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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第165話:再会即ゴミ箱

「お久しぶりですね、大泉准教授」


「曜子さんでもい・い・ん・だ・ぞ・っ」


 やっぱり相変わらずうざいな。小さく丸めてゴミ箱に捨ててこようか。きっとこの人ならコンパクトに折りたためるに違いない。


「曜子さん、四角に折りたたまれるのとボール状にされるのどっちがいいですか? ゴミ箱に畳んで捨てておきますので好きな方を選んでください」


「君の愛情表現は激しいなあ。まあ、こうして私に会いに来てくれて嬉しいと思っているよ。もしかしたら私の生徒第一号になるかもしれないからねえ」


 鶏のから揚げの端っこの一番カリッと揚がっている鶏皮の部分をいい音をたてながらかじると、大泉准教授はカラカラと笑いながら食事を始める。体の大きさの割に結構食べる人だな。やはり脳が使うエネルギーに対して、食事も欠かしてはならない、ということなのだろうか。だとすると俺も食生活を少し見直さなければならないかもしれないな。


「ふむ……? 私の唐揚げが欲しいのかい? 残念ながらこれは私の分だし、君はまだ立派にタルタルソースのたっぷりかかった同じ鶏のから揚げみたいなものが残っているじゃないか。欲しがるなら自分の分を全部食べ終えて、それでも足りなかった時にするべきだねえ」


 若干ズレた意図が伝わったらしいが、まあ、とりあえず自分の分を食べ終えるまではしばらくこの人も静かにしてくれるんじゃないだろうか。


 しっかり味わいながら学食を食べる。この量で500円か。大学生だけでなく高校生でもうれしい金額でもあるな。


「ちなみにみき太君は料理は自分でできるほうかね? 私は研究以外サッパリだが」


 自分が突っ込まれる前に防衛線を先に構築しつつ、話を振って来た。俺が美味しそうに食べているからか、軽いジャブのつもりなのだろう。


「基本自炊ですね。と言っても昼食作る時間で眠っていたいので、昼食は基本パスタですが、夕食はその分きっちり作るタイプですよ」


「ご両親は料理を作らないのかい? もしくは仕事が忙しくて作ってる暇がなくてみき太君が作っているとかそういう感じかい? 」


「両親はもういないので。今は一人暮らしの費用を祖父にタカりながらちょっとずつ両親の遺産を食いつぶして勉強してる最中ですね。もし大学に通えなかったら探索者になって自分で食っていこうと思ってたんですが、幸運にも学力のほうに急に恵まれだしたので大学卒業まではなんとかなりそうです」


「それはちょっとデリカシーのないことを聞いてしまったな。すまない」


「いえ、気にしてないので良いですよ。気にしたり気にしなかったりで生き返るわけでもないですからね」


「大人だなあみき太君は。そういう部分については私よりも出来た人間なのかもしれないね。私は自慢じゃないが研究一筋でやってきたから、他のことは親にもスプーンをポイされてしまっているよ」


 この性格では仕方がないのかもしれないが、この見た目と背丈で親に甘えるなら、高校生か中学生がねだっているようにも見えるんだろう。そう考えると可愛い人でもあるな。


「今、ちょっと失礼な想像をされた気がするよ。でもまあいい、私もあまり褒められたものではない話をしてしまったからね。これでおあいこということにしてくれるとうれしいねえ」


 袖をまくって本格的に食事モードに入り始めた大泉准教授に釣られるように、俺も食事に集中し始める。うむ……スープも美味しいな。少し薄めだが、味の濃いタルタルとの対比で口の中を飽きさせないような感じになっていて俺は好きだ。うむ……ここの子になるのも悪くない。むしろいいな。500円でこれだけの物量の昼ごはんが食べられるならそれだけでも価値はある。


 勿論、それだけを理由にしてここに進学するわけではないが、こういう細かいところでストレスをためていく四年間という可能性もあるので、好きな食事がお手頃価格で用意されているというのは確実に俺のQOLを高めてくれるので、ここで昼食を毎日取る、というのは悪くないだろう。


「うむ、君が考えていることは解るぞ。ここの食堂はかなり値段の割に量が多い。私の体型からするにかなり大盛であるとも言えるが、それだけの料理をこの価格で出してくれるのは非常に助かるし、朝食や早めの夕食も取ることが可能だ。一日の食事が大学内で完結することも不可能ではない。後は生活拠点だが、私の場合は研究室で眠って夜を明かすこともあるからある意味では大学内に住居を構えているようなものだね。もっとも、学生にそこまでやって研究しろ、とは言わないからこれは私だけの特権みたいなものだが」


 大学に泊まり込んで研究するって人は本当にいるんだな。しかし、そこまで研究して結果が出る物なのだろうか。その分毎日ちゃんと研究と生活をはっきりさせてメリハリをつけたほうが進捗は良くなりそうな気がするが……まあ、その日のテンションにもよるんだろうな。


