(2)異世界での生活
部屋に入ると、僕の予想を超えていたよ!
「おぉ~、結構凄い所ですね。高そう!」
「この町の価値から言えば、上位ですね。ですが、静流様の泊まる場所と考えると、これでもまだまだですよ」
「ワンワン!」
嬉しそうに走り回っているシバを見つつ、部屋を見回す僕。
この場所は少し大きな部屋で、奥に二つのドアがある。
一つ目の扉の先には、大きなベッドが一つ。
もう一つの扉の先には、きちんと仕切られているトイレとお風呂があった。
あ~、良かった。これで少しゆっくり出来るよ!
あれ?なんだか違和感があるけれど……まぁ良いかな。
きっと突然の大きな環境の変化で疲れちゃったんだよね。
「では静流様、早速お湯につかりましょう!」
トリシアさんの言葉で、お風呂にはいれると言う事を改めて認識して少しうれしくなるけれど、数千年もあんな場所にいたトリシアさんこそ先に入ってゆっくりしてもらわないとね。
「あっ、そうですね。ではお先にどうぞ!」
少しだけ不思議そうな顔をしたトリシアさんは、何故か僕が先に入るように勧めてくれた。
あまり断るのもなんだから、失礼してお先に入らせて頂いたけど……はいっ!皆さんの予想通り、乱入されました!
この時点で僕の頭は沸騰して何が何だか分からなくなったので、落ち着く時間が欲しいので説明は後で、にさせてほしい……です。
で、少し前に感じていた違和感……そう、なんで一つのベッドしかない部屋に二人がいるのかと言う事だったよ。
何もわからない僕の為にトリシアさんが案内してくれていたと思っていたけれど、お風呂乱入の時からそうでない事がわかって……結局寝るのも同じベッド。
今まで生きてきて異性と同じ布団で寝るなんて……僕はきっと赤ちゃん時代のお母さんしか経験がないのでは?
普通はもう少し階段を徐々に上がって行くものじゃないかと思うけれど、僕の場合はこんなにきれいなトリシアさんと……階段の下から一気に最上段までジャンプした様な感じになっちゃったよ。
当然普通に眠る事なんてできないよね?
その後どうなったのかも……今はちょっと。
トリシアさんも神とは言っても数千年もあんな空間に閉じ込められて、唯一逢えるのは十年に一度の強制的に連れて来られる召喚者だけ。
想像する事も出来ない苦痛と孤独の中で生きていたので、こうなってしまうのも仕方がないのかな。
なので、トリシアさんの気持ちを考えると、今日の事は今すぐには説明できそうにありません。
本当にごめんなさい。
もう少しだけ落ち着いたら、説明できると思います。