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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第196話:入学手続きを無事終えて

 なんだかんだあって爺ちゃんの努力の結果、一年分の授業料のうち半分は昨日でかき集めてきたらしい。なんつー爺だよまったく。とりあえず届いた振込用紙を渡しに行き、確実に振り込みを済ませると、昔のことを思い出してきたのか大学の入学届に必要書類を一通り確認した後、オンラインでできる分は全て済ませてしまった。


「お前の親父の時はもっと面倒だったからな。それに比べれば簡単になったもんだ」とは祖父の談。やはり昔は授業料振り込みして入学届も郵送で早めに提出しないといけなかったらしく、直接届ける場合もあったそうだ。


 今はそれがオンラインで完結してしまう時代。チェックの手間はあるとはいえ、直接郵送したりする書類も中にはあるが、それを除けば全部スマホがあれば終わってしまうという手軽さ。おかげで本当に大学へ行くのかどうか怪しい気持ちになってきたが、少なくとも合格通知書の偽物が回ってきたわけではなさそうなので本当に大学に通える、というのは間違いないらしい。


「なんか、本当に大学に通うのか不思議なところだなあ」


「金振り込んで書類書いて、もう送ったんだから後四年は学生していられるな。四年後どこに就職するのかが楽しみだな」


 爺ちゃんはいつも通りの笑顔でにかりと笑う。差し歯も入れ歯もせずに一本だけ抜けた歯を見せながら背中を叩いてしっかりしろよ、ということだろう。確かに、うっかりしてたらあれよあれよという間に入学式になって何も準備が出来ていない、ということにならないようにしっかりこの一カ月色々しないとな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「で、俺は説明した通りに忙しいわけだが」


「まあ、そういうな。腐れ縁も大学を機に断ち切れることになったわけだし、最後のあいさつに来ただけじゃないか」


 隆介が家にいて色々と準備を手伝いながら愚痴を吐きに来ている。


「金にはある程度困ってないから、マンスリーマンションに入居してる間に本拠を決めてそこで彼女と同棲ってことになるかな。流石に今から場所を決めて引っ越し……というのは難しいし、どうせ家具一式も買わなきゃならんからな。家具は順番に入れていくことで良いとしても、1からいろいろ揃えるのは中々時間かかりそうだしな」


「へいへい、俺はどうせ手が遅くてまだ引っ越しの準備すらできてませんよ……と」


「あれか? 引っ越しするなら結城と同棲するのか? 」


 隆介があっさりと俺が言いよどむようなことをハッキリ聞いてくるが、まず一人暮らしをする環境にも困っている状況だ。寮に部屋を借りるなら気軽に彩花を誘って二人でしんみりしっぽりできる、という未来は四年間封鎖されることになる。


 つまり借りるなら学外ということだ。多少狭くてもいいのでしっかりと防音……それもある意味捨てたとして、彼女を連れこんでも問題ない程度のプライベート感が演出できる場所ならそれでいい。その分だけお高くなるのは仕方がないというところだろう。広くなくていいのでウォークインクローゼットがあればなおのこと嬉しいところだな。それでダンジョンも隠せる。


「引っ越しするなら……同棲したい、というところだが、これは彩花の両親の了解も必要だからな。まだ顔合わせも済んでないどこの馬の骨ともわからんような男と、同棲始めるなんて話になったらきっと向こうも納得しないだろうし、その前に顔合わせぐらいはしておかないと納得しないだろうな」


「まあ……仮に俺が親の立場になったとして、顔も知らない奴と娘が同棲してるとなると、せめてどんな相手と同棲してるのかは気になる所だしな。まあ、お前ぐらい顔がよくなると……いや、逆にチャラいのが出てきたと反対する可能性もあるが……まあ、チャラさとは無縁のお前だし、無難に普段通りにしていればきっと誠実なイケメンとしてポイントを稼げるだろうよ」


「そうだな……ところでこの物件どう思う? 同棲できなくとも俺一人ぐらいなら住めそうで、たまに彩花が泊まりに来ても大丈夫そうな物件かな? 」


「どれどれ。この広さなら半同棲って形にならできるとは思うが、間取りだと隣の部屋との壁の厚さまでは解らんからな。実際に行ってみて、隣の部屋との壁の様子を見て仕切りが壁一枚なのか防音壁とまでは行かないにせよ断熱材がちゃんと入っているか、ぐらいの把握はしておきたいところだな」


 隆介の視点でも意見は欲しいからな。俺では気づかない所の情報を抑えてくれているのもあるし、やはりこの男は使える。周りの環境を考えたり、近くにスーパーがあるかとか、大学までは近いが他の施設にはどうだとか、そういう場面も頭に入れた上で色々教えてくれているので助かっている。


 今示したここで決めたいところだが、俺と逆の状況で、四月までに退去が間に合わずに夏ごろまで引っ越しをずらしつつ今の住居から通う卒業生がいたり、もしくは退去の手続き上まだ空き物件として紹介されてないものがあるかもしれないと考えると、時期尚早である可能性もあるのか。


「よし、実際に引っ越しするのは夏ごろってことにするか。それまでは今のまま通学って形にしよう。大家さんにはその辺伝えてあるし、予定より少し長くなるかもとは言ってある。大家さんも引き続き使ってくれても構わんし、出てきたいときは前の月までに教えてくれればそれでいい、とかなり甘めの判定をくれている。大家がいいおばあさんだから孫を見るような目線で育ててくれているのかもしれないが、そこは全力で甘えていこうと思う。両親に甘えられなかった分今少し甘えさせてもらっている、と思えばそう悪い話でもない。遅くとも夏までには色々落ち着くだろうし、そこで改めて考え直すとするさ」


