの街が初めてですか?」


まぁ、この格好を見たら普通そう思うよね。


「そうです」


「では準備しますのでしばらくお待ちください」


特に何の感情もはさまずに淡々と対応してくれる。

馬鹿にした態度や見下した対応は無い。

今後やって行くにあたって、好感触といえるかな。

職員の人を見ながらそんな風に考えていると、


「姉さん、よくそんなに年長者の人と普通に話ができるね……」


ルークがそう小さな声で言ってきた。


「そりゃ一度は大人になっているんだから当然でしょ」


そう言っておいた。

もっとも、享年二十二歳、唯一働いた職場が異世界の侵略からの防衛軍みたいな所となると、まともな社会人生活とは言えなかったけどねぇ……。


 そんな話をしている間に職員の人が小さな金属の板を持ってきて魔法らしきものを使用した。

呪文制御型のタイプがこの世界の魔法と聞いていたが、あんな感じなのか。

村で習った生活魔法とは結構違うな。

生活魔法は物凄く簡略化されすぎた魔法式をキーワード一つで発動させるが、大体がほんの数秒しか持たない上に効果はマッチ代わり程度とかそんな感じだった。


「では順番に登録しますので質問に答えてください」


質問内容は名前と出身地、犯罪歴の有無だけだ。

冒険者にはランクがあり、テスト期間を兼ねたランク一と二の期間は仮登録証である。

ランク三になると正式な登録をする事になるが、この登録証には様々な効果があるので発行が有料になるそうだ。

この街でどこまで上げれるかわからないが、まずはそこを目指す事にする。


 まずはギルドでの依頼内容を確認した。

討伐系と採取系に分かれている。

これは事前の情報通り。

討伐系は街の周囲の安全のために常に発行されている魔物討伐、ゴブリンやジャイアントトード、サイレントスネーク、ブラッドウルフ等のようだ。

これらは比較的街の近くへ出てくるので、すぐに戦う事になるかもしれない。

採取の方は回復薬の基本となる薬草や、毒消しの素材なども常にある依頼のようだ。

これらには依頼失敗した場合の違約金が発生しない。

常時発注しているので、失敗しても他の誰かがやってくれれば問題無いからかな。


 期日が決められていたり、隊商の護衛任務等で最低限の働きすらできなかった場合は違約金が発生するようだ。

違約金が発生しない物はカウンター横の掲示板に張り出されており、受付に申請。

違約金が発生するものは条件確認等が必要なため、カウンター内にある依頼表一覧と詳細を見せて貰う方式んなる。


 取り合いにならない、常時あるものなら終わってから受けても清算可能との事。

魔物には討伐部位と呼ばれる魔法物質が多量に含まれている特定部位を提出する必要がある。

これを加工する事で様々なアイテムが作られている。

ただし、ここで注意すべきは討伐系で成功報酬が割高になる方法がある。

魔石と言う、魔物の生命力と魔法物質を凝縮した物を売却する方法だ。

この魔石を作る為には、事前に依頼を受けて原魔石をギルドから受け取る必要がある。

魔物毎に固有の原魔石が必要な為に、受けた依頼の魔物用の物が渡される。

ちなみに、原魔石の加工賃を保証金として払う必要がある。

正直かなり面倒ではあるが、最下級の魔石でも報酬が二~三割、中級クラスの魔石だと二倍位の報酬となるので狙えるのなら美味しいと言える。

加えて言うなら上級が作れるような魔物はこの辺りでは発見された記録はほぼ無い。

魔石になるまでに必要な匹数は保有魔法物質量により変わるらしいが、ゴブリンやブラッドウルフで八~十匹位らしい。


 今回は初めてだし近くの森での薬草収集とその近辺に出るゴブリンの討伐を受ける事にする。

この辺りの宿の値段を職員に聞いたが、片方だけでもクリア出来たら今日の宿はなんとかなりそうな報酬の様だ。

職員に地図を見せて貰い、森の位置を確認してギルドを出た。

さて、初仕事だ。

頑張ろう!

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