(5)武器屋へ
その後僕達はトリシアさんの案内で城下町を散策したけれど、やっぱり冴えない僕の腕にしがみついている美女を見て、妬みの視線が辛かったよ。
「こちらが冒険者ギルドです。魔神が管理しているダンジョンの中で採取される物、地神が管理している鉱石、獣神が司っている獣等を納品する所ですね」
「トリシアさん……僕の想像以上に神様がいるみたいですね」
「そうなのです。この世界のほぼ全てが何らかの神によって管理されておりますが、唯一人だけは管理されておりません。つまり、人神が不在と言う事ですね」
こんな話をしながら、刺さる視線に耐えつつも散策して一日を終えた僕達。
再び同じ宿に戻った時に、お金についても少しだけ勉強できたよ。
僕の頭でもこの短い時間で理解できたのは、単位がイリカと言うだけで基本は円と変わらなかったから。
トリシアさんは、召喚者が少しでも困らないように生活環境がなるべく似た場所を探して召喚していたみたいだから、そのおかげかな。
因みに、この宿の一泊の料金は15万イリカだった……
アハハハ、大丈夫ですか?このままだと破産して野宿とかにならないですかね?
そんな僕の心配をよそに、さっさと支払いを済ませて同じ部屋に僕を引っ張っていくトリシアさん。
もちろんその日の夜も、恥ずかしかったけど仲良くさせて頂きましたよ!!
翌日……
「静流様、今日は武器のお店に行ってみませんか?」
日本では銃刀法が有ったから危険な武器は免許を取得の上、厳密に管理しないと持てなかったけど、この世界では魔法もあるし武器で魔獣やら獣やらを倒して生活するのが冒険者の生業になるから、普通に売られているよ。
「ちょっとだけ緊張しますね」
「大丈夫ですよ、静流様。そこで冒険者達のお話しも聞けますし、この世界の最新の情報だけではなく、過去の情報も聞けるかもしれません」
結局何も知らない僕では方針を立てられるわけもなく、申し訳ない気持ちを持ちつつもトリシアさんに連れていかれる。
「いらっしゃい。見ない顔だな……って、冒険者登録すらしていないのか?」
どうやら、一目見て冒険者登録をしているかどうかが分かるみたいだけど……なんでだろう?
「はい。私達はこの後冒険者登録を行う予定ですので、カードは持っておりません」
「そうかい。じゃあ、どのレベルの武器が適当かは実力が分からないから、変に勧める事は出来ないな」
どうやら冒険者達は自分のレベルが分かる冒険者カードを店の主人に提示して、良さげな武器を見繕って貰うのが一般的みたい。
初めて店に来た僕達がカードすら提示しないから、冒険者登録をしていない状態だってわかったんだね。
「静流様、この後にギルドに向かいますので、先ずは武器を見ながら情報を集めましょう」
そっとトリシアさんが僕に耳打ちするのだけど、フッとわざと息を掛けるのは止めて貰えると嬉しいな。
嬉しいけど恥ずかしいから……
表情に出てしまっていたのか、トリシアさんは悪戯が成功した!みたいな顔で笑っている。
今迄不自由だった分を取り戻すかのような行動だと思うけれど、やっぱり可愛いから良し!
じゃあ、少し真剣に武器を見てみようかな。
「あれ?これって日本にもあるヌンチャク?剣、槍、盾、杖は一般的としても、珍しい……って、そうか。召喚元は環境が似ている場所を選んだからって事だったからですね。フムフム」
思わず独り言を呟きながら日本では見る事の出来なかった武器を見たけれど、流石に銃は無かったよ。
そう言えば、杖自体も日本では武器として存在しない……のかな?
こっちでは魔法を使う際の補助的な位置付けらしいから、日本には魔法が無い以上、杖もないよね?
こんな事を考えながらも結構楽しく武器を見る事が出来ていたので、いつの間にか少し時間が経っていたようで、ふと気が付くと、トリシアさんと店主さんが話しているのに漸く気が付いた。
「あっ、静流様。凄く集中されていましたね。何かお気に入りの武器は有りましたでしょうか?」
どうやら僕が集中して武器を見ているので、その間にトリシアさんは店主さんから情報を集めてくれていたみたい。
実はいくつか気になった武器はあったけれど、実戦で適しているかもわからないし、その道のプロに助言を貰いたい所が正直な所だよ。
僕があの空間での願いで貰った能力はテイムと眷属であるシバだから、今は何も力が無いし……




