エルデ神聖魔導高等学院 11
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少し時間は戻り、学院長がリョウへ入学証明書を渡すところから始まる。
リョウは、自分から証明書の授与をする事を予め聞かされていたので、キョウを後ろに待たせ学院長と相対していた。
(長い白髪に長い白い髭、まるで仙人みたい。でも瞳に力が無い気がする。お疲れなのかな?)
そんな風に心の中では思いながら、学院長が差し出してきた証書を、前世で同じように卒業証書をもらった時を思い出しながら両手で受けとった。
「痛っ!」
証書を手に持った瞬間、ピリッ! とした痛みが指先に走る。
(今の何だったんだ?)
それはその時だけで今」、証書を持つ指には痛みは無かった。
(紙で指でも切ったかな?)
その程度に考えたが、実際この世界の紙はまだ貴重で、その製法も手作業である。
工業製品である現代の地球の紙の様に均一したものでは無い為、指が切れるほどしっかりした紙では無かった。
ともかく特にそれ以外で問題は無かったので、リョウはお辞儀をしそのまま後ろに下がろうとした時だ。
「?」
違和感を感じた。
急に証書の中心から異常な熱量を感じたのだ。
「!!」
そう感じた瞬間、証書を持つ両腕の中に何かが一瞬で入ってきて目の前が真っ白になる。
でもそれは嫌な物では無く、良く知る暖かい温もりを感じるものだった。
「ルレリ?」
そう思ったのだ。
白い何か? しか解らない一瞬だったが、リョウはそう思ったのだ。
そして自分を振り返り顔を見せて笑ってくれた様に思えた。
「!!!!!!!!!!!」
耳をつんざく、轟音がリョウの耳から入り頭に衝撃を感じさせる。
その間にも前面からの異常な圧力がリョウの両横を激しく空気を奮わせ過ぎていったのだが、なぜか正面からはその圧力が和らいでいることに気付く。
そしてその原因が先ほど目の前に表れた白くて暖かい何かであることだと思った。
(でも、それって僕、ルレリって・・)
そう思った瞬間、リョウの心は跳ね上がった。
それは、とてつもなく嫌な感じだ。
(そうだ、この感じは憶えている。僕が地球で生活している小学生の時、僕とお姉ちゃんを庇ってくれた、お母さんの時と同じだ。)
涼介は思い出していた。
目の前に歩道の縁石を乗り越え、迫ってくる暴走車を。
その車がくる瞬間、お母さんが僕とお姉ちゃんを突き飛ばした事。
そして暴走車がお母さんを自分の目の前で跳ね、押し潰していくさまを。
「お、お母さん・・・?」
涼介は目の前で起こった事が理解出来なかった。
投げ飛ばされたリョウはフラフラと、車の下敷きになっている母の所に近づく。
「お母さん?」
「りょ、ちゃん、」
「お母さん!?」
母の声を聞いた涼介は、我に返りそして現状を把握してしまう。
「お母様さん! 血が、血がいっぱい! 嫌だ! こんなの!!」
「りょう、ちゃん、無事、だったの、ね? 京華、、は?」
母の言葉に、涼介も慌てて姉の姿を探すとそれは直ぐに見つかった。
自分が倒れていた直ぐ横に、怪我も無く倒れている京華いた。
呼吸もしているようだし気絶しているだけみたいだ。
「良かった、涼介と、、京華、が、無事で、」
「でも、お母さんが! それにお父さんは?」
涼介の言葉に、小さく首を横に振る。
「私の、、、直ぐ、横に居ると、、、思う、けど、、、、もう、、、、、ゴホッゴホッ!」
「お母さん!?」
「ごめんね、もう一緒に、、、く、ら、せない、みたい、本当に、、、、ご、め、、ん、、、、、、、」
「!!!! だ、だめ、だめ! 駄目だよ!! そんなの絶対に駄目だ!!」
「リョウ、様。」
「え?」
ルレリの声がした。
リョウは自分の腕の中で横たわる、ルレリを見る。
微かに目を開け、自分を見ているルレリがそこにいた。
「良かった。リョウ、さ、ま、、が無事、で、、、」
「ル、ルレリ?」
「ごめん、なさ、い、一緒、に、学校、通え,な、、、、本当、に、ご、めん、、、な、さ、、、、」
僅かに開いていたルレリの瞳がつぶられ、リョウを掴んでいた手が力無く床に落ちた。
リョウは呆然と横たわるルレリを見た。
その横にはいつの間にやって来ていたのか、メアリが手元をルレリの真っ赤になったお腹に翳し、一心不乱に術をかけていた。
それでも血の流れは止まらない、いや流血というより、そこに存在するはずのルレリのお腹が半分無いのだ。
リョウはその光景を見て始めて思い至った。
(な、何? これじゃ、ルレリが、、お母さんと、、、一緒、、、死んじゃう、、そんなのだめ、だ、)
「・・・・・・・・・・だ・・・・・だめ・・だめだ」
「リョウ、様?」
「・・・・・だめだ・駄目だ、駄目だ! そんなの絶対に駄目だああああ!!」
今まで放心状態だったリョウが突然大きな叫び声をあげた。
それを合図にしたように、リョウの腕に嵌められていた12の封環の腕輪の内、6個の腕輪が一斉に輝き一気に消え失せた。
その瞬間、未だに爆煙が漂い視界の悪い講堂内に異様な圧迫感が人々を襲った。
殆どに人間は膝を着き頭が下げる。
女王を始め一部の教師や騎士達は、なんとか自我を保ちやっと立っていられる程の圧力だった。
「な、何なのこの力は?」
なんとか堪える女王は必死にその力の発生源の光の固まりを確認しようと目を細め注視する。
「!!?」
女王は声にならない声を出し、その光景に息をのむ。
そこには、透き通る白い光を放つリョウの背中から同じ様に白く輝く光の帯が二つ左右に別れながら一気に膨れ上がる。
それは、そのまま人の背丈以上に伸びると、リョウとルレリアーヌを包み込み始めた。
「女神の白翼・・・」
女王が口にした言葉、それは神としての力を持つものだけが現す翼。
その中でも、女神の白翼は、神王のみが顕現させる事ができる翼。
「こ、この、方、が、リョウ・ゼウレシリウス神王様。」
女王は無意識のうちに両膝を着く。
しかしそれは神々しい姿に崇拝するというより、その力の巨大さと、神とは思えないまがまがしさを感じた為だった。
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