【EDITING】冒険前のキャラエディット!!
――――意識が現実から異次元のVR空間へ投じ、それを認知していくと同時に俺の目に映るのは何も無い漆黒の暗闇。
そして白抜きの字で『NOW LORDING...▽』 と書かれているだけだ。
ログインからの読み込みってか? まぁ待つけどあんましロード時間長いのは嫌だぜ。
――――キィィィィィィィン……!
……暫くするとヘッドホンの奥行きから甲高い効果音が聞こえたかと思いきや、それが徐々に音が迫り来たと同時に。
ギュォォオオオオオ!!!
「うぉぉぉお!!?」
壮大なBGMと共にまるで俺自身が光速の速さで銀河をワープするかのように、目の前の無数の星が弧を描いて刹那に通りすぎていく。
そして銀河の先に辿り着いたのは、最先端テクノロジーで創られたロビーのような外観と、目先には既視した事のある巨大な門……
更には色鮮やかな3D仕様のタイトルロゴが英語イントネーションのアナウンスと共に浮かび上がった。
――――『GAMEWORLD ONLINE』
「……演出過剰やな」
俺は呆気に取られながら大袈裟な演出に捨て台詞を吐いた、そんな時。
「あれ、剣くんも一緒なの!?」
「え、みのり!? 何や同席システムもあるんかこれ!」
後で調べたことだが、同じ空間に同じタイミングでログインすると一緒に行動できる仕組みになっているそうだ。……すると目の前の巨大ゲートが勝手に開いたかと思えば、中から一人の男が俺達の前に現れた。
『――――Welcome to GAMEWORLD! 究極のゲーム異世界・ゲームワールドへようこそ!!』
現れたのは白黒のゴシックなタキシードを装い、極端に派手で大きなシルクハットを被ったマッド◯ッターみたいなオッサン。俺コイツの事知ってる。確か……
『私の名前はMr.G。ゲームワールドのナビゲーターNPC、つまり貴方達プレイヤーの御案内役でございます! いや〜お久し振りですねぇ、剣さんにみのりさん!』
俺達の事を知ってるって事は、やっぱりそうか! 前シリーズで地の文とかで語り解説してたオッサンか!! ナビゲーターNPCとか随分出世したもんだ。
「……で、Gのオッサンが俺達に何の用なん? また俺らの活躍をカサカサと語りながら見守るんか?」
『人をゴキブリ扱いするんじゃないの!! せっかく二人に今後の活躍で重大な準備を手伝おうとしてんのに……』
「剣くん、からかっちゃダメだよ! ねぇMr.Gさん。重大な準備って何をやるんですか?」
『いや~一年経ってもみのりさんは優しいねぇ! エライッ!! じゃそれに免じて教えてあげましょう!
――実は今回ゲームワールドの大型リニューアルを兼ねて、スタート前のシステムを加えることになったんですよ!!』
「それって冒険の準備みたいなもんか?」
『その通り! 今から貴方達にやってもらう事は3つ!!
①キャラクターエディット、②種族&ジョブ設定、③プレイヤーステータス振り分け。これをやって貰います!!』
「「本格的なRPGだ……!!」」
こーゆーの俺もみのりも自分の感覚でやってみたかった! そんな高揚感を感じながら、俺達は準備を始めた――!!
▶▶▶ NEXT▽
『それじゃ、早速始めましょう! まずはキャラエディットから!』
――すると、俺とみのりの目の前に【PLAYEREDIT MODE】と書かれた表示が現れ、直後に編集する為のパターンが表示された。
編集方法は2つ。
①顔や体型などを0からパーツ毎に組み立てる『フルスクラッチモード』。
②プレイギア内の写真や画像データをそのままアバターに編集させる『インポートモード』。
俺は即座に②を選び、プレイギアから画像を引っ張り出した。こんなことがあろうかと、俺にはアバターを作るならとっておきのモデルがあるんだ!
早速そのプレイギアで保存した画像をインポートし、確認後に不具合をパーツで補正させて……決定! 俺は元の浪速ヤンキー姿から一気にこの世界を浸透させる姿に変えていった。
『ほほぅ……まさしく円卓の騎士って所ですかな?』
アバターの姿が完成するなり、Mr.Gのオッサンはしたり顔で俺の姿を見つめている。
「【切り札騎士】って言ってくれよ、オッサン!!」
俺の全身には烈火の赤でコーディングされた装束にシルバーメタリックの騎士の鎧、身長も180センチ丁度、おまけに顔はそのままだが金髪ウルフヘアーと来たもんだ!!
俺がインポートしたのは、伝説の円卓の騎士『アーサー王』のイラスト。
それを俺のカッチョイイ姿を融合させて作ったのがこのアバターって訳よ! 我ながらカッコいいぜ!
「――剣くん見て見て!私のアバター綺麗でしょ~☆」
おっ、丁度みのりもアバター確定した所だな。どれどれ……おぉッ!!
元々ロングの茶髪なみのりの髪型が、更に長くライトブラウンのカールヘアになったかと思えば、頭に黄金のティアラを被っている。
それよりも驚いたのは桃色のプリンセスドレス!!
オイオイみのりはシンデレラか、ドラクエの姫か!? これには俺も高揚が止まらなかった。
「スゲェなみのり!マジもんのプリンセスやんか!!」
「えへへ♪ これ私が子供の頃に良くプレイしてたRPGのお姫様なの!」
こうして俺とみのりが二人並ぶと騎士と姫、ベストマッチ過ぎる組み合わせだ。
『いや~二人とも中々お似合いで! それじゃ今度は名前の登録ですよ! ただしネットワークでの活動なので個人情報のトラブルもありますから出来れば仮名として、ハンドルネームでの登録をお勧めします』
俺とみのりは直ぐ様手前の入力キーボードパネルを打ち込んで、ハンドルネームを登録させた。
――桐山剣改め、【エース】!
――河合みのり改め、【フルル】!
慣れるには時間掛かるだろうが、それぞれの意味を込めてこのネームに決めたんだ。
「……分かりました! ではそちらのネームで登録致しましょう!! ――では次に……貴方達二人の【ジョブ】、つまりはプレイヤーの職業を決めてくださいませ!」
▶▶▶ NEXT TIME JOBS SELECT...▽