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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第239話:彩花の誕生日

 彩花の誕生日が迫ってきた。去年は付き合ってもいなかった時期なのでスルーされたが、今回はちゃんと彼氏として付き合って、その中での誕生日を祝う、ということで今年は何かしらプレゼントを贈ったり、思い出に残るようなイベントを発生させなければならない。


 彼氏として、いくらダンジョンで余りある資産とレベルアップ、自己能力の強化をさせているからと言って、普段からそういうことに興味がないし、俺が興味ないからお前も興味ないよな? のような反応ではいくら彩花が俺のことを好きでいてくれていたとしても、興味はだんだん薄れてしまうだろう。


 そういう男になってはいけないと思っているので、ちゃんと記念日にはそれなりの対応をしていきたい。当日じゃなくてもいいので、お互いの都合のいい近い日でちゃんと祝ってあげたいと思うのだ。


 そんなわけで今、俺は悩んでいる。恋愛経験ゼロから一気に何十段飛ばしで階段を駆け上ってきたので、丁度いい具合の彼女へのプレゼントやそういうものについての知識や経験値が非常に浅いのだ。


 こういう時に……よし、頼りになる数少ない相手に頼ってみようと思う。久しぶりに隆介に連絡を取ろう。腐れ縁で大学に入ってから一切連絡を取らなくなった相手ではあるが、第一声が「お前誰だっけ? 」でない限りは信用に値する男だと思ってちゃんとアドバイスを聞こう。恋愛強者という意味では俺よりも経験豊富で百戦錬磨の猛将である。


「もうすぐ彩花の誕生日だから何か贈るなり思い出を作ろうと思うんだけど、思いつくきっかけみたいなものがあれば教えてくれ。礼はいずれ精神的に払う」


 送信……と。あいつも暇ではないだろうし誕生日までに返事が返って来ればいいや。急ぎじゃなくてもあいつが思いついたときにでも……と思っていたらすぐに返信が来た。


「思い出の場所があったらそこへ行ってみるとか、そういうのはありだな。後は高級品を送り付けるのはお互いに不幸になるからやめておけ。普段使いの物でちょっと高級なラインナップがあるならそれを送ってみるとか、あとはいくら相手が結城でもダンジョンデートはやめておけ。それ以外ならお前が頑張って考えたデートプランなら多分嫌がったりはしないだろうし、クリティカルな地雷を踏みぬかなければ大丈夫だと思う」


 ふむ……久々に名古屋まで出かけて二人で駅前や栄をうろついて、手近な店で食事をして……というのでもありってことだな。ここから名古屋まで出かけるのは少々面倒だが、その間に彩花が行きたい店を聞いてプランに組み込んでいくというのもできる。


 名古屋まで行くには去年までに比べると遠くなったが、その分地元にはそれっぽい店が一応ないわけではない。ただ、繁華街と人の集まる量、そして店の品質の良さや取り扱いのあるブランド品の多さなどを考えても、名古屋まで出るほうが正解だろう。行き道や帰り道で疲れて電車の中で寝てしまう……という可能性はあるが、まああまり気にせず行こうかな。


 隆介の助言に従って俺なりにデートプランを組み立てて彩花をデートに誘おう。当日そのものではないだろうが、誕生日おめでとうとちゃんと伝えてできれば祝いたいからな。そのまま夜まで……というわけにはいかないのが寮暮らしの辛いところだが、その分ちょっと朝早めに出てしっかり楽しんで帰ってくる、という流れで良いだろう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「彩花、次の休み空いてるか? たまには名古屋まで足を伸ばして色々と楽しんでこようかと思うんだが」


 その数日後、昼食時に何気なく久しぶりに出かけたいフリをして、彩花を誘う。


「次の休みって土日よね。今ならどっちも空いてるわよ。どっちがいいかしら? 」


 両方OKらしい。これは確実にいける流れ。


「そうだな、翌日に昨日は楽しかったのに……という気持ちでモヤモヤしながら講義を受けたくないから土曜日にしたいかな」


「そうね……そう言われると土曜日に遊びに行って日曜日はゆっくりするか、幹也の部屋に遊びに行くか、幹也の部屋で予習復習するか、幹也の部屋でレポートを仕上げるか色々選択できるし、その方がいいわね」


 俺の部屋で何かしらするのはかなり高い確率で発生するらしい。


「お熱いねえ君らは。他の生徒が講義のレポートとか実技だとかでフラフラしてるのを横目に余裕の表情だねえ。私もそんな大学生活だったら今頃研究者せずに大人しく銀行の受付嬢とかをやっていたのだろうか」


 また一緒にいる大泉教授がこちらのカップルのラブラブ会話に水を差すように、いつものソースカツ定食を食べている。


「大丈夫ですよ、先生には僕が付いてますから。最低保証付きです、安心して良いですからね」


 朝日奈も一緒にいる。今日はこの後大泉ゼミ。ゼミ生が教授含めてここに集まって食事をしているものだから、実質既に講義が始まっているようなものである。


 ちなみに今日のお昼ご飯はカツカレー。彩花がチャーハンで朝日奈が鶏のから揚げに小鉢のひじき和えをつけている。統一感がないのはいつものことだが、統一感と言えば「おばちゃん、いつもの! 」だけで注文を通す大泉教授だけであろうか。食券制なので、わざわざいつもの! と叫ぶ必要もないんだが、これが癖になっているらしい。