「ダンジョン探索で金稼いでその分いい家財道具を仕入れて揚々と新居に入る、ということもできるわけだ。確かに遅いほうが無理がない分だけいいかもな。まあ、今から引っ越し決めて引っ越しをしたくても業者の手が空いてないって可能性もあるんだ、たしかに今すぐと決めないほうがいいかもしれないな」


 ふむ……ダンジョンに通う暇があるかどうかはわからんが、たしかに隆介の言い分には一理も二理もある。急がなくていい分資金面でもいい部屋に住むことができるかもしれないと考えると、悪くはないんだろうな。


「よし、引っ越しはしばらく考えずに物件を探すのは忘れずチェック、良い物件を引き当てたら内覧を早めにやって良さそうなら即時入居手続き、ということにしておこう。後は……やっておくことは何かないかな」


「遠方に引っ越しする俺よりバタバタしてるとはまあ、余裕のないことでいい御身分だな」


「逆に、引っ越しを早々と決めて部屋の荷物も一通り引っ越しの手配を済ませて後は運ぶだけにしてあるお前のほうがよっぽど要領が良くて嫉妬すら感じるよ」


 冷蔵庫からコーラを取り出して隆介に渡す。隆介はサンキューといいつつコーラを開けて飲みだす。


「さて、こうして話し合うのも後多くても数日だと思うと寂しさすらあるな。隆介は初めての一人暮らしだろうが大丈夫か? 寂しくないか? 」


「彼女とこっそり同棲するつもりだから問題ない。それに先の話だが、離れるからと言ってしんみりするのは俺達らしくはない。それにネットがあるしな。心理的距離としてそう遠い物にはならないのは悪いことじゃないはずだ。何でも相談して来いよ? 恋の話でも今日のおかずの話でもいいから気軽に話を持ってくることだ。ノイローゼになったりはしないにしろ、しばらくは暇つぶしの相手にでもなっててやる」


「それはありがたいことだな……と。使わない家具なんかはいつ動かしてもいいように早めに片付けの準備をしておくほうがいいんだろうか? それとも気が早すぎるか? 」


「夏をめどにって言ってるんだし、気が早すぎるのは間違いないな。しばらくはここから大学まで通うって話になってるんだから、本当に引っ越しの準備を始めてから梱包で問題ないと思うぞ」


「そうか、なら今までのままにしておくか。夏休み中に引っ越して……と言うこともできるんだし、しばらくは今まで通りだけど、通学距離が長くなった分睡眠時間が減るのは覚悟しておかないといけないか」


「そうだな。幹也は結構寝るタイプだし、電車内でアラーム仕掛けて降車駅手前ぐらいで鳴るように設定して、その間立ちながら寝るか座席を確保して寝るか、どちらかで寝る対策を取る以外は素直に朝も夜も寝るしかないだろうな。不憫なことだ」


 隆介がやれやれ……と言った感じでコーラを飲み干す。そして自分で洗いに向かった。最後の別れに、と丁寧にゴミまで選別してくれているらしい。


 ゴミ箱を漁ったりはしてないだろうな……とチラッと隆介のほうを見ると、きちんとラベルをはがしてゴミ箱に捨てて、綺麗にペットボトルを洗って捨てていてくれる。手際の良さとかかった時間から見て、他の物を眺める時間がなかったのは間違いない。


「で、だ。確認だが、結城とは無事に恋人の儀式を済ませたんだよな? まだなのに同棲するとかそういう話に飛躍してるわけではないんだよな? 」


 突然の隆介の突っ込んだ話にこっちがコーラを吹き出しそうになる。


「まあ……一応……」


「そうか、それならいいんだ。気持ちと行動が先走って手続きを忘れることはあるからな。感情に任せて突っ走るとそれはよくありがちだ。だが、手続きもきちんと踏んでるなら問題なしだ。後は親御さんの許可……取るかどうかはさておき、公認で同棲するかしないかはまた違ってくるだろうしな。先にも聞いたが、その辺はちゃんと考えているか? 」


「引っ越す前には一度、ちゃんと紹介するのかどうかは……彩花に任せる気でいる。彩花が私も成人してるんだからそのぐらいの自由は親の許可なしでやりたい、と願うなら別だが、親にも援助をもらいながらより楽に暮らすために同棲という手段を取るなら、それは親の認識と許諾が必要なんじゃないか? とは思っているが」


「そこまで考えてるなら大丈夫そうだな。精々頑張れよ」


「そっちもな。この先一緒にいることはないだろうが、何かしらのイベントがあったら連絡してくれ。頼りになれるところがあれば頼られるぞ」


「金以外で頼りにすることがあればお願いすることにしよう。金でお前に頼るのは……まあ、滅多にない」


 探索者の装備の話を思い出して言葉を澱ませるが、金の貸し借り以外では頼りにさせてもらおう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
あとはまたダンジョンで稼いでいくだろうから爺ちゃんの扶養を外れて独立した方が良いかもね!普通のダンジョン通いでも扶養控除内で収めるのはたぶん難しいやろ、、、レベルアップに伴って階層も深くなったし大学は…
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