優しい人
私は、ショッピングセンターで出会った女性に、「親とはぐれたので、家まで送っていってくれないか?」とお願いした。
すると、その人は「構わないわよ?」「ただ、買う物だけ買って来てもいいかな?」と、私と同じ目線にするために、しゃがみ込んで言う。
「ありがとうございます!!」
そうやって、私は思ってもないことを言い放ち、『この世にも、こんなに優しい人がいるんだなぁ』と感心してみた。
だが、私がそんなことを思っているのも知らず、女性は私を“いこいこ”してから、「よーし、ちゃんと付いてらっしゃい!!」と言い、私に手のひらを差し出す。
だから、私は女性の温かい手のひらを握って、一緒に付いて行くことになった。
他人からみれば、この光景は仲の良い親子にでも見えるのだろうか?
悪魔がなぜ“OK”を出したのかは、悪魔にしかわからない。
けれど、私が手を繋いでいる人のお腹には、子供がいる。
きっと、旦那さんもいい人なんだろう。
この人を見ていれば、そんなことまでわかってしまう気がする。
私の親もこんな人だったのだろか?
《そうだったら、いいなぁ》 そう、心が呟いた。
そんなことを考えていると、女の人は言った。
女:「そう言えば、まだ名前聞いていなかったわね・・・」
:「私の名前は、瞳って言うんだけど、あなたのお名前は?」
私:「私の名前は、“あいり”っていうの!!」
そう言って、とりあえずニコニコとしてみる。
すると、瞳は後に続けた。
瞳:「あいり?」
:「変わった名前ね・・・?」
:「一体、どんな字を書くの?」
私:「うーんとね、、、愛の理で愛理って書くの!!」
瞳:「愛の理かぁ・・・」
:「いい名前ねぇ・・・」
:「この子にも―――――」
そう言って、瞳はお腹をさする。
私:「ん?」「どうかしたの?」
私は、そう尋ねてみた。
瞳:「いやっね・・・」
:「実は、この子の名前、まだ決まってないんだぁ」
:「だからね、その名前がいいよなぁって・・・そう思って・・・」
そう言って、瞳は私の目を見た。
私:「え?」
正直、そんなことを言われるとは思っていなかった。
だから、私は心の中であることを唱えながら言った。