 ソースでビタビタになったカツを美味しそうに食べ、キャベツをソースで完全に濡らしてソース浸しになっているそれを口に運び、シャキシャキと食べる様は、子供が調味料をありったけかけたものを食べるそれに近い。本人は気づいてないんだろうけどな。


「それにしても名古屋で用事って、幹也にしては珍しいわね。何かイベントでもあるのかしら? 」


「そういうわけじゃないけど、たまにはこう、ふらっと出かけるのも気晴らしにいいかなって思って。ただの買い物なら一人で行ってくるけど、気分転換なら一人より二人のほうがより気分よく過ごせると思ってさ」


「ふうん? まあいいわ。土曜日空けておくわね」


「ありがとう。愛してるぞ」


「知ってるわ」


「あー暑い暑い。今年はもう酷暑が始まっているのかねえ」


 いつものやり取りをしている俺と彩花のちょっと離れた先で、胸元をパタパタさせながら俺達のやり取りを眺めて呆れている大泉先生と、その大泉先生の胸元をガン見している朝日奈。この二人もある意味ではぶれないな。特に朝日奈。


「さて、ここでゼミ情報だが、自己保持装置を見に来る電力会社の社員さんが近日来訪するらしい。もしかするとゼミの時間に被って来訪されるかもしれないので、その時は装置の説明に一役手伝ってもらうことになる。いいかね? 」


「それは構いませんが、また急な話ですね。何かそちらの業界向けに鼻薬でも嗅がせておいたとかですか? でなければ急にわざわざ向こうから来訪するなんて話にはならないと思いますが」


「そこは私の天才的頭脳による駆け引きの成果だよ。魔石くずの提供のお礼のメールにおかげで研究が一区切りついて途中成果みたいなものを出せそうです、今のところ誰も触れることなく人類の科学とダンジョンの謎の技術が融合した電球が我がラボを光輝かせています……と言った感じにメールに誇大広告乗っけたら引っかかった」


 朝日奈も彩花も俺も、三人がおいおい……といった顔。いくらなんでもそれはちょっと言いすぎだろう。


「半分詐欺では? 探索者が必要なことは説明してないですし」


「まあ、半分は本当のことだから良いんだよ。この手のベンチャー系の話題の8割は詐称から始めるんだ。少なくともこっちは5割しか詐称してないんだからそれに比べれば随分と優しい。それに、大学の看板背負ってる以上は成果も出さなければいけないし、その成果物として電力会社からの協力を取り付けた上で電力会社の困りごとを少しだけ解決に導ける道筋を見つけた、となれば確実に次のライン、探索者の手を借りることなく自前で魔石からエネルギーを吸い出す方法を探し出すことができるはずだ」


 魔石と言えば、【火魔法】で最初から熱していたら全魔力を使い切れたりするんだろうか? それとも、純粋な熱でないと魔石にエネルギー流入を促す穴みたいなものを穿つことはできないんだろうか。今後の実験テーマとして一つ上げておくか。【火魔法】なら自力で取りに行けるしな。


「まあ、言いたいことは解りましたし手伝う内容もほぼ理解できました。で、いつ来る予定なんです? 」


「君らのデートよりは後かな。向こうも忙しいらしくてね。ただ、この研究が上手くいって早々と再発電炉が建設される場合、現在廃棄手続き中の魔石くずが全て資産に変化するわけだろう? そこのところで早めに調整をしたいという話はしていたね」


 つまり、早ければ来週中にもお客さんが来る、ということなのだろう。電力会社も魔石くずがくずではなく本当に資源足りえるのかは悩みどころのようだし、魔石からエネルギーをすべて吸い上げて、本当のくずになったらどのように魔石自身の硬度や密度、割れやすさなんかに影響があるかも考え、適切な産業廃棄物として処理する流れになりそうではある。


 ガラスみたいに溶かして再利用して、魔石ガラスとして民芸品として再利用する道もあるだろうし、そうなれば産業廃棄物としては大量に出てくる魔石ガラスを応用して何かに使いなおせないだろうか、という流れにもなるだろう。SDGsではないが、利用できるものは利用できるようにして行くという姿勢は大事なんじゃないだろうか。


「で、デートの話に戻るけど幹也はどの辺行きたいわけ? 」


「うーん、栄から久屋大通に向けてブラブラしたいかな。彩花の行きたいところがあればそっちに行くのも全く問題ない。ただ、気晴らしがしたいから一緒にどう? って話だしね」


「そうね……じゃあ考えておくわ。色々と」


 少し彩花に考えを見透かされた気がするが、そういうつもりでいてくれた方がこっちもありがたい。


「はあ……週末はしっぽりデートするカップルがいる一方で、こっちはお客さん向けの資料作りか。これが恋愛格差社会の構図ってわけだねえ。なんとも……くやしい」


 あ、素が出た。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
そこのロリコ、、、んっん!紳士におねだりしたらイチコロですよ!なにせ合法なので!、、、実年齢だとロリ側が最終的に職質くらうかもだけど( *¯ ω¯*)……
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