僕が女神様?12
ちょっとだけ読んでみてやって下さい。
「取り乱して、申し訳ありませんでした。」
リョウの謁見用の礼服の着替えを手伝いながら、テルエが何度目かの謝罪で頭を下げていた。
「もう良いよ。だいたいラティスがあんな事させるから悪いんだからね。テルエのせいじゃないでしょ?」
「いえ、私は何時か神王様のお世話が出来るようにと、この2000年間修業して来ましたのに、いざという時にこの様な失態、万死に値します。」
(おいおい、そんな深刻な問題でも無いだろうに。それに2000年修業ってどんだけ研鑽つんでるんだ?)
と、ちょっと思い詰め過ぎる感のあるテルエには、もっと自然に話して欲しいと思うリョウだった。
それも、リョウの衣食住に関して専属の側近として世話をするようなので、あまり堅苦しく接しられてもリョウとしても困ることになるからだ。
「テルエさん、これからほぼ一緒に居る時間が多くなるんだよね?」
「はい、神王様が私を必要とされない事が起こるまでは誠心誠意勤めさせていただきます。」
また深々と頭を下げるテルエに溜息が出てしまう。
「それ、そのあまりの畏まられる姿勢が続くと、僕としては物凄く息苦しいんだ。こうやって身内しか居ない状況で気を使われるのは物凄いストレスなんだよ? だからもっと友達みたいに接してくれると本当は嬉しいんだけど駄目かな?」
「そ、そんな恐れ多い事、たかだか2級神の私如きが、」
「それが駄目だっていうの! 自分を卑下しない! 僕が見る限りテルエさんはとっても綺麗だし、スタイルもレティアやラティスに比べてずっと女性らしくて美しいよ? 自信を持って僕と接して下さい。良い?」
そう強めの口調で言い聞かせるリョウだったが、まだどうしたら良いか迷っている感じが解る。
「まあ、直ぐにフランクになれとは言わないけど、徐々にお願い。それとまずは僕の呼び方を変えよう。出来たらリョウと呼んでもらいたいんだけど、駄目? かな?」
「そんな!駄目等ということはありませんが、宜しいのですか?」
「そこも! その場合は、良いのですか? くらいでお願い。解った?」
テルエは頭を捻り、悩み出した。
そんなに難しい事何だろうか? とリョウは思うけど、大戦を知らない世代のテルエ達にとって、神王リョウとは、次元を超越した憧れることすら失礼になるのではと思う存在だったので、その本人がこうも自分達と身近に感じれる存在なのに戸惑っていたのだ。
それでも、神王様の言う事を無下にも出来ないので悩んでしまうのだろう。
「解りました。ちゃんと出来るか解りませんが、出来うるかぎり努力させていただきます。」
「じゃあ、まずは名前から、リョウって呼んでみて?」
「え? あ、はい。で、では、いきます。リョ、リョ、リョ、リョウ!、様! はあ、はあ、はあ、」
肩を大きく上下させて、精根尽き果てた感じまで疲労したテルエを見て、苦笑するリョウ。
「まあ、良いじゃないかな? これからもそんな感じでお願いね。」
「は! はい!! 神王様!」
「リョウ!?」
「リョ、リョウ、様。」
そんなやり取りをにこやかな顔でするリョウと、疲労感が半端無いテルエだった。
「リョウ、様。着付けが終わりましたので、こちらの鏡でご確認いただけますか?」
「そこは、せめて見てもらえますか? くらいでお願いね。」
「は、はい、気をつけます。」
リョウはなるべく優しい笑顔で直して欲しい口調の改善を求める。
「えっと、それでどんな感じかな? って・・・・嘘でしょ?」
リョウは、始めて自分の姿を確認して、驚愕というか本当に自分なのかと疑ってしまった。
そこに写るのは、レティア達が着ていた白を基調とした服をより洗練し錦糸や銀糸の刺繍で派手にならないような所に複雑な文様を施し、肩から伸びる燕尾の形をしたマントがリョウの背丈の倍以上長さがあるのにどういう仕掛けか地面に着かず浮いておりその存在感を醸し出していた。
短パンからスラリと伸びる白い脚に、膝上までの長めのブーツを履いているせいか、想像以上に脚が長く見える。そして短めのジャケットと短パンの間はやはりおへそがしっかりと強調されて見えていた。
その服装も恥ずかしいのだが、自分の顔がここまで整った造形だった事が余計に恥ずかしさを倍増させていた。
(地球でも良く女の子に間違われてからかわれていたけど、こっちに来て女の子になったと言ってもこれはもう絶世というか、もうこの世に存在してはいけないレベルの美少女じゃない?)
「どうですか? リョウ様。この容姿に最高の職人による礼服の仕上がり! 間違いなく三界の頂きに立つ王者の美貌ですね! これなら魔王様であろうと堂々と渡り合えます!」
テルエのリョウ自慢で余計に恥ずかしくなるリョウだったが、ここで逃げる訳にもいかず、この自分を受け入れる他の選択が無いことを再度認識した。
「はあ、これって反則だよね?」
「いえ! 正義の美しさです!!」
テルエのリョウ自慢は歯止めが無いようだ。
「失礼致します。魔王様がお着きになられたとの報告が入りました。」
側使えの一人の女子がリョウとテルエに向かい魔王の到着を伝えた。
それに応え、リョウは自分を見て惚けている自分を諌め、背筋を伸ばす。
テルエはそのリョウの気配を察し、一歩後ろに控え頭を垂れる。
「リョウ様、それではご案内いたします。」
「ああ、お願いします。テルエ。」
テルエを先導に、リョウ達は寝所を後にして謁見の場へと歩みを進めていった。
(さて、魔王ってどんな人なんだろう?)
リョウは、その昔、記憶には無いけど、大戦を一緒に戦い抜き、一緒にこの世界を転生し去った魔王に会える事に興味と不安をそれぞれ抱えたまま向かっていった。
読んでいただき有り難うございます。




