第20章 勝利の代償
第20章 勝利の代償
アンドレイはアサシンの姿カイラとして、影の狼に乗りながら街へ戻っていた。
自分の存在が多くの疑問を呼ぶことは分かっていた。黒いワイバーンの飛行は確実に目撃されている。
ギルドではまだ混乱が続いていた。悪魔との戦闘からわずか30分しか経っていないのに、ギルド長は必死に状況を収拾していた。噂は驚くほど速く広がり、冒険者たちの間に不安を生んでいた。
アサシンの姿が静かに大広間へ入ると、会話は一瞬で止まった。
全員の視線が彼女に向けられる。
彼女は戻ってきた。生きて。無傷で。
悪魔との戦いの後に。
空気は緊張で張り詰めた。
カイラは落ち着いて前に出て説明を始めた。
声は淡々としていたが、その一言一言が全員の注意を引いた。
戦闘の内容、悪魔の力、逃走の試み。
黒いワイバーンと追跡の様子。
話が進むにつれ、室内は静まり返っていった。
しかし終わった瞬間、質問が一斉に飛び交った。
— どうやって見つけた?
— 本当にワイバーンだったのか?
— 敵は一人だったのか?
— どんな魔法を使った?
騒ぎは大きくなる一方だった。
ギルド長が立ち上がり、手で制止した。
— そこまでだ。執務室へ。
カイラは無言でうなずき、彼についていった。
執務室での会話はより深刻なものとなった。
カイラはすべてを語った。
マーキングの存在
行方不明の冒険者
悪魔がペガサス一団を意図的に妨害していたこと
ハーピー、アンデッド、ゴーレム。
それらは偶然ではなかった。
すべて計画された干渉だった。
特にペガサスについて彼女は強調した。
— 彼らは失敗で崩れたのではありません。干渉で崩されていたのです。
ギルド長は黙って聞いていた。
さらにカイラは続けた。
彼らの戦い方、連携、耐久力。
そしてマンティコア討伐の詳細。
— 彼らはSランクに値します。
長い沈黙が流れた。
やがてギルド長は立ち上がった。
— 全員を集めろ。
大広間に再び人々が集まった。
ペガサス一団
ギルド幹部
他勢力の監視役
そして少し離れた場所にカイラ
ギルド長が前に出ると、場は静まった。
— ペガサス一団は、実力、耐久力、そして高難度環境での戦闘能力を証明した。
短い間。
— よって、お前たちをSランクへ昇格させる。
一瞬の静寂の後、会場は歓声に包まれた。
しかしギルド長は手を上げた。
— そしてもう一つ。
視線がカイラに向く。
— この調査への貢献により、お前にもSランクを付与する。
今度は全員の視線が彼女に集中した。
アンドレイは何も言わず、軽くうなずいた。
しかし内心では理解していた――これは新たな段階の始まりだと。
その夜、彼らは酒場にいた。
大きなテーブル、笑い声、酒の入った杯。
ペガサスたちは興奮していた。
— やったぞ!
— ついにだ!
アンドレイは次々と質問を受けた。
悪魔のこと。
ワイバーンのこと。
戦闘の詳細。
彼は冷静に答えた。
しかし話題が調査に移ると、空気が変わった。
— なぜギルド長は疑われない?
— 同じ時期に現れたのに?
アンドレイは答えた。
— 彼にはマーキングがあった。
誰かが眉をひそめる。
— それで?
— 自分自身を監視する理由はない。
沈黙。
— つまり彼も利用されていたということだ。
静かに誰かが言った。
緊張は解けた。
宴は続いた。
笑い声、会話、乾杯。
この夜、彼らは危険を忘れていた。




