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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第174話:期末テスト、迫る

 さあ、期末テストのシーズンだ。これがほぼ最後のテストになるだろう。このテストが終われば冬休み、そして共通テスト、各大学受験、そして卒業……とここからは流れるように大量の情報と行動が押し付けられる耐久試験の日々だ。高校最後の三学期の期末テストが大学の試験日程と被った場合はどうするんだろうな。後日再試できるのだろうか。


 まあ、国公立や有名私立の受験日と合わせてくる可能性は低いだろうからそこまで気にする必要もないか。その時は改めて受験を優先するので後で追試をお願いします、と伝えればいいことか。それにまだまだ時間のある話だ、今考えなくても後日で充分だろう。


「さあ、今回こそ幹也に戦いを挑むぞ。飯一回奢りでどうだ」


「料亭でもいいのか? 一食一万円ほどのすき焼きコースがあったはずだが」


「お前珍しく遠慮ないな。そんなに勝てる算段ができてるってことか」


「実際、払えない値段ではないだろ? まさか先日のインスタンスダンジョンの稼ぎ全部何かにぶち込んだとか、そういうわけでもあるまい? 」


 期末テストの点数勝負を挑んできた隆介に、王者の風格……というほどではないが、きっちり二回のテストを二位で抑えきっている分だけこっちのほうがチャンピオン側で、隆介は挑戦者側だ。赤コーナーから登場する側として、しっかり受け止めて手抜かりが無いように万全の態勢で迎え討とう。


「で、真面目な話としては駅前の特盛牛定食一食でどうだ」


「そのぐらいなら賭けの代償としては手頃だな。しっかり戦わせてもらおう」


 隆介が顔を近づけると、こっそりと俺の耳にだけ入るような声で呟き続けた。


「レベルアップの恩恵を俺も受け始めてるみたいなんだ。なんか前より頭がすっきりしながら勉強が出来てる気がする。これがお前も感じてた勉強のしやすさだとすれば、今回の手ごたえはかなりのもんだぞ? 」


 元々要領よく賢い隆介がレベルアップの恩恵を受けるなら、その効果の比率は俺との差どころではないだろう。もしかしたら本当に俺と並ぶぐらいに食い込んでくるかもしれない。これはいい勝負ができそうな気がするな。


「今の隆介を相手にするのはかなりの強敵のようだな。これはギリギリの勝負になりそうだ」


「お前から見てもそう感じるのか。やはりダンジョンでレベルアップして賢くなっていく、という方法はこれから流行っていくのかな、それともこれは探索者だけの秘密となっていくのかな。どう思うその辺」


 ダンジョン学習塾プランか。俺も考えないではないが、結局投げたんだったな。


「そうだな……学習塾で満十八歳以上限定の探索者装備を貸し出して怪我が無いように深くまで潜らせて、レベルが上がるまで経験値を積ませて……となるとさすがにハードルが高すぎるから中々難しいんじゃないか? 隆介の場合、俺と彩花っていうキャリー役がしっかりカバーしているからこそレベルアップできた部分もあるだろうし、これを金を稼ぐためのツールとして扱うのはかなり厳しいんじゃないかと思うぞ。俺自身もこれに効果があると感じ取った時に金を稼ぐためのプランにできないかどうか考えたが、どう考えても持ち出しとその頑張った分の効果に見合わないような形になると思う。身内でダメ元で、本当にどうしようもないのを無理矢理上げさせるようなプランじゃないと難しいな」


「ふむ、そうか……大学入学したらそういう賢くなるやり方もある、と広めて一つ金稼ぎに使えそうなネタだと思ってたがそういうわけにはいかなさそうだな」


「それならもう誰かが情報商材として形にして配りまわって、世の中にも受験勉強だけやるよりも半分の時間をダンジョンアタックに使ってレベルアップを狙った方が効果的に賢くなれる、ともっと知られていいはずだからな。そうなってないということは、やはり難しいんだろう。隆介が希少なパターンを引いた、というところで納得しておくのがいいと思うぞ」


「そうか。まあ、何事も先駆者は居るものだし、その先駆者がそれは難しいと判断して放り投げたものを、拾いなおして再度形にしようとしてまた放り投げて……というのは世の中にはいろんな分野であるのかもしれないな。考えるのはやめよう。それよりもテストのことを考えたほうが時間の無駄が無さそうだ」


 隆介が諦めたように自分の教室に帰っていった。とりあえず、一食分の金がかかっている今回の期末勝負、負けられない戦いが始まったな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「それで、勝つ算段は出来てるわけなの? 」


 家に帰ってきてアカネと相談しながら……いや、世間話をしながら勉強に身を入れる。世間話を挟みながらなので勉強のほうに身が入っているのは七割ぐらいだろうか。それでも一般人からすれば驚異的な学習スピードであることは間違いないんだろう。それでも俺としてはなかなかの速さで隙間に詰め込んでいっているので、おそらくだがレベルアップには脳みその使わない領域を徐々に拡張して使うようにするしくみみたいなものがあるんだろうと予測できる。


