災厄登場(敵?災厄視点)
#敵視点
# 災厄令嬢の登場
## ≪焦燥と苛立ち≫
バレン派閥の本拠地にて——。
「なんたることだ!」リッカルド執権が執務室の机を拳で叩く。「第三都市までが落ちたとは!このままでは我々の勢力は瓦解する!」
側近たちが沈痛な面持ちで俯く。
「バレン家に支援を求めましょう」一人の臣が提案する。「援軍の要請はしたが」
「難しいでしょうな」ほかの臣が言う「軍を動かせば西の帝国のファビオ家の領地を通らなければならない」リッカルド執権「ファビオ家もさすがにそれは見過ごせないであろう」「内乱になりかねませんね」
リッカルド執権は爪を噛む。「くそっ……打つ手がないではないか!」
## ≪援軍?≫
その時——。
「申し上げます!」伝令兵が息を切らせて駆け込む。「バレン公爵家よりご令嬢がご到着されました!」
一同の間に驚きの表情が広がる。
「バレン公爵家令嬢が?」リッカルドの声に緊張が走る。
「お通ししろ」執権が命じる。
扉が開き、優雅なドレス姿の少女が現れた。年齢は二十歳そこそこ、銀髪が肩まで流れ、鮮やかな紫色の瞳を持つ。
「皆様ごきげんよう」ルナリア・バレン令嬢が扇子を開く。
続いて背後に控えたメイドが一礼する。褐色の肌に琥珀色の瞳を持つ美しい女性だ。
「こちらは私の専属メイド、ソフィアよ」ルナリアが紹介する。
ソフィアが一歩前に出て裾を持ち上げ。「皆様、ご挨拶申し上げます」
【ルナリア・バレン(災厄の魔女)】
- 統率32、武力26、知力99、政治91、魅力56
- 気分屋の天才、ヤンデレ
【ソフィア】
-統率76、武力93、知力67、政治36、魅力83
- ルナリア専属メイド、近衛騎士団団長
## ≪気分屋の天才≫
「さて」ルナリアが部屋を見回す。「現在の状況を教えてちょうだい。第三都市が落ちたそうだけど?」
執権が状況を簡潔に説明する。
「ふぅん」ルナリアが扇子を閉じる。「面白くなってきたじゃない」
「しかし……」執権が躊躇する。「ご令嬢様、我々は兵力が……」
「私が来た以上」ルナリアが傲慢な態度で言う。「指揮権は私が頂くわ。いいわね?」
側近たちが困惑する中、リッカルド執権が膝を折る。
「ルナリア様のご采配に従います」
「よろしい」ルナリアが満足そうに頷く。
翌日——。
「ソフィア」ルナリアが軍議の場でメイドを呼ぶ。「今の我が軍の配置図を作って」
「はい、お嬢様」ソフィアが静かに答える。
軍議室の壁に大きな地図が広げられ、ソフィアが正確に自軍と敵軍の位置を書き込んでいく。
# 刃物のように鋭い指揮
## ≪軍議の席で≫
軍議の場に重苦しい空気が流れる。「傭兵部隊を使います」
「傭兵は裏切ります……」リッカルド執権が溜息をつく。「それで第3都市が落ちました」
「違うわよ」ルナリアが突然口を開く。全員の視線が集まる。「問題は貴方たちにあるの」
「どういう意味でしょうか?」リッカルドが眉をひそめる。
「傭兵は道具なのよ」ルナリアが立ち上がり、地図の前に立つ。「使い方を知らなければ役に立たないわ」
## ≪包丁のたとえ話≫
「例えば包丁」ルナリアが指で宙を切る。「うまくて使えば食材を切ることができる。でも下手に使えば自分の手を切ってしまう」
「それが……」リッカルドが言いかけたとき、
「貴方たちは道具(傭兵)の使い方を知らない」ルナリアが続ける。「適切に扱えば最大限の力を発揮する。貴方たちは道具を扱えきれなかった」
「しかし我々は給料を……」
「お金が払えなくなり契約が終了した」ルナリアが扇子を閉じる。「彼らにも『契約と信用』が必要なのよ。第3都市の例を見なさい。彼らは『裏切った』のではなく、『契約が終了して、新しい契約を受けただけ』」
「契約ですか」「そう」ルナリアが頷く。
「つまり……」リッカルドが考え込む。「どうすれば良いのですか?」
「簡単よ」ルナリアが微笑む。「彼らをしっかり契約と信用させるの」
「信用?」
「そう」ルナリアが地図上の一点を指す。「第三都市でアレクシスがやったように。傭兵団にとって『勝利』の見込みがあることを示す。そして利益の分配について約束する、勝利の戦略を見せるの、傭兵は勝てると思えば強い負けると思えば弱い、信用させるのよ勝利を」
# 気分屋の天才、戦略の刃を振るう
## ≪衝撃の宣言≫
「ファビオ家から攻める……?」リッカルド執権が声を上げる。「ベルガー家ではなく?」
「戦争は弱い方から倒すのよ。ファビオ家派閥は今『自分たちが攻められるはずがない』と守りが緩んでいる、そして決定的弱点ファビオ家派閥には、まとまる中心がない、個別に動いている。これは各個撃破すればいい、一方ベルガー家はしかっりアレクシスという中心がありクリスティナという象徴もあるこういう組織は強い、そしていま守備を固めてる、アレクシスの率いるベルガー家は強い」
軍議の席にいる将校たちの顔に驚きが広がる。「ファビオ家を攻めることは西の帝国内で問題になるのでは」将校が言う。
「だから面白いんじゃない」ルナリアが扇子を開いて口元を隠す。「現在の状況を見てみなさい。バレン派閥