謀略
投稿いたしました。
是非読んでみて下さい。
「くそ! ルレリアーヌの奴!」
誰に咎められるわけでもなく、悪態をついて部屋の中をうろうろと落ち尽きなく歩き回っているのは、このエルデパルディア王国の国王、ドイル・パルディア王であった。
「このわしに何も相談せずに、天界と魔界からの使者を招き、勝手に王妃に手紙を送り全てを自分の思い通りに事を進めよって! なんと腹立たしい事か!」
かなり勝手な思い違いをしているようだが、自分の立場がこの国では全く重要で無いことを判っていた。
だからこそ、自分の娘がこの国の責任を任されていて、国王である自分が何の権限も無い事を嘆き、恨んでいた。
「父王様、あまり興奮されると、頭の血管が破れてしまいますよ。」
微笑むような顔で父王を諭すのは、第一王子のルドエル・パルディアだ。
王は小太りなのに対して、王子は背が高く、端正な顔立ちに銀色の長い髪をなびかせる、どことなく母ある女王陛下に似た、普通に見ればかなりのイケメンだった。
じっさい、侍女の中では結構人気があるようだ。
「何を悠長な事を言っておる! このままルレリアーヌが天界と魔界に太い繋がりを持てば、この国に次の女王として、お前の妹を掲げる事が決定的になるのだぞ?!」
「それはそでれ仕方無い事ですよ。運が無かったという事でしょう。」
どこか自分には関係無いといった淡々とした喋り方に、余計イライラを募らせる国王。
「お前がそんな風にのらりくらりとしておるから、ルレリアーヌがつけあがるのだぞ!」
そんな国王を冷静な、いや冷たい目で見ている事を国王は判っていなかった。
「良く、考えて見てください父王。今回、天界、魔界から我が国のエルデ神聖魔導高等学院に入学されたお二人ですが、まだかなり小さいと云うではないですか。いくら天魔界の方といえど子供ですからね、ご自分で身を守れるほど御力が有るとは思えません。不慮の事故とか起こって何かあってもおかしくはありませんよ?」
思わせぶりな態度の王子。
「何か策でもあるというのか?」
国王は、自分の息子ながら頭は切れると思っている。
何か策があるのではと考えてしまう。
「特には無いですね。」
「なんじゃ、無いのか? 思わせぶりな態度とりおって! それならどうすれば良いというのか!」
その時、王子の口角が上がった様に見えた。
「特に何もする必要はありませんよ。不慮の事故というのはいつ起こるかなんて、それこそ神や魔神でも解りませんからね。そんなの私でも防ぎようがありません。」
わざとらしく、両手を横へ広げ、肩をすぼませ顔を横にフルフルと振る。
「何かするつもりなのか?」
小声になって話す国王。
(全く、この様な何処に耳が在るとも解らない場所で、その様な物言い、だからあなたは母上に勝てないのですよ。)
「私は何もしません。ただ私は何事も注意は必要と言っているだけですよ?」
「チッ! お前も役にたたんか。ふん! ならこの私が陣頭指揮をとって、奴らに煮え湯を飲ませてやろうぞ!」
そう叫び声あげ、部屋渇ら出ていく。
「あれだから、母上に敵わないのですよ。私は必ず妹、ルレリアーヌに勝ってみせますよ。」
誰も居なくなった部屋の中で、王子は冷たい表情のままにやける。
「ルドエル様。」
突然、部屋にはルドエル王子以外居ないはずなのに、どこからか別の男の声が聞こえてきた。
「準備はどうです?」
王子は、視線を部屋の片隅に固定したまま何処にいるかも解らない男に問い掛ける。
「はい、良い少年がおりました。彼なら上手く演じてくれましょう。」
「そうか。」
暫く、沈黙が流れる。
すると、王子は今までの事が無かった様に、部屋から出て行った。
そしてその部屋には誰も居なくなったはずだった。
「ルドエル王子か。なかなか上手く動いてくれるものよ。地球では2度も失敗してしまい我が君に顔向けが出来なかったからな。」
そして少しの沈黙。
何かを思い出しているのだろうか?
「まあ、今回は力量を見極めるだけにしよう。そして必ず、お二人の体を我が君に捧げましょう。」
その言葉を残し、今度こそ本当に部屋から人?が居なくなった。
有り難うございました。




