第22話 桜木さんと水族館デート①
今日は桜木さんとの水族館デート(?)だ。
身だしなみは大丈夫だろうか。
白波さんが選んでくれたし変ではないはず……
一応髪も上げてきたし……
「お兄、日和先輩とちゃんと楽しんでくるんだよ?」
「おう」
「まあその格好ならいつもよりはマシなんじゃない?」
「あ、あぁ、ありがとう」
「お兄緊張してんの?」
「そりゃあ初めてだからな」
「普段毎日のようにお互いの家に通ってるやつが何言ってんの」
「たしかにそうか」
でも改めてデートと言われれば誰でも緊張するだろ。
俺みたいに今まで女子と関わりを持ってこなかったやつなら特にさ。
桜木さん、楽しみにしているようだったしっかり楽しませなきゃな!
―――
集合時間の1時間前に着いてしまった。
にしてもここ、カップルが多すぎやしないか?
週末の駅前ってこんなにカップルだらけなの?
普段気にしたことがなかったから余計気になってしまう。
こんな所に俺みたいなやつが一人で立っていたらヤバいやつだと思われて通報とかされたりしないかな……
―――集合時間の30分前
「南さん! おまたせしました。待ちましたか?」
「待ってないよ。それにまだ集合時間じゃないし」
てか可愛いすぎるんだが!?
何その真っ白のワンピース
見た瞬間目が浄化されたわ。
昨日あまりよく眠れなくて眠かった目が一瞬で覚醒したわ。
「かわいい……」
「ふぇ!?」
今俺可愛いって言っちゃってた?
めっちゃ恥ずかしいじゃん!!
陽菜とか白波さんに会ったらすぐに褒めろとは言われたけどこんなにストレートに言ってしまうとは……
桜木さん、耳まで真っ赤にしてるし……
「少し早いけど水族館に行こうか」
「はい!!」
水族館か~、何年ぶりだろうか。
幼稚園の頃に家族で行ったきりじゃないか?
今から行く水族館は県内最大の水族館で、外には広い公園や、船の博物館がある。
「桜木さんって今から行く水族館行ったことある?」
「小さい頃に1度だけ……。なのですごく楽しみです!」
目をキラキラさせている。
よっぽど水族館に行くのが楽しみなのだろう。
「ペンギンさんはいるのでしょうか、ジンベエザメとかも居ますかね?」
「居るといいな」
「はい!」
めっちゃ微笑ましいんだが?
ペンギンにさん付けするとか可愛すぎんだろ。
初めて水族館に行く子供のような感じ……かな?
おっと、怒られてしまう……
気づいたら桜木さんがジト目を向けていた。
やっぱりエスパーだよねこの子。
「南さん、今失礼なこと考えていませんでしたか?」
「いや? 桜木さんがまるで初めて水族館に行く子供のようだとか思ってないよ?」
「ほら!思ってたじゃないですか!」
桜木さんって本当にエスパーだよね。
俺がめっちゃ分かりやすいとかではないよな?
その予知能力、少し欲しいかもしれない。
―――
雑談をしながら俺たちは1時間程電車に揺られ、目的地の水族館に着いた。
「南さん!早く行きましょう!ほら!」
桜木さんが手をとって走り出した。
「うわ、ちょっと待ってチケット見せてからだから」
「は、はい。すみません……」
よっぽど水族館に来れたのが嬉しかったんだろうな……周りから向けられるあたたかい視線が……
それにしてもはしゃぎすぎなような気はするけど。
だって後ろに並んでいる小学校低学年くらいの子の方が大人しく並んでるんだもん……
桜木さんの精神年齢って……
「南さん?」
「どうした?」
「いえ、また変なことを考えているのかと……」
「……」
「やっぱり!!」
―――
中に入ると目の前に大きな水槽がひとつあった。
ジンベエザメの水槽だ。
「南さん!ジンベエザメですよ! でっかい!!」
「そうだな……予想以上のサイズ感だ」
ジンベエザメってこんなに大きいのか
なんかすごいよなデカい動物って
というか子供みたいにはしゃぐ桜木さん可愛いなぁ
水槽に顔が付く勢いで夢中で見ている。
ジンベエザメがこっちに向かってきた。
「わあ!!」
桜木さんが驚いてバランスを崩して俺の胸元に飛び込んできた。
胸元に女の子が飛び込んでくるなんてシチュエーションが俺に起こるなんて……って考えている場合じゃないな
「さ、桜木さん? 大丈夫?」
「……」
桜木さんは顔を真っ赤にして動かない。
桜木さんは顔を真っ赤にして動かない。
桜木さんは顔を真っ赤にして動かない。
え?まじで大丈夫なのか?
顔の前で手を振ってみたがまだダメだ。
次は……
俺の手は自然と桜木さんの頬に伸びていた。
つんつん、つんつん、つんつん。
やべぇめっちゃ柔らかい!
なんだか癖になるな……
よし、警察に捕まる前に辞めておこう。
「桜木さん、次に行こうか」
「……はっ! すいません。行きましょう」
―――
次にあったのはチンアナゴの水槽だ。
「可愛いですね~」
「おう!可愛いよな! この歪なフォルムがもう最高だよな!」
「南さん、そんなにチンアナゴが好きなんですね」
俺はチンアナゴが好きだ。
何故かって? なんか可愛いじゃん。
そしてなにより何もせずにニョキニョキしているだけで生きていけるなんて最高じゃないか。
スマホのチンアナゴ育成アプリではもう2年以上チンアナゴを育てているんだぜ?
たしかこの間9匹目のチンアナゴを買ったんだ。
おっと、つい興奮してしまった。
「南さんはチンアナゴが好き……っと」
「なにをメモしたんだ?」
「い、いえ、なにも」
いや、今確実に何かをメモしたよね。
何をメモしたかは分からないけど。
まあ言いたくないならいいけど。
―――
少し歩くとまた大きな水槽があった。
水槽の前には観客が座るようなベンチが何個も置いてある。
ここで何かが始まるのだろうか。
『ただいまから、イワシのトルネードショーが始まります♪』
イワシのトルネードショー?なんだろう
「桜木さん分かる?」
「いえ、南さんは?」
「初めて聞いた」
こんな話をしていると始まったようだ。
突然目の前の遂行で泳いでいたイワシの群れが模様を作るように動き始めた。
光や音に合わせて円を描いたり直線に動いたり……
これはすごい。
あ!あそこに群れから離れた1匹イワシがいる!
なんだか親近感が湧くなあ。
隣では桜木さんが目をきらきらさせて夢中に水槽を見ている。
こういう表情を見ると嬉しくなるよな~
母性本能というか……
「凄かったですね!」
「ああ、マジで凄かった」
「どうやっていたんでしょうか」
「餌とかじゃないか?」
「あ、それっぽいですね」
俺たちはイワシのトルネードの原理を話し合いながら次のエリアに向かった。
第24話までは毎日投稿の予定です。
そこで一旦更新をお休みさせていただきます。




