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タイシとシナリ  作者: @naka-motoo
第4章 2.5人目 私闘
72/142

第72話 殴る志成

「こんなことして意味あったのかな」


 志成が自問自答のように僕に問いかける。夕涼みの風が流れる、ホテルの前の大通りをぶらぶら歩きながら答えた。


「少なくとも、2度と関わりたくない、と思ったろうね」

「これで可奈梨ちゃんへのいじめはやめるかな?」

「分からない。でも、こっちは弁護士の名刺も手に入れたんだから、やめるまで続けようよ」

「立場が逆転したってことだね。相手の方が逃げる側になったんだ」

「結局、小鳥の足は誰のペットのかな?」


 志成は僕のこの問いには熟慮してこう答える。


「多分、ユウの手下の子のでしょ。それでも十分恐ろしいけど、ユウ自身のペットであってほしくない。そこまで異常だと救いようがないから」


 路面電車がカーブでごとっ、という音を立てて通り過ぎて行った。


「でも、志成は迫真の演技だったね。お疲れ様」

「・・・ほんとはすごく恥ずかしかった。ユウが・・・その・・・SEX、なんて言葉を出した途端、逃げ出したくなった。でも、ここで負けちゃ駄目だって、頑張ったの」

「そっか」

「うん・・・」


 がたっ、と今度は反対の方面へ向かう路面電車が走って行く。


「全くの別人を演じて辛かったでしょ」

「・・・最初は演技だったけど、途中から分からなくなった」

「え?」

「やっぱりわたしは、”いじめ”っていうキーワードにどうしても反応してしまうみたい。攻め込んでる時は結構痛快だったかな」

「ほんと?」

「うん・・・大志」

「ん?」

「わたし、今日、生まれて初めて人を殴ったよ」


 そうだ。

 

 僕はまだなのに、志成は人を殴った。


「ごめん」


 そんな言葉しかひねり出すことができなかった。


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