「正直わからん。隆介自身の元々のスペックが高いからな。今回ばかりは隆介にも追い抜かれる可能性がある。レベル2と言っても1から2に上がるだけであれだけの差があるんだ、あいつの場合その上がり幅も大きい可能性もある。油断すると足元をすくわれるだろうな」


「まあ、ダンジョンで戦うわけじゃないから負けて死ぬようなことにはならないだろうけど、今度こそ怪しまれるでしょうね。ダンジョン通ってる三人だけ異様に成績の上がり方がおかしい、と」


「そこでレベルアップの話を持ち出して、教員が信用するかどうかだろうな。それならまだ、ダンジョンを一緒に潜り合う三人で勉強の教え合いもしてるからその効果が如実に表れ始めた、と話した方が信憑性は高まるし、そうなると大体の責任を元々成績が良かった隆介に押し付けられるから都合がいい」


「生贄ってこと? ひどいことするわねえ」


 まあ、実際問題としてテスト問題の流出とかそういう話に発展してない以上、どうやって学力を身に付けているのかを知りたいのは学校側も同じだろうし、同じことができるならぜひともやってみてほしい、と言い出す側でもあるだろう。


 そこに対して「あはは、ダンジョンでレベルアップしたら効率よく脳みそを扱えるようになりました。ただし個人差はあるので効果があるかどうかは賭けになります」では話にならないと一蹴されるだろうし、そんな論文や話が巷に溢れていたらそれこそさっき言ったみたいに、ダンジョンに潜って見た目のレベルや知能レベルを上げるほうが優先される世の中になっているだろう。


「まあ、十全に能力を扱わせてもらっている身としては、今後大学生になったり高卒のまま探索者になったりする場合に、探索者として賢くなった後で一旦学校から離れて受験し直す……という新しい流れもできるようになるかもしれない、というのはあるかな。高卒即大学入学するほとんどの人と、稼ぎながらダンジョンに籠ってレベルアップして、賢さに下駄を履かせながら生活費を稼ぎつつ大学に向かうコースと、今まで通り浪人して大学受けるコースと……いくつか選択肢が出来ること自体は悪いことじゃないと思うんだよな」


「確かにそうね。別に高卒すぐに通わなきゃいけない理由もないんだし、探索者として稼ぐ手段が出来てる以上、大卒で就活する理由もあまりないわね。学問だけを身に付けたいって人にはちょうどいい感じなのかしら」


「大学を就職のための通り道だと考えない人にはちょうどいいんじゃないかな。俺はそういう道を選ぶのも充分ありだと思ってるよ。探索者やってる以上、ダンジョン学部には魅力もあるだろうし、自分の行っているダンジョン探索が本当に効率がいいものなのか、そもそもダンジョンに潜るという行為は何なのか、という自分なりの結論を見出すためにだけでも通うだけの価値はあるんじゃないかな」


「そういう幹也は、大学でダンジョン学部に通う、ということについてどう考えているの? こっちもただダンジョンに携われるから何となく入るだけ、とか? 」


 アカネに言われてみて、自分の考えをまとめようとする。ダンジョンで手っ取り早く稼ぐための手段とするなら高卒で充分なのは、合法ロリにも言われたようにそこで充分ではあるし、それだけでダンジョン学部に通おうという意思にはならない。なら、なぜダンジョン学部に通おうとするのか。


「ダンジョン……というものの謎そのものを解き明かしたい、というものがあるかな。人類の歴史がおよそ記録できる範囲で2万年分ほどあったとして、その間になぜダンジョンが現れず、今になって存在するようになったのか。それは偶然であるのか必然であるのか。ダンジョンを作る人の意思の介在する中で、ダンジョンを作ることになった決め手は何なのか。そういう方面からダンジョンを見るのも楽しい、と思っているからかな。まあ、半分ぐらいは受け売りでもあるけど。後はなんだかんだで俺も大学を出られるなら出たいと思ってる。おそらく大学を卒業したら探索者で食っていくことになるんだろうけど、死ぬまで潜り続けるわけにもいかないからほどほどの所を行き来しつつ、体が動かなくなって探索者が出来なくなってしまってから死ぬまでの貯金や生活費を貯めることも必要だしな。なかなか難しいかじ取りを迫られてるような気がするよ」


「そこまで考えてるなら私から口出しすることは何もないわね。期末テスト頑張りなさい、私はいつでも幹也と結城さんの味方なんだから、隆介に負けるんじゃないわよ」


「そうならないように今必死に勉強してる最中だ。少し集中するぞ」


「ええ、邪魔しないように私は外にでも出てるわね」


 そのままアカネは外へ出て最近日課にしているらしい色んな小動物やペットの人生相談を受けているらしい。人間以外も対象なのか、と少し感心したものだが……と、いかんいかん。勉強に集中するだったな。隆介に負けないようにとは言わず、自分の全力を出し切れるように、頭の回転をしっかりさせて自分の学問を修めるべく頑張っていこう。

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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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