38 ドリアンの小屋
ドリアンの小屋に着いた。
ドリアンはベッドの上で、ひたいに汗を浮かべて苦しそうに眠っている。
僕はベリーをおろして、椅子に座らせた。
「ドリアン先生は、私を助けるために、メスの牙熊を倒してくれたんだよ。」
ベリーは、ドリアンとベリーに起こったことを、説明してくれた。
ベリーは、数週間前、ドリアンを村に呼び戻すためにここに来た。
ドリアンは、村に帰るとも言わず、帰らないとも言わなかった。
ただ、ベリーに弓矢の稽古をつけた。
ある日、2人はいつもとは違う場所まで行き、狩りを始めようとした。
そこは、いつもより奥ではあったが、牙熊がいるほどの奥地ではなかった。
そこで突然、気配を消した牙熊が襲ってきた。
もしかしたら、そばに巣を作っていたのかもしれないし、子どもがいたのかもしれない。
ドリアン先生が、逃げろと言ってくれたが、牙熊のスピードに一瞬で追いつかれ、背中に一撃をもらった。
薄れていく意識の中で、ドリアン先生が、何本もの矢を牙熊に命中させるのを見た。
それは、鬼神のようだった。
そして、意識が戻ったら、木の上だった。
私は、生命活動を最低限にして、空腹や喉の乾きをおさえた。
そして、精気を背中の傷に集中して、回復をうながした。
生命に心配がないことを確信できた頃、キミが来てくれたんだ。
僕は、真剣に聞き入ってしまった。
あの短気なじいさんは、やはりただものではなかった。
「ドリアン先生は、あのあと、どうなったんだろう。」
ベリーが、僕に聞いた。
今度は僕が、知っていることを話した。
村長にたのまれて、僕はここに来てみたこと。
小屋には誰もいなかったこと。
ドリアンの気配をたどって、メスの牙熊の死骸を見つけたこと。
怒ったオスの牙熊の気配を見つけ、行ってみたこと。
岩壁の穴の中にドリアンがいたけど、足を骨折していたこと。
牙熊の頭を燃やし、そのすきに、ドリアンを背負って逃げたこと。
そして、ドリアンをここに寝かし、ベリーのところに行ったこと。
話し終えると、ベリーは頭を下げた。
「ありがとう。あらためて礼を言わせてくれ。キミとドリアン先生は、僕の命の恩人だ。」
「ああ、気にすんな。」
僕は、頭をかいた。




