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貴族様と言われたい  作者: チョウリョウ
第3章  スワイケルド公国編(アレクシス飛翔編、光雷卿空気編)
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破城槌(敵、ラッツ編)

# 戦場の転換期


## ≪スワイケルド公国国都執務室≫


ルナリアが西帝国へ去った後、リッカルド執権は重い沈黙のなか執務室に座っていた。


「指揮権を……私に?」リッカルドが呟く。


「ソフィア様の指示です」臣が言うが淡々と言う。「『リッカルドに一任』とのこと」


「馬鹿な!」リッカルドが机を叩く。「我々で……どうやって戦うというのだ!」


「しかし戦況だいぶ良くなりバレン派閥の領は広がり、ファビオ家派閥との差はありません、このまま傭兵を使ってベルガー家を倒してしまえば」


「ラッツ様は既にこちらに向かっております」伝令兵が告げる。「傭兵を使いつぶすか」


## ≪スワイケルド公国国都謁見室≫


翌日。粗野な雰囲気を漂わせる傭兵の長が謁見室に入ってきた。


「リッカルド卿だけか、あの小娘はどこに行った?」


「事情があって本国に戻られた」リッカルドが苛立ちを抑えながら答える。「今後私が指示する」


「なるほど」ラッツが肩をすくめる、傭兵をやっているとこういう事もある。「契約中だ契約は全うしよう」



## ≪リシト攻略の提案≫


数日後、作戦会議でラッツが地図を指差す。


「リシト城塞都市を落とせばこちらが優位になる」


「無理だ」リッカルドが首を振る。「あの堅城は我々の倍の兵力があっても難しい」


「任せろ」ラッツが自信満々に胸を叩く。「私には特殊な攻城兵器がある」


「特殊な?」


「我が傭兵団独自のものだ」ラッツが口角を上げる。「金はかかるが効果はある」


## ≪リシト攻城戦≫


「突撃!」


ラッツの号令と共に破城槌を走り出す。リシト城からの火矢の攻撃、それでもラッツの傭兵たち止まらない。普通の破城槌より独自に進化させた破城槌は破壊力が違うドーーンッドンと破壊の力ある攻撃を城門に浴びせた、城門は参りましたとばかりに口を開け、攻城槌も役目が終わった様に火に包まれる。


「城門を突破!」


破城槌がついに門を打ち破ると、傭兵たちが雪崩のように城内へ突入した。


## ≪臆病者の末路≫


城内の大広間。震えるて王座に縋り付く男がいた。


「助けてくれ!」エドワードが叫ぶ。「私はただ生き残りたいだけなんだ!」


「お前ら傭兵は金で何でもするんだろう、金ならいくらでも出す」


エドワードが懇願する間もなく、ラッツの嘆きのグレイブが泣いたヒュー。


「リシト城塞都市……陥落」


伝令兵の報告にリッカルドが震える声で呟いた。


「あの堅城を……?」


## ≪資金問題と亀裂≫


「攻城兵器が壊れた攻城兵器を作る金をくれ」


「資金が……」リッカルドが机の帳簿を見つめる。「底をついている」


「それは困ったな」ラッツが皮肉っぽく笑う。「城攻めには攻城兵器が必要だ」


「知らん、人海戦術で何とかしろ傭兵に金を払ってるだろう……」


「攻城兵器を惜しんで人を命をなんだと」ラッツが怒り気味に。「傭兵は命を賭けて当然であろう」


「お前は何を言っている!」ラッツが怒る、リッカルドと不和がうまれていく。


## ≪アレクシスの焦燥≫


「リシトが……落ちた?」


アレクシスの書簡に震えが走る、リシト城塞都市は堅城、こんなに早く落ちるとは、傭兵団の強さが想定を上回ている。


「まずいな」アレクシスが呟く。「今、傭兵軍は勝ちを重ねて、士気が上がっているこうなると傭兵は強い」


「何か策はあるか?」


ライアンが静かに尋ねる。


「光雷卿に援軍を頼む」アレクシスが決断する。「万一の場合、クリスティナ様にサリバ国へ退避するよう伝えろ」


「了解した」


## ≪クリスティナの決断≫


「サリバ国へ避難?」


クリスティナが眉をひそめる。


「そうです」伝令兵が畏敬の念を込めて答える。「アレクシス殿下のご命令です」


「私はここで、戦います」クリスティナが剣を握る。


「しかし……」


「私のために多くの方が亡くなりました」クリスティナが強く言う。「私はスワイケルドで死にます」


## ≪アレクシスの覚悟≫


「私も残る」アレクシスが決然と宣言する。


「ベルガー軍はサリバへ戻せ」アレクシスが指示する。「ライアン、ベルガー軍を頼む。」


「傭兵の契約期間が終了までサリバに逃げればいいものを、頑固な姫だな、付き合う気だな」ライアンが言う。


アレクシスが微笑む。


## ≪謎の傭兵団の知らせ≫


ラッツ傭兵軍がライサカル城前に陣取っている


ライサカル城伝令兵が駆け込んできた。

「西の帝国方面より一万の傭兵団が接近中!」伝令兵が息を切らせて報告する。


「何!?」アレクシスが驚愕する。「新たな傭兵団を雇ったのか?」


「詳細不明ですが……」伝令兵が続ける。「旗印が見えません。おそらく西の帝国からきた流れの傭兵でしょう」


「まずいな……」アレクシスが顎に手を当てる。「既にベルガー軍は撤退済み。ラッツの軍と合流されれば防ぐのは至難だぞ」






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