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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第172話:休日インスタンスダンジョン 1

 アカネの先導に従って自転車を漕いでいく。比較的早めに移動を始めたこともあって、野次馬と同じ方向へ向かい、また避難する人とは逆方向に向かうことになるので移動のしづらさはあるものの、無事にインスタンスダンジョン発生現場へたどり着いた。


 現場は最近出来たクレープ屋さんの丁度前。ダンジョンから出てくるモンスターは今の所存在せず、クレープの屋台も店員も無事らしいことが目視で確認できる。被害なしなのは何よりだな。


 探索者証を見せた後、インスタンスダンジョンの内部に早速三人で入り込む。入り口付近は既に掃討されているようで、ぱっと見でモンスターの徘徊する様子は見られないし、【聞き耳】で確かめても付近にモンスターの息遣いやスライムのぺったんぺったん移動する音などは聞こえなかった。これはそれなりに奥まで掃討されていると考えていいな。


「よし、ここは早速昨日習ってきた探索方法で探索をしよう。アルパイン方式と極地法方式をそれぞれ使い分けるやり方だ」


「具体的にはどう違うんだ? それと、名前からして登山のやり方のように聞こえるが、ダンジョン探索はいつから登山になったんだ」


 具体的にどうするかは知らないが、単語の意味は知っていたらしい隆介にざっくり説明する。


「アルパイン方式は、遭遇するモンスターの数が増えてくるまで奥に行くことを優先して進む方式だ。極地法は、その地点を基準にして周辺モンスターをしらみつぶしに倒していく方式。まずはアルパイン方式でモンスターが溜まっているところまで真っ直ぐ進もう」


「もしかしたら撃ち漏らしがあるかもしれないが、それはいいのか? 」


「それは他のパーティーに任せる、というのがアルパイン方式だ。俺達は自分の潜れるところまでを目標にしてひたすら潜って、モンスターの数が増えだしたところでそこからしらみつぶしに探して行って、モンスターの息遣いが消えてきたところでまた奥へ行く、というやり方を交互に繰り返すんだ」


 彩花にはさっき雑談している間に伝えておいたので内容はざっくりわかってるのか、彩花はコクリと頷くだけで通じたらしい。


「なるほど、意識的にやることで効率よく進むってことか。わかった、早速やってみよう。それも昨日のオープンキャンパスで学んできたことか? 」


「まあ、そういう感じだ。さあ行こう。どこまで深く潜れるかはわからないが、少なくとも十層、十一層までは苦戦せず進んでいけそうだからな」


 早速、奥へ行くのを優先して探索を始める。とはいえ、地図もなくどちらへ行けばいいのかわからない現状。手探りで方向を模索しながら、【聞き耳】でモンスターの少なそうな方へ行き、そっちは人が通った後だと認識しながらの探索だ。人が通った後なら当然奥へも続いているのだろうな? という行き当たりばったり感の強い行軍だが、実際はなかなかに効果のある案だったらしく、オーク辺りまでは順調に進行できた。ここから少しモンスターを倒しながら進むことになるかな。


 オークをそれぞれの力で倒しながらドロップもきっちり拾って今日の稼ぎとして持ち帰っていく。このインスタンスダンジョンはそれなりに広いらしく、オークのトスン、トスンという足音が全方向から聞こえる。どうやらこの辺りで戦っていたパーティーは奥へ行くのを優先したらしく、ごく一部の細い音の空間の切れ目みたいなものを除いてはオークに囲まれているような形になった。


「ゴブリンは掃除されてたけどこっちはまだ掃除されてないみたいだな。他にも探索者が居るようだし、同士討ちしないようにだけは注意して、オークを中心に倒していこう。さすがにこの数が生息してると移動にも邪魔になる」


「抜け道はないのか? もしくは他の探索者が通っていった可能性のある方向とか、幹也なら感じ取れるんじゃないのか? 」


「確かにそういう感覚のある道はあるが、本当にそっちに向かって大丈夫なのかどうかと、このオークたちが外に出ていく可能性を考えるともう少しここで踏ん張るべきかな。後続の応援が続いてくれるなら俺達も先へ進む準備が出来ていると言えるんだが、今の所……うん、他に先へ進んでいるパーティーがあるのは間違いないが、後ろから追いついてきてくれているパーティーがいないようだ。応援が来るまではここでひと踏ん張りだな」


「まあ、食料が落ちてくれるかもしれないしそれはそれでありかもな。収入にならないわけでもないし、オークもホブゴブリンほどではないが安定して金になってくれるモンスターではある。ここで足止めされるのはそれほど悪い話ではないな……っと」


 戦闘を軽くこなしながら隆介がキレのある動きでオークに槍を突き刺して応戦している。こっちは【威圧】でオークの動きを最小限にさせながらゆっくりと戦っているのでそれほど被害もなければ面倒くささもない。威圧のレベルを充分に上げたことで、十層ぐらいまでのモンスターなら大した反撃も窮鼠と化して襲ってくるようなことはなく、一方的な蹂躙をすることが可能になっている。


「幹也のそれ便利だな。高かっただろうに」


「自力で取ったから元値はゼロだ。ただ、もし売却してたら今年の扶養親族からは確実に外れていただろうな」


「ダンジョン産のスキルは使った場合一発経費になるからその分収入に入れなくてもいいんだったか? 便利な制度だよな」


 順番に襲ってくるオークを威圧で押さえつけながら、その間に隆介が一撃で心臓を貫いて黒い霧に変えていく。俺も威圧を使いながら自分の正面に来たオークを左右に泣き別れにさせたりと、一番楽に戦える方法を使って戦い続けている。


「おかげでかなりぜいたくな暮らしをさせてもらっていることは確かだ。そっちに一匹行くぞ」


「あいよ。にしても、スキルも重ねればより便利になるなら、やっぱりこの間の【水魔法】、売らないほうがよかったんじゃないか? 」


「それもありだったかもしれないが、おかげで今こうして楽をしながら稼げているのかもしれないし、財布の中身に一喜一憂しなくてよくなったのは間違いなくいいところだろう。もしあの収入がなかったら、より高い収入を求めて今奥まで移動して、怪我をして帰ってくる……なんて可能性だってあったわけだ。何事もプラスに考えるほうが……お得っと」


 オークの両腕を切断した後首を刎ね飛ばし、オークから肉を手に入れる。この肉は綺麗に砂を落として換金に出そう。今家にはオーク肉がそれなりに溜まっているので食糧には困っていないんだ。


「そろそろ数というか、密度というか、落ち着いてきたわけだけど奥に行ってもいいころ合いかしら? 」


「そうだな……あと十匹ほど倒したら奥に向かうとするか。そのぐらい数を減らしておけば後から来る探索者の分も残しておけるし、こっちもそれなりに稼がせてもらった。お互いウィンウィンということで、先行者利益も稼がせてもらったが後方支援の分もちゃんと残しておかないとな」


 先に歩いてきた分だけ消耗はこちらの方が上だし、もしかしたら途中で後続に追い抜かれる可能性もあるが。それはそれで楽が出来るし構わない。大事なのは早めにインスタンスダンジョンを潰すことであって今俺達がすることは後から追いついてきた探索者に対しての道を切り開くことと、ダンジョンからモンスターが溢れ出さないようにするという二点だ。


 そのために発生から二十四時間以内のモンスターリポップがないうちにモンスターの数を減らしておく。後から来た探索者がスムーズに進めて、より奥へ行きやすいように誘導するのもインスタンスダンジョン発生時の役割、だと学んだ覚えがある。


 さて、そろそろいいかな。奥へ進んでリザードマンとレッサートレント、スケルトンぐらいは残っているだろうか。それとも、案外浅いインスタンスダンジョンだったりするんだろうか。さすがにインスタンスダンジョンの広さまでは外からの見た目じゃわからないからな。そういうのも、いずれデータの蓄積が行われていって、発生した日時と場所と傾向によって、ダンジョンの深さまで確定されていくものなのだろうか。


 オークエリアを抜けてリザードマンエリアへ来たが、リザードマンは影も形も見えない。どうやら、先行探索者達はここで一区切りつけて大掃除をしていったらしい。オークよりもリザードマンのほうが戦いやすい、と考えたのだろう。俺達がオークのほうが得意であるように、探索者によっては自分の得意・不得意のモンスターがそれぞれいて、得意なモンスターを掃除してから奥へ行く、という方法を選んだ可能性が高い。


「なにも居ないわね」


「【聞き耳】にも反応しない辺り、本当に綺麗に狩り尽くされているんだろう。次のエリアへ急ごう」


「おう」


 そのまま三人、道を時には間違えながらも無事に五層部分へ到達。レッサートレントが数匹うろついているのが分かる。ここでも戦闘は短めに行っていったらしく、魔石が一個地面に落ちていた。これは拾い忘れだから丁寧に貰っておこう。しかし、せっかくの儲けをふいにするとは勿体ないことをするものだ。


「レッサートレントはそこそこに狩っていった、という具合かな。こっちもそこそこに狩って次へ進もう。全部狩り尽くしていったら後方から追いついてきた探索者の食べる分がなくなってしまう」


「まあ、先にダンジョンコアを破壊されたら食べる分はなくなってしまうんだけどな」


「それまでにいくらか稼ぎたいだろうしな。その分は残しておくのがマナーってものだろう」


「食べ残しをしていくのがマナーなんて、中国料理みたいよね」


 レッサートレントは四匹だけ狩って、そのまま奥へ進む。スケルトンエリアに到着し、スケルトンもそこそこに倒していく。ここからは間引きをするだけで奥へ進んでいくことを優先していっても問題ないだろう。先へ進んでいった探索者がどこまで進んでいるのかにもよるが、最悪自分達の実力ではいけない範囲までダンジョンが出来ていて、そこまで進まなくてはいけない事態というのも考えの範疇には入ってしまうのだ。


 もしも十層まで入り込んでまだ時間と疲れが残っていた場合、一度ワープポータルから抜け出して小休止を取る必要があるな。もしかしたら長丁場になるかもしれない、という覚悟はしておこう。

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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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