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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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204/218

第204話:帰宅

 講義が終わった後、やたらなつっこい犬みたいになった彩花が自分にもなでなでを強要してきたため、昼ご飯の後に物陰でひたすら彩花をなでなでしながら膝枕をして過ごすことになった。説教されるよりはこっちのほうがマシだ、これで彩花の機嫌が直るなら安いものだ。いやでも、誰かに見られたら……と言うことを考えるとこっちのほうがちょっと辛いかもしれない。まあ、これも必要分のコストだと考えておこう。


 その後必修授業を午後から二つ終える。こっちは一回生二回生でできるだけ取って後を楽にするために早めに取るものと、一回生で必修科目に指定されているものの二種類があるため、できるだけ受けて二年後を楽にしてしまいたい。


 研究に集中できればそれだけ実績が積める。学校のために、自分のために、社会のために、という三つの目的を叶えるため、今はちょっときつめではあるが授業をしっかり受けて後で苦労しないようにしておくのも大事だからな。


 そのために、彩花とも相談してできるだけ似たような講義を取った上でお互い気になる講義もそれぞれ取り、別れる講義もかなり出てきた。今年と来年はまあ、そんな感じだろう。三回生になったらほぼ同じ講義を取ることになるだろうから、その時はまた一緒にのんびり講義を受けることになりそうだ。


 さて、なんだかんだ色々あったが無事に一日が終わり、今日の授業はすべて終わった。彩花と共に女子寮へ行き、アカネの引き取りに向かう。アカネは大人しくしているだろうか……とか考えても、そもそもアカネは何にも触れられないし、物を動かす能力もない。だからこっそり抜き打ち検査をと言いつつ彩花の私生活をあれこれチェックしたりもできないはずだ。


 安心して外で待っていると、アカネが一人でふよふよと浮いて現れた。


『彩花は? 』


 周りに聞こえない脳内の声で会話する。何もない女子寮の近くで男が独り言をつぶやき続けるのは事案行為だ。家に帰る道をたどりながらアカネと脳内を介して話し合う。


「今からご飯作って食べるからとっとと帰れと追い出されたわ。ひどいものよね」


『彩花のご飯はちゃんと食べられる物だから、今度機会があったらご相伴に与ると良い。俺よりも栄養バランスや女子力に溢れていてたぎるものがあるぞ』


「無事に引っ越しが終わったら二拠点間を移動しながら私も味わってみるとするわ」


 そのまま歩いて駅まで行き、電車に乗る。電車の中で独り言をつぶやくのもまずいので、まだ無言。アカネに頭の中を読み取ってもらって、そのままアカネに口に出して会話してもらうという、脳内に直接出力してもらうような形で会話を楽しみながら家までの四十分少々の間の暇つぶしを楽しむ。


『しかし、やはり早いところ引っ越しを終わらせないといけない、という気持ちになってきたな。これでは家に着いたら真っ暗だ』


「そうね、その時間だけ彩花とデートしたりダンジョンに出かけたりする時間が増えると考えたら、確実に時間が余る近いところに家があるほうが便利なのは間違いないわ」


『夢のキャンパスライフまであと少しってところか。引っ越しが終わったら美味しそうな和菓子屋も見つけておかないとな』


「あら嬉しい。お供え確保用のお店ってことよね。調べればすぐ出てくると思うから、実際に食べ比べてみて一番おいしい店が良いわ。後はそうねえ……パスタ以外が安いスーパーがあれば幹也の栄養状態も改善されると思うからそれも追加ね」


 そうだな。大学生活が始まって慣れない環境の中で体調を崩すこともあるかもしれないし、それについては食事をきちんととることでまず一日のリズムと最低限の栄養を摂ることで少しずつ改善に向かわせる、という形で徐々に慣れていく必要があるだろう。


 後はそうだな、大学構内のダンジョンも潜ってみたいし、せめて十層までは潜っておかないといけない部分もある。またあの暑いサラマンダー地帯を抜けてこなければいけないと考えると気が滅入るが、アリバイ作りはきちんとしないといけないからな。一回は我慢することにしよう。


 やることが次から次へと溢れて出てくる。やることが何もなくて手持ち無沙汰になることに比べたらいいことだ。ゴールデンウィークが明けるころまでには落ち着いてくれている、というのも確実にわかり切っているのも安心感を与えてくれる。


 とりあえず、帰ったらまともに飯を喰おう。パスタは……パスタも量を減らしていかないとな。朝パスタは確実に食べていくとして、今日もオーク肉の塊を削って焼肉野菜炒め風にして一品作ってそれを主食に……パスタにするか。夕食にパスタ以外の栄養がちゃんと取れてれば充分だろうし、アカネも文句を言わないだろう。


「そうね。パスタだけってのが問題なのだから、他にも作るなら問題なしよ」


 お墨付きが出たので夕飯の献立は決まった。足りない野菜は家に帰って考えて、どうしても必要なものがあったら買いに行く程度にとどめておこう。


 引っ越しの日取りは決まったし、その日までに乾物や食料はできるだけ消費して、仕切れなかった分については荷物として運ぶしかないんだろうが、冷蔵冷凍ものは特に問題だ。当日までに多少弁当が豪華になっても仕方がない範囲でモリモリと消費していこう。


 何とかして間に合わせるつもりではあるし、早めに使い切ってしまって最後の三日間ぐらいは購買や学食、コンビニで飯を調達してちょっとお高い出費にはなるがそれで食いつないで行くぐらいの気持ちが必要だな。


 そのままアカネと脳内会話を繰り広げながら帰るが、アカネ曰く、男が女子寮に通った形跡があったらしく、追いかけるとある一室でしっぽり頑張ってたカップルがいたらしい。外でやれよ外で。しかも男子立ち入り禁止の女子寮に入り込んでまでやることじゃないだろ。ペット禁止のマンションでペットを飼ってた話はよく聞くが、それと同じようなものなのだから彼氏を招き入れたいなら外で借りるべきだろ。


「まあ、彩花が仮に幹也を引き込もうとしても、幹也のほうから断るだろうからその辺をわきまえてるあたり、私の信者は出来が良いわね。むしろ、幹也が男子寮じゃなくて外に部屋を借りたのも、その辺を加味してのことだろうしね」


『まあ、男子寮にダンジョンの入り口作っても彩花が入ってこれないしな。二人で潜ることを考えたらやっぱり外で家を借りるべきだし、多少余分に払う家賃の分はダンジョンから自己回収できるからその点でもかなり楽な生活ができると思うんだよな』


「そこまで考えてるなら問題ないわ。順調に進んでないのは冷蔵庫の中身の消化ぐらい、というところね。頑張って食べ過ぎるぐらいに食べて、しっかりカロリーを蓄えておくことね。これからいくらでも消費する機会はあるでしょうし」


 カロリー消費……ダンジョンなら普段の量で充分だから……ああ、そういうことか。


『それはどっちの意味でだ? エロい意味なら話はここで終わりだぞ』


「そっちの意味も込めてよ。だってあなたたち、卒業して大学合格してから、まともに触れ合っていないじゃない。そろそろあなたはともかくとして、彩花のほうは我慢の限界かもしれないわよ」


 そんなに我慢させてるというなら急いで引っ越しの準備も済ませないといけないか。引っ越し祝いは彩花で良いかな。そこまでしっぽりした後、日を改めて装備を渡しに行ってついでに大学構内ダンジョンに着いて調べておく必要があるな。地図があるのかどうかと、どこまで潜れるようになっているのか。


 そして、ダンジョンの構造は何処まで駅前ダンジョンと違っているのか。各地のダンジョンはダンジョンの製作者によって毛色やモンスターの種類が違うという話だし、モンスターの種類がどれだけいるのか、そしてどれだけの情報が事前に集まっているかも確かめなきゃいけないな。


 ダンジョンにはまだ潜れないものの、情報だけなら掘り進めることができるだろうし、大学構内のギルドに問い合わせれば地図の販売もあるだろう。中で迷ったりする可能性はなさそうな気がするな。


 十層まで潜って帰ってきた実績さえ作ってしまえば、今までと同じような魔石を混ぜ込んでダンジョンに突入して稼いで帰ってきました、というアリバイ作りが必要になる。今までは駅前ダンジョンで、そしてこれからは大学構内のダンジョンで……これからは大学ダンジョンと便宜的に呼んでいこう。


 大学ダンジョンでの活躍がどこまで出来るかわからないが、それなりに時間をかけて探索をして、その結果として標準の倍ぐらいの魔石を順次交換していく、四年間使える便利な換金場所としてしっかりとお世話になることにしよう。


 魔石のいくつかは今のうちに換金してしまうのも有りかもしれないな。まだ装備品も未換金物資も梱包してないので、最後の換金と称していくらか資金をあらかじめ都合しておこう。家に帰ったらご飯の用意をして、それから最後の換金だな。しっかりお別れを言いに行くつもりで最後の換金を終わらせておこう。


 今回はスキルスクロールには手を付けずに、魔石だけを交換する形にする。スキルスクロールは……なんかゼミで使う機会が出てきそうな気がするので残しておこうと思う。最寄り駅に到着するという車内のアナウンスがちょうどよく、思考の海に沈んでいた頭を現実へ引き戻す。


 さあ、まずは家に帰って飯を作って、腹を満たすのが最善だ。自転車を漕ぎ急いで家に戻ると、冷蔵庫と食糧ストックの中から材料を見繕い、オーク肉と合わせて炒めて、同時にパスタを茹で、良い感じに茹で上がったパスタとゆで汁を少し足した野菜炒めにパスタを混ぜ合わせた。


 肉野菜炒めパスタを作ると、アカネにまずお供えして、その後でしっかりと味わい、塩胡椒を足しながら味わう。ヨシ、今日もしっかり夕飯で栄養分を補充したぞ。


 食べ終わったら探索者装備に着替えてバッグに魔石類だけを携えて、最後の荷物処理、ということで駅前ダンジョンに向かう。自転車置き場に自転車を止めると、まず出入口に向かって進む。そして出入口から今出てきました、と言った風に見せかけながら換金カウンターに向かい、今ダンジョンから出てきました、という感じで魔石を取り出し、全部で108600円になった魔石の山を処分し終えた。


 これで心残りになるようなものはなくなった。さあ、後は引っ越しするだけだ。帰ったら……とりあえず途中のコンビニでお菓子を買って帰って、たまには贅沢しよう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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