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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第173話:休日インスタンスダンジョン 2

 スケルトンエリアでは特に大きな収穫もなく、魔石だけを拾って先へ急ぐが、七層に入る前に少し水分調整を行う。ここまでで喉が渇いていると、七層に入り次第早速水分不足になって動けなくなる可能性があるため、ただの水であってもここで水分を補給しておくことは大事だ。


 この後はおそらくサラマンダー地帯、暑く汗をかき、体から水分が失われていく階層になるはずだ。その前にできるケアはできるだけしておかないといけないからな。


「さて、水分も補給したし行くか。あまり長居はしたくないからここもできればストレートに通り抜けたいもんだが……そううまくいけばいいけどな」


「まあ、ここをうろついて迷う、なんてことになるのは勘弁だからな。うっかり迷うと行くも地獄帰るも地獄になりそうだ。ここまででようやく中間、みたいなところはあるからな」


「ここで汗かき過ぎて次で冷えて風邪をひく、なんてこともあるでしょうし、長居をしたくはないのは同意するわ。また防具洗濯しなくちゃいけなくなるし」


 彩花からも七層は不評らしい。でも、サラマンダーの革はその不評さゆえか、結構高額なドロップ品であり、一枚6600円となっている。落ちたらラッキーな品物であることに違いはないだろう。


 ここまで、魔石以外のドロップとしてはオーク肉二枚というちょっと寂しいドロップ品である所を考えると、ここで一枚ぐらいは出てくれると、やる気が上がって仕事をした気分になれるのでうれしいところではある。ただ、そう希望している間は出ないという法則があるので今日出ることはないだろうな。


 サラマンダーの生息確認は【聞き耳】のレベル1では非常に聞き取りにくく、歩く音もほとんどしないことから難しい。なのでモンスターの生息域を音から判断して通り抜けられる通路を探す、という三層のオーク地帯でできたことがここではやりづらい。


 これは手当たり次第に分かれて探索するのが早いかな……どうするか。とりあえず適当に道沿いに歩いていって、お茶を濁しながら進むしかないだろうな。こういう時に地図があると便利なんだが、インスタンスダンジョンにそれを求めるのは難しい。やはり、インスタンスダンジョンでも七層は厄介なエリアだ、ということで間違いはないようだ。


 そして三十分ほどさまよったところでようやく八層への抜け道を発見するも、そのころには手持ちの水分が半分に減り、サラマンダーの革も二枚手に入れたものの戦い疲れた俺たち三人。とりあえず八層部分に入り込んで、涼しいところで立ち止まって休憩する。


「ふぅ……ようやく一息つけるな」


「ここ暑過ぎ……さすがに疲れた」


 隆介も彩花もさすがにお疲れのご様子。俺もちょっとここらで休んでおくべきだろうな、と周囲の音を聞きとりながら座り込んで休憩を取る。


 ブラッドバットやビッグバットが寄ってくるときはほのかな羽音と超音波に近いモスキート音を出しながら近寄ってくるので、【聞き耳】でとらえて威圧で地面に落とし、エネルギーボルトで倒すことができる。


 ここは【聞き耳】のレベルが低くてもある程度効果があるのでありがたいな。【聞き耳】にはお世話になっているし、スクロールを購入してレベル上げをするのも悪くないんじゃないかな。今度機会と財布の厚みがある時に考えておこう。


 十五分ほど涼しいところで体調を整え、移動を始めると、後続組の探索者パーティーと顔を合わせることになった。流石に綺麗にオークを狩ってきた分だけ素早く行動出来たんだろうな。


「お、若いな……いや、まあいい。八層の中は探索したか? 」


 三十代前半ぐらいの三人パーティーがこちらを向いて意見を求めてくる。巡ったならどっちへ行けば先に行けるか聞きたいところなんだろう。


「いえ、七層を抜けたところで休憩してたもんですから、八層はまだ一切手を付けていません。自分達より先に来ているパーティーが居るらしき形跡はあるのですが、追いつけてはいない、というところです」


 正直に現状対応でここまで来るのに手いっぱいでこの階層は自分達では手が付けられていません。この先に一パーティーは居ることは解ってます、ということだけを伝える。


「そうか、ありがとう。そろそろ後続組も追いついて十一層があるならそこから本気で挑むところだ。まだ学生なんだろうが、ほどほどで休めよ。ここまでモンスター減らしておいてくれたという事実だけでも役には立ってくれてるんだからな」


 そういうと、三人組は先へ進んでいった。ここからは先頭を交代して、彼らに矢面に立ってもらおう。こちらは横道を探しつつ、モンスターを倒していく……という形になるかな。


 こっちへ気軽に追いかけてきて追い抜いていった彼らのことだから、スキルもそれぞれいくらかいいものを持っていて、それを頼りにしてきたのだろう。やはり現場で活躍してる年季が違うというのもあるだろうし、俺達よりも先輩なのだろうな。


「よし、ここからは極地法方式だな。今自分たちのいる位置を目印にしてモンスターを見つけてはしらみつぶしにしていく。先が見えたら先に行くけど、無理して先に進む必要はないからある程度落ち着いて探索ができるようにしておかなければな」


 ブラッドバットとビッグバットを威圧で頭の上から落としては、それぞれが斬ったり張ったりエネルギーボルトで叩き落したり……と好き放題にモンスターを狩り始め、十分ほどしたところで周辺のモンスターがいなくなったので移動を開始する。


 こうやって少しずつ進んではモンスターの多さを確認して、多いところを中心にして数を減らしていくのが極地法方式の具体的な探索方法、ということらしい。本当はもっと細かい話や具体的にどういう行動をとるのか、モンスターによってはどのように行動するとより効率的になるのか……等の話はあるのだろうが、俺が聞いて実践できる範囲の極地法方式はこういうことになる。


 実際に数多くのモンスターを倒していけるし、バット達は適切な魔石量を俺達に恵んでくれているので、この階層で極地法方式でモンスターを倒していくと荷物が大変なことになるのだが、今のところ三人ともまだバッグに余裕があるのか確認を取っておく。


「私は大丈夫よ、まだ半分ぐらいしか溜まってないわ」


「俺は八割ぐらいかな。結構拾ってるから割と荷物が多い。そろそろドロップ品を拾うのもお任せすることになりそうだ。幹也は? 」


「俺は……六割ぐらいかな。ここからは隆介と交代して荷物拾いに徹した方がいいか? 」


「いや、拾うのは俺がやるからバッグの口開けててくれ。そのまま放り込んでいくから」


「おう、任せた」


 荷物をそれぞれ任せ合いつつ、彩花の荷物にも少しずつ魔石を積み込みながら進むと、八層と九層の間部分にまで達したらしく、空気が変わるのが感じられた。


「ここから九層か、来てしまったな」


「来てしまったなら仕方ないからそのまま九層へ進むか」


「そうね、あんまり八層に居ついていても荷物が重くなるだけだし、一度十層を区切りにして外へ出て、本格的に休憩を取るなり……って、もうこんな時間なのね」


 彩花がスマホの時計を見て確認しだしたので俺もあわててスマホの時間を見る。午後五時か。流石にこれ以上遅くなるのはちょっとまずいな。受験生が次の日のことも考えずに一晩ダンジョンに潜ってたりしたら、報告されて問題になる可能性が高くなる。ここから九層と十層を抜けてギルドで換金して……と考えると、時間は結構ギリギリになってしまうな。


「よし、名残惜しいが今日はここまでだな。九層十層と抜けてとっとと戻る準備をしよう。十層のワープポータルから外へ出て、そのまま駅前ダンジョンギルドまで行って帰る。それでいいかな」


「うむ、今日はしっかり稼いだからな。久々に収入があって嬉しいところだ。これで参考書の一つでも買い込めばより学力を詰め込めるな」


「あんまり遅くになって家に心配かけるのもアレだしね。急いで帰りましょう」


 俺の【聞き耳】で方角を確かめながらモンスターの少ないほうへと足を向けていく。既に十層まで到達していったん休憩している探索者がいるなら、そっちにはモンスターも居ないはず。そう信じてすたすたと歩いていくと、一時間ほどで十層までまっすぐ到着することが出来た。もう少しか。


 そのままシャドウウルフの声や足音が聞こえないまままっすぐ向かうと、さっき追い越していったパーティーと、その奥にワープポータルがあるのを発見した。


「おし、思ったより早く帰れそうだな」


「九層十層は意外と早かったな。さすがにみんな一旦休憩は取るってことだろうか」


「私もさすがにちょっと疲れたし、帰りましょうか」


 三者とも意見一致で帰ろうということに。先を歩いていた探索者達が俺達に気づき、手を振る。


「よう、この後も続きで潜るのか? 」


「いえ、明日も学校があるんで帰ろうと思います。途中で抜けて申し訳ないのですが」


「いや、むしろここまでよく頑張ってくれた。ここから先は大人の時間だ、しっかり稼がせてもらうぜ」


 三人は休憩した後、まだ潜るらしい。この先は職業探索者に任せて俺達は先に帰らせてもらうことになった。


 三人とも豊作で帰れたことで、51200円といくつかのキノコという収入になった。彩花と家まで帰り、着替えて準備している間に俺は夕食の鍋作りに取り掛かる。彩花が着替え終わって帰るまでの間に……ちょっといちゃいちゃして、その間に鍋は完成し、彩花含め美味しい思いをすることが出来た。


 後日談だが、通ったインスタンスダンジョンは深夜三時ごろに無事に踏破され消滅したらしい。かなり深めのインスタンスダンジョンだったのだろう。ギリギリまで手伝います! と言わなくてよかったな。探索者はみんなほくほく顔で帰ることが出来たため、俺達が拾った分のドロップ品でとやかく言われることはないだろう、というのは俺の予想だ。


 そして、翌日は良い感じに運動をして帰ったことで血行が良くなったのか、小テストの結果も良好。またしても成績の上昇を肌で感じることになった。この調子で受験までトントン拍子に行ってくれるといいな。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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