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丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
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10 街の人

住み始めて1年半ほどたった頃、遠くに人の気配がしたことがあった。

それをばあちゃんに言うと、ばあちゃんは目を見開いた。

「ほんとうか?ワシには感じ取れんが、お前は感覚が強いからな。」

ばあちゃんは、僕を案内にして、人の気配の方へと向かった。

「探りに行けば、相手からこっちが気づかれるおそれもあるが、どんなやつらが近づいて来るのか知る必要がある。」

ばあちゃんが、僕に説明した。

「人間が一番、邪悪になれる生き物じゃ。」

険しい顔で、吐き捨てるように、ばあちゃんは言った。

なんか、こわいことを言っている。なんか、あったのかな。

人の気配までの距離をばあちゃんに教えながら、慎重に近づいて行った。

すぐに、ばあちゃんにも人間の気配を捉えられるようになり、ばあちゃんは僕を振り返った。

「うむ、気配を上手に消しているな。」

ばあちゃんは、満足気にうなずいた。

小高い丘の上に伏せて下を見下ろすと、遠くに3人の人間が歩いているのが見えた。

僕は目に精気を集中させると、3人を詳しく見た。

1人の女と、2人の男。

杖を持ち深緑のローブを着た女が先頭を歩いている。

皮の鎧に鉄の胸当てをした背の高い男は、大剣を背負っている。

ゴツくて背の低い男は、クサリカタビラを着ていて、腰に斧を下げている。

全員、穏やかではない気配を放っている。

その中でも、ローブの女は、紫色の嫌な気配を漂わせている。

あれが、悪意というものなのかもしれない。

ばあちゃんは、しばらく観察したあと、僕を振り返った。

「街の者たちじゃ。たいしたことはない。小者じゃ。」

安心したように、僕にうなずきかける。

「おおかた、森で素材を取るか、自分の力を磨きに来たんじゃろう。あの程度の力じゃ、じきに森に浄化される。」

また、こわいことを言っている。

でも、確かにあの3人からは、こわさは感じなかった。

あの3人の実力では、1人で大うさぎを倒すこともできないだろう。

ましてや、3人でも大猪にはまったく刃が立たない。


ばあちゃんと僕は、3人を放って、帰ることにした。

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