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好きと言えるのなら  作者: まる
9/40

泣かないって

まただ。

今日も痛い。体も心も痛い。いつの間にか女子の笑い声が怖くて仕方なかった。

帰りには泣きながら歩くのが日常。

我慢できなかった。これ以上晴也に迷惑をかけられない。


家に帰ると母が夕食を作って待ってくれていた。

『おかえりー!ってどうしたの!』

泣き疲れたような顔の桜泉はなにも答えないまま2階に上がってベッドに横になった。

父は中1の時に飛行機の墜落事故で亡くなった。

母に呼ばれてご飯を食べるがなかなか喉に通らなかった。お風呂に入ろうと服を脱ぐと体中がアザだらけで桜泉もビックリした。甲高い女子の笑い声が頭の中で響く。体が震えた。


次の日の朝。体が痛かった。学校に行きたくなかった。

『桜泉ー!学校行く時間よー?』

1階から母の声が聞こえる。

無視をしてベッドに横になってブランケットのようなもので体を覆い尽くす。

『桜泉ー起きなさい』

母が扉を開けて部屋に入ってきた。

『どうしたの?学校よ?』

桜泉はバサッと起き上がると母を押して部屋から出そうとした。

『ちょっとどうしたの?!桜泉!?』

桜泉は号泣していた。なぜ泣いているのかもわからない。けれど苦しくて辛くて心臓が痛いくらいだった。

もし声を持ってたら母に『学校に行きたくない』って言えた。コミュニケーションに必要な自分の両手は母を押して追い出すために使っていて伝わらない。


母を部屋の外に追い出すと鍵を閉めて両手で耳を抑えてその場座り込んでしまった。

母は『開けなさい!』とか『どうしたの!?』とか自分勝手なことしか言わない。

桜泉は立ち上がってベッドに横になると無理やり寝た。


〜晴也目線〜

『今日は藤本さんは欠席です。』

担任がそう告げた。

『(桜泉、休みか…どうしたんだろう)』

そう思っているとクスクスと笑い声が前から聞こえた。

左斜め前ら辺に座っている女子がなにやらこそこそと話して笑っている。その女子たちは今年の春に桜泉をいじめていた女子達だった。

度々聞こえる桜泉の名字。なにかおかしいと晴也は思った。

HRが終わるとその女子達に晴也は話しかけた。

『桜泉が休みの理由。知ってるのか?』

晴也が聞くと女子たちは

『知らな〜い』

と言い、また笑い出した。

『なぁ、教えろよ。絶対なにか知ってんだろ』

『知らないよ〜?』

女子たちはそう言うと甲高くまた笑い始めた。

晴也はだんだん腹が立ってきた。

『(くっそ…帰りに桜泉の家に寄ってみるか)』

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