第37話 親バレ
―――数日後
今日の劇練習は桜木さんと俺だけだ。
ここ何日も練習したおかげかなぜか俺までセリフを覚えてしまった。
そして桜木さんの演技力、初めから凄いなとは思っていたが日を重ねるにつれてますます上手くなってる。これは優勝できそうだな……
おっと、俺は違うクラスだったな……
「そういえば、南さんのクラスは何をやるんでしたっけ?」
「何か、女子によって超改変されたBL版美女と野獣をやるらしい……」
「そ、そうなんですね……」
やっぱそういう反応になるよね!!
まじでこういう時には実行委員で良かったと思える。優も姫役として連行されそうになってたもんな……無理矢理出演させられるらしいけど……
守りたいが、姫様衣装の優も見たい。
「ほかのクラスの劇はどうなんだろうね」
「楽しみですね!」
「そうだね」
うちのクラスみたいなBL展開はさておき、良改変ならいいな~
王道もいいし……
去年はあまり印象に無いな~多分寝てたし
今年は見てみるか。
「じゃあもう1回やりましょう!」
「おっけ」
―――
……
……
……
「あ、あぁ、何と美しい姫なのでしょう。まるで眠っているようだ」
もう慣れた。
桜木さんの顔に近づく……そしてキスの振りをする
すると、桜木さん(白雪姫)は目を覚ます。
「あれ? 私はどこにいるの?」
俺(王子)は答える。
「私とずっと一緒に居ましょう。姫」
「はい!喜んで!!」
桜木さんが胸元に飛び込んできた。
え?こんな展開あったっけ?……ガチャリ……
ん?陽菜が帰ってきたか。
ってかいつの間に陽菜は出かけたんだ?
「おかえり」
「た・だ・い・ま♡」
え?この声は……もしや……
「げ? 母さん? なんで急に……」
「あら? 楓汰には言ってなかったかしら? ウフフ」
「言われてねぇよ」
「ところで……今抱き合ってる可愛い女の子はだぁれ?」
うわ、バレた
桜木さんまじでごめん。急に親が帰ってくるなんて……これがいわゆる親バレか
しかもタイミング悪っ!!
「私は桜木日和です。 楓汰さんとは仲良くさせていただいています」
「あら~日和ちゃんって言うのね。 私のことはお義母さんとお呼び?」
「はい!よろしくお願いします。お母さん」
二人の間でお母さん(お義母さん)のニュアンスが違う気がするのは気のせいだろうか……
まあいいか
「おい、楓汰。これはどういう事だ」
げ?父さん。何故そんなに怖い顔をしてこっちを見てるんだ……?
普段そんなんじゃないじゃん
「なぜお前がこんなに可愛い子を家に連れ込んでいるんだ」
え?
え?
え?
「……お父さん??」
うわ、母さん怒ってるわこれ
「なんでもないですごめんなさい」
「あの、南さん。あの方は南さんのお父さんなんですか?」
「ああ、そうだ。あんなに厳つい顔をしているが、母さんの尻に敷かれるだけの父親だ」
「おい、楓汰、その言い方はなんだ。というか早く俺にもその子を紹介しろ」
それから俺は、駅で桜木さんを助けたことから今に至るまでの経緯を話した。
その時々で母さんの目がニヤニヤし始めたので辞めようとしたが、なぜか父さんが興味津々だったため、止められなかった。
「日和ちゃん。私と少しお話しましょ?? 楓汰、風呂にでも入ってきなさい」
え?嫌なんですけど……
俺抜きで母さんがする話とかヤバそうじゃん
面倒なことになる未来しか見えないし……
「たまには男二人で風呂に入ってきたら? ね? お父さん……?」
「ひっ……。お、おう、そうだな。よし、楓汰風呂に入るぞ」
母さんの視線にはどうしても勝てない父。
俺も勝てないけどね
―――
「楓汰、お前はあの日和さんとは付き合っているのか?」
「え?付き合ってないけど……?」
「え?あれでまだ付き合ってないのか?」
どうやら父さんはやはり俺たちが恋人同士だと勘違いしたらしい。
まああの状況ではたしかにそう見えるかもしれない。
だが、おそらく桜木さんも俺と一緒に居るからと言って付き合うとかは考えてないんじゃないかな?
「楓汰、もっと日和さんのことをよく見てやれよ?」
「ん? どゆこと?」
「まぁいい。友達は大切にしろ」
「わかった」
―――
俺と父さんが風呂から出ると……
「日和先輩は………………なんだよ?」
「へぇー日和ちゃん、可愛いわねぇ」
「ちょ、ちょっと!陽菜ちゃん!!」
「あとはね……」
「ちょっと待ってこれ以上は止めて~」
いつの間にか陽菜も帰宅して女子会(?)が行われていた。
一方的に桜木さんがからかわれているようにしか見えないが……
あ、桜木さんと目が合った。
と思ったら顔を赤らめて目を逸らされた……え?
どういう反応……?それ
「ふ、楓汰さん」
へ?フウタサン? ふうたさん? 楓汰さん!?
なぜ急に名前呼び……???
「急にどうしたの?」
「えっと……。南さんだとここでは皆南さんなので……」
「あ、あぁ。そういうことね……」
「め、迷惑でしたか……?」
上目遣いでこちらを見る桜木さん。
家族以外から名前呼びなんて優くらいだから女子に名前呼びされ慣れてなくて何かゾワゾワする。
い、いかん。戸惑いを隠せ!!
「構わないよ」
うぉおおおおおお!変な言葉遣いしてもうたーーー
「あ、あの~。私だけ名前呼びするのも恥ずかしいし変なので……私のことも日和って呼んでくれませんか……?」
「え!?そ、それは……」
「ダメ……ですか?」
このタイミングで上目遣いは反則だろ
しかしここには家族もいるし何か恥ずかしいな……
いや、男、南楓汰、人生で初めて家族以外の女の子を名前呼びします!!
「ひ、日和?」
「ひ、ひゃい! ふ、楓汰さん」
うおおおおお、何かめっっちゃ緊張した……
それにしても桜木さんに名前呼びされたとなればそれこそ学校に行ったら即殺害予告だよな。
「あらあら~、いいじゃない~2人とも♡」
「お兄たち、私達もいるのによくそんなにイチャつけるね」
「甘い、甘いぞ、ブラックコーヒーを持ってこい!!」
「「すいませんでした」」
―――
桜木さんを家に送る帰り道。
「あの、楓汰さん。二人の時だけでいいので、これからも下の名前で呼んでくれますか……?」
「う、うん」
「ほんとですか!?」
「日和が呼んで欲しいなら……」
「やった!!」
そんなに嬉しかったのか……
周りに何か言われるかもとか色々考えたが桜木さんの笑顔を見たらそんなことはどうでもよく思えてきた。
「では、おやすみなさい。ふ、楓汰さん」
「おやすみなさい、日和」




