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第9話 迎えに来たよ
その日の授業が終わると、僕はすぐに5組に向かった。迷わず真っ直ぐに加ノ上さんの座席に行く。
「行こう」
僕が声を掛けると彼女はびっくりした表情をし、それから顔を赤くする。
「うん」
そう言って彼女は慌てて持ち物をリュックにしまう。周囲の人間がしきりにこちらを見てひそひそ何やら言ってるけれども放っておく。
広田さんが凄い形相で睨んでいるのも無視する。
「ごめん、いいよ」
彼女の返事を待って、教室の外に出た。途端にどおっ、と笑い声が上がる。男子のでかい声が聞こえる。
「誰だよ、あいつ?」
「2組の先代じゃなかったっけ」
「いい根性してるよな!」
「あー、俺もリバ、狙ってたのになー」
また馬鹿笑いが起こる。そして、トーンは低いが、女子の鋭く陰険な声も聞こえて来る。
「リバの顔、見た?」
「見た。ムカつく。いっちょまえに、しおらしい顔して」
「何、あいつ?先代って言うの?早く2組の女子に連絡入れといて」
「虫唾が走る。あいつら学校に来られなくしてやる」
こういうのは別にどうってことない。ただ、田中さんの心配そうな顔だけが胸に刺さる。




