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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第167話:午後のオリエンテーション

 スマホの時計を見ると昼休みらしき時間も終わり、午後の各学部に分かれての個別相談というか、授業の様子や今後どのような方針や講義内容で進めていくか、という時間になる。


 この合法ロリも午後には出番があるはずなので移動するはずだが、どうやら一緒に戻らないかという話にしようとしているらしい。


「もしかして、講義の準備をすっぽかした理由のために俺を利用しようとしてたりしませんよね? 」


「そんなわけないじゃないか。確かに講義の準備をしろとは言われているが時間に余裕を持って行動しているからね。私の登壇までにはまだ少し時間がある。それまでは他の教授の話を聞いておくといいよ。さあ、では向かおうか。君についてはダンジョンの場所と注意事項について説明していたと言い訳をしておくことにするさ」


 やっぱり、俺を言い訳にして何かしらから逃れようとしているらしい。やはり研究以外の分野では何かしら問題のある人であることは間違いないようだ。


 まあ、それを差っ引いても大学に利益をもたらせるだけのポテンシャルを持っている人だと判断されての学部の教授陣への抜擢ということなのだろうから、人格に問題はあるとはいえ優秀だと見込まれているのだろう。


「どうしたんだいみき太君、私の方をじっと見て。まさか私の優秀さに惚れ直したのかね? もっと褒めてもお菓子ぐらいしか出せないぞ」


 するとポケットからラムネ菓子を一つ取り出して俺の手に握らせてきた。なんで持ってたんだろう。


 ダンジョン学部の講義スペースに来ると、そこには二十人ほどの人が集まっていた。どうやら近所にできる唯一のダンジョン学部、ということでダンジョン関係に関わりたい学生が集まっているらしい。たしか最初に集められた講堂には二百人ぐらいいたから、割合としてはそこまで少ないわけでもなさそうだな。


「では、時間になりましたので始めます。進行は私、准教授の中谷が進めさせていただきます。えー、まずは皆さんのご参加誠にありがとうございます。思ったより人数が多くて安心しました。もうちょっと少ないことを想定していたのでそこについては皆さんに感謝するしかないですね。さて、各学部講義といたしましては、午前中に説明された各学部共通教養科目ではなく、ダンジョン学部の専用の教養科目……つまり、ダンジョンについての知識を蓄えてもらうことを念頭に話していきます。ちなみにダンジョンに実際に潜ったりはしないのか? という点については、今絶賛議論中でして、確実に潜る、という話ではないことを付け加えておきます」


 ここで一旦話を区切り、スライドのページをめくっていく。そして、フィールドワークの説明欄にたどり着き、スライドにはダンジョン内活動について、という内容で、いくつかの作業やモンスターの種類、それからドロップ品の確保方法やダンジョン内での稼ぎの換金からの流れまでが示されていた。


「えー、こちらのスライドにあるようにですね、探索者として活動をする際には探索者資格を取得するのも必要ですが、それぞれ怪我をしないように、そして確実にモンスターを倒せるようにと、各個人でいわゆる装備品を準備してもらうことになります。これが学生にとってはかなりの負担になるのではないかということや、装備品にかける金額の差で成績が決まるような内容の学業講義にはしたくない、というのが現状の主流意見となっています。ただ、フィールドワークとしてダンジョン探索を盛り込むことも必要ではないのか、という意見もありまして、そちらも確かに重要ではある、という考えもあり、また構内にノーマライズダンジョンとギルドの支部があることからも、積極的に利用していってはどうかという意見もありまして、現状ではどちらとも取れないという意見が伯仲している状況です。ですので、少なくとも学部を受験して合格したら必ず探索者証が必要になってくるであるとか、探索者になれないならダンジョン学部の学生とは認められないであるとか、そういう話になる可能性は非常に低いと考えておいてください」


 スライドを戻して最初のほうのページに戻す。これが途中に挟まっているのに先に説明しなかったのは何かしら理由があってのことだったのだろうか。後で合法ロリに尋ねてみるか。もしかしたらポロッと吐いてくれるかもしれない。


「えー、よって本学部の専門講義は原則的に座学となることが、現状では決まっております。ダンジョンがいつ頃から観測され始めてダンジョンに関する基本法の成り立ちからギルドの設立、そして全量の魔石買い取り制度が出来上がり、そこから魔石のエネルギー的活用方法の歴史、それから超天然クリーンエネルギーとしての魔石の立ち位置や現在での研究テーマ、そしてダンジョンから産出される魔石以外のドロップ品に対する評価や活用法など、ダンジョンに関わるものは一通り学んでいく予定です。その過程でもし、やはりダンジョン探索のフィールドワークが必要、となってきた場合には、改めて予算を抑えてせめて武器だけでも学部から生徒へ貸し出しができるように手はずを整えていきたいと思います。本来ならそこまできっちり決めての学部設立と認可を受けるべきところだったのですが、認可後に問題として挙がってきたためまだはっきりとした決定が出来ていないのが実情です。これも皆さんが入学されて、三回生になり、各ゼミや研究室に配属される前までにハッキリ結論を出して発表できるようにしたいと考えています」


 ふむ……前回のオープンキャンパスでは、合法ロリがただの探索者は必要ないから求めないと言っていたが、どうやら思った以上にオープンキャンパスでのダンジョンでの活動について問い合わせや質問が多発した結果、カリキュラムに入れるべきではないのかという問題が再燃したと見えるな。


 で、その合法ロリは……ちゃんと仕事をしているらしい。舞台袖で書類やスライドの最終チェックをしているのが見える。流石に何をブツブツ言ってるかまでは……【聞き耳】立ててみるか。


「エネルギー分野において魔石は既に現在の国際情勢を含めて、なくてはならない資源となっており、その搬出もダンジョンからと限定されている現状、探索者の探索活動で入手して持ち帰ってきてくれる魔石は……」


 うむ、ちゃんと下読みしているみたいだな。感心感心。さて、中谷准教授の説明に耳を傾け直そう。両方聞けるようになるには【聞き耳】のスキルレベルが低すぎるのかもしれないな。いずれは購入して伸ばすことも考えておこうか。


「……よって、ダンジョン学部はこれから皆さんが育てていく学部でもあり、研究テーマもダンジョンだけにとどまらず産学共同の研究テーマとして、社会に広くアプローチをしつつ、よりよい未来に向けて進めていくテーマとして、既に一定の評価が下されているところであります。今回招聘されている教授陣は皆何かしらの研究テーマがあり、それにより一定の実績、もしくは一定以上の未来的実績予測を求められている人材として集められております。今日はそれぞれの研究の都合で全員で集まるということはありませんが、幾人かの准教授を説明責任者として舞台袖に控えてもらっております。順番にご紹介していきたいと思います。まずは大泉准教授からお願いします」


 一番バッターが合法ロリか。これは中々見物だな。まず見た目の幼さからはとてもじゃないが見取ることのできない情報量と今後の未来へのプランや先行き見込みを盛大に発表してくれると期待して話を聞こう。


「えー、ご紹介に与りました准教授の大泉です。こんななりですがちゃんと准教授しています。専攻はエネルギー資源であります。現在、魔石による発電事業における、いわゆる魔石くず、エネルギーを出せるだけ出し切った魔石の廃棄物の処理方法や、保管方法、それから環境に対する負荷について研究がなされていますが、私の研究中の理論によりますと、現在の魔石はまだエネルギーポテンシャルを内部に秘めた状態であり、現在人力によってのみ、魔石くず内部に残された資源を絞り出してエネルギーに変換することが可能になっています。将来的にはこれを機械化し、人の手がなくてもオートメーション化されたライン上の処理として行えるように研究をしていくのが課題となっております。この研究が成り立ち形となった場合、少なく見積もっても魔石を1として現在のエネルギー変換率を10としますと、30から40程度のエネルギー供給が行えることになり、各発電施設もコストを落として発電ができるようになります。皆さんはクリスマスのデコレーションのLEDの消費電力を気にすることなく派手に飾ることができるでしょう。これにはなばなの里もにっこりしてくれること請け合いです」


 ここで聴衆の笑いを軽く誘う。こういう冗談を真顔で言えるんだな、と合法ロリらしからぬ文面に確かな満足を覚える。


「LEDだけではなく、もしかしたら非常用の電源として魔石くずを放り込んでおくだけで緊急発電を開始するUPS、冬の停電時に緊急稼働する電源装置や、持ち歩き可能なエネルギー媒体としてバッテリーなどにも応用することが可能になるかもしれません。そうなれば、ダンジョン内でも持ち歩き可能なエネルギーとして魔石を使ったりするようにさらに進歩することができるかもしれません。現状魔石からエネルギーを取り出すには大規模で仰々しい施設が必要になってきていますが、この研究にはそれらの小型化や簡素化も内容に含まれています。イメージとしては、発電所が私ぐらいのサイズになる、と説明すれば納得していただけるかもしれません」


 ここでまた一部の人が笑うが、小さいのをネタにしていいのは本人だけなので俺は笑わずに真剣に話に聞き入ることにした。


「エネルギー分野において魔石は既に現在の国際情勢を含めて、なくてはならない資源となっており、その搬出もダンジョンからと限定されている現状、探索者の探索活動で入手して持ち帰ってきてくれる魔石は、近未来のエネルギー活用方法としても、廃棄物扱いされている魔石の有用な利用方法や処分方法を見つけるためにもこの研究を続けていきたいと考えています。手短ではございますが当研究室の説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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