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貴族様と言われたい  作者: チョウリョウ
第1章 サリバ国編
9/61

奇襲

【宿営地・朝方】


慌ただしい足音がテントの中へ向かう。斥候Aが顔面蒼白で飛び込んできた。


(斥候A)「ヒンター様! 奇襲です!」


「なに?」

ヒンターが跳ね起きるように立ち上がる。「なに、すぐ各隊に連絡し迎撃態勢を取れ」


「いえ本隊です! 潜んでいたサリバ軍が夜襲を仕掛けたの事!」


時渡の表情が凍りつく。ついに来てしまった。彼が最も恐れていたことが現実になったのだ。


(時渡)「すぐに援軍に向かうぞ!」

即座に決断し、腰の剣に手をかける。しかし—


ヒンターは椅子に腰を下ろし、両手を頭に当てて考え込んだ。


「いや……今から行っても間に合わんだろう」

冷静な声だった。


(貴族)「これより我が隊はヒヘル攻略に向かう」


(時渡)「よろしいのですか?」時渡の問いには焦燥が滲んでいる。


(貴族)「父は歴戦の勇者だ。蛮族ごときに負けるはずがない」

言い聞かせるような口調。「私が出向くまでもあるまい」


(時渡)「しかし……」


「考えてもみろ!1万4千の軍に奇襲を仕掛けるには少なくとも相応の兵力が必要だ。本隊に多くの敵が向かえばヒヘルは手薄になるはず」


ヒンターの目が輝いた。獲物を見つけた猟犬のように。


(貴族)「ゴッシュ!」「はっ」「先に行きヒヘルの状況を確認してこい!」

「我々はこのままヒヘルに向かう、途中報告を受ける」

(斥候)「承知しました」


命令を受けたがゴッシュ矢のように飛び出して行く。


(貴族)「ヒヘルに向けて全力前進」


全軍、全力でヒヘル方面に行く。




≪ヒヘル周辺・夕刻≫


斥候のゴッシュが戻ってきたとき、ヒンターはちょうど夕食の乾パンを噛んでいた。


「どうだった?」


ゴッシュの報告に耳を傾けた瞬間、ヒンターの口角が上がった。


(斥候)「ヒンター様の仰る通りでした。ヒヘルを守る兵は明らかに減少しております。見張りも疎らで、明らかに油断している様子です」


(貴族)「やはりそうか!」


若き貴族の眼差しが狩人のそれになる。時渡は無言で目を閉じた。


(貴族)「夜襲を仕掛ける。工作班は梯子を作れ。残りの者は休息を取れ。明日の朝までにヒヘルは落ちているはずだ」


兵士たちに命令が飛び、夕暮れの中での準備が始まった。木工職人が急いで木材を集め、斧を振るう音が響く。


(貴族)「夜が来る」


夜空に星が瞬き始めた。東の地平線から月が昇り始めている。


(貴族)「全軍進撃!ベルガー家の強さを見せてやれ!」


鬨の声とともに6000の兵が静かに動き出した。松明の光が徐々に消され、月光のみが頼りとなる。




≪第2都市ヒヘル≫



【第2都市ヒヘル】


周囲4キロに渡り5メートルの城壁が囲む町5万人が暮らす農村地帯ある都市で、サリバ国で2番目に大きい都市。


ヒヘルにはサリバ共和国正規兵1000と徴収兵1000が守っていた。



【夜陰に紛れる襲撃】


サリバ共和国正規軍1000人と徴収兵1000人。合計2000人の守備隊は、誰もが信じていた――「パベル軍は奇襲を受けている」と。斥候の多くはベルガー本隊への奇襲任務で出払っているため、ヒンターの軍に気づく者はいなかった。


ヒンターの軍6000人は、連勝の勢いで異常なほどの高揚感に包まれていた。通常なら疲れ果てているはずの行軍も、「勝利の予感」だけで乗り切った。


「1500ずつ4つの隊に分けろ」


ヒンターの指示により:北・南・東・西の城壁に

- ヒンター直属部隊1500(北壁)

- 時渡指揮下1500(南壁)

- マリイカス/ベッチ指揮下1500(東壁)

- チャイス/ゴッシュ指揮下1500(西壁)


「全軍、火を消せ」

伝令の声が低く響く。四方向から城壁へと忍び寄る兵士たちの息遣いだけが聞こえる。

暗闇の中、月明かりの光のみを頼りに、静かに見張りに見つからないように4方向から近づく

全軍、城壁の見張りに気づかれない、ぎりぎりまで近づいたと思ったら、手筈通り行動する


(貴族)「松明を点けろ」


ヒンターの命令と時に、数十本の松明に火が灯った。これが突撃の合図だ、静かに全軍が城壁に向かって突撃する。


さすがに城壁前までくるとサリバ兵の見張りが叫ぶ


(見張り)「敵襲!」


そう言ってどらを叩く。ドンドンドン、鳴り響く



(サリバ兵)「来たぞ!」「敵襲だ!」


(パベル兵)「攻め込め!」



【混乱と陥落】


城壁上ではパニックが蔓延していた。寝起きを襲われた徴収兵1000人は、突然の怒号と敵の存在に完全に浮足立った。


(正規兵)「逃げるな!持ち場に戻れ!」


サリバ軍正規兵が必死に叫ぶが、暗闇の中で数百の足音が逃げ惑う。その隙を突き、ベルガー軍の攻撃隊が一気に梯子をかけた。


ヒンターの部隊が東側から雪崩れ込む。


(貴族)「押し潰せ!敵は混乱しているぞ!」


マリイカが前線で叫ぶ。「梯子を確保しろ!仲間を登らせろ!」


城壁上に展開したベルガー兵が次々と弓矢で正規兵を射抜いていく。混乱する現場を収拾できる将が不在なのが致命的だった。


「逃げろ!」

「もうダメだ!」


徴収兵たちの悲鳴が闇夜に響く、一度秩序が崩壊してしまえば正規軍でもどうしようもない

サリバ国の象徴でもあった第二都市ヒヘルは完全にベルガー家の手に落ちていた。



≪第2都市ヒヘル城内≫


(斥候)「ヒンター様!」


血相を変えた斥候が駆け込んできた。時渡が素早く立ち上がり「何事だ」と問いただす。


(斥候)「ヒンター様……大変です。本隊が落ちた模様です……」


報告を受けたのヒンター顔色が変わる。


##敵視点

≪同時刻本隊奇襲場所、伏兵場所≫


(斥候)「アネベネア将軍!」

サリバ斥候が崖から転がるように滑り降りてくる。


(斥候)「大変です!ヒヘルが落ちた模様です……」



同じ言葉が異なる場所で発せられていた。


(貴族、幻獣)「なに!」




4コマ漫画

【奇襲】下ネタ、カット候補

ホテルから出てくる二人

週刊誌記者「お二人はどういう関係なんでしょう」

「釣り仲間です」

「竿を使っていただけです」



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