「もちろん仮に君たちが……そういえば一緒にいた彼女は今日は来ていないんだな。きっと予定が合わなかったとかそんな理由だろうが、まあいい。君らにはそんな無理はさせるつもりはないから安心してほしいね。あくまで学生だし最初の二年は共通科目もあることだし、三回生になって研究室に通い詰めるようになってからが一勝負かな。その頃には君らも学食が朝も夕方も開いているありがたみを知ることになると思うよ」


 そこまで大学内で完結するならいっそのこと大学内に寮でも立てればいいのに、とは思うがそういうわけにはいかないらしい。


「ちなみに聞きたそうだから言っておくが、学生寮はあるが自宅から二時間以上かかるような遠距離通学になる学生に対してしか募集は行われないから、多分みき太君は対象外になると思うよ。他にも下宿の案内もしているから気になるなら行ってみると良い。今日はオープンキャンパス向けに一般学生以外の人物にも、通学圏外から来る学生に対してこういう場所なら案内できるんだぞ、といった説明会を開いているはずだ。もし君が今下宿を止めて実家から通学する前提で二時間以上かかる……と言ったような状況の場合はギリギリ学生寮にも入れるかもしれないが、彼女とイチャつく場所がほしいなら学生寮よりも外で住居を探した方がいいと思うねえ」


 ふむ、なるほどな。イチャつくかどうかはさておき、近くに住居を移すかどうかは考えておかないといけない所だな。俺の場合はどうなるかきちんと調べておこうかな。


 ササっと食事を片付け終わる。もうちょっと時間が欲しいし、オープンキャンパスの手伝いをしている学生に質問をして聞ける話題は聞いてしまうほうがいいだろう。


 急ぎ気味に食事を終わらせて、大泉准教授との食事のペースの差をつける。さすがに健啖家とはいえ口も小さいし食事のペースはそれほど早くない。あっという間に食べ終わった俺を見て驚く。


「なんだい、私とのランチでは不満かい? せっかく学部やゼミ、私に対して個人面談の数少ない機会だというのに」


「それはこの後たっぷりと相手してもらうから良いですよ。それよりも他の学生に聞きたいことが色々ありますからね。今はそちらを優先させてもらいます」


 大泉准教授はふむ……と少し考えると、スープを飲み干して言葉を続ける。


「たしかに、今のうちに聞いておく必要はあるかもしれないね。こっちの学部は学生が居ないから学生なりの悩みやら相談場所を聞くならチャンスは今の内だろうからね。急ぐといいよ。私とは後でねっぷりたっぷりお話し合いをしようじゃないか」


「そうさせてもらいますよっと。では、お先に失礼」


 食器をカウンターに返して……ちょっと急いで食べ過ぎたかな。でも、満足感は充分高い昼飯だった。例えば今日は外部のお客様が来るから特別に大盛で提供されている、とかでなければまた食事に来たいな。


 早めに食事を終えたおかげで時間に余裕が出来た。明らかに学食慣れしている学生を見つけて、その中から明らかにこちらを注視しているグループを見つけて話しかけていく。


「すみません、オープンキャンパスでこちらに来ているのですが少し質問してもいいですか? 」


 話しかけた相手が少し及び腰になってしまっている。ここはせっかく手に入れた俺の顔面を有効活用させてもらおう。


「いいですよ、何ですか? 」


 良い反応をしてくれた女子学生に向けて爽やかそうな笑顔で話しかけると、ボーっと顔が呆けていくのが分かる。このツラ便利だな。あんまり多用してると彩花に妬かれそうだが、ほどほどにばれない程度に使っていこう。


「この大学の周りにある建物や施設について少し聞いておきたいんです。後、学食以外にお勧めの飯屋なんかがあれば是非とも口コミ情報を聞いておきたいんですが、ご協力お願いできますか? 」


「わ、私たちで良ければ! 」


「近くの食事する場所なら、大学から出たすぐの食堂が和食メインだけど美味しいよ。その代わりちょっとだけ高めかな。でも、お腹いっぱい食べられるのは間違いないよね」


「そうね、あそこは確実に候補に入れておくべきよね。あとは学生が用事がありそうなところと言えば、リサイクルショップが駅前にあるんだけど、既に重要事項に赤線引かれてる過去問とか教科書を扱ってたりするから、そこで手に入れるのもありね。卒業生が後輩にプレゼントしていく流れもあるけど、そういうつながりがない人はそこで売ってまた誰かが買って……といいサイクルで回ってる感じよね」


「あとはゲームセンターは隣の駅にはあるけど、大きいところで遊びたいなら車か自転車が欲しいところね。みんなで騒ぐにもそのほうが楽しいしね」


「それと、学校内にダンジョンがあるから、最悪の食費や超短期バイトとして働くなら、装備貸してくれるサークルがあるからそこを頼るのも有りだね。ダンジョンが出来てから学費や生活費にある程度困らなくなったのは嬉しいことかもね」


 そういえば学校内にダンジョンあるんだったな。俺自身が通う可能性は低いが、専用ダンジョンからの換金でお世話になることは多そうだ。駅前ダンジョンと学校内ダンジョンと二ヶ所換金場所ができたことになる。今後もお世話になることだし、昼食休みの間にちょっとダンジョンの場所だけ把握しておくか。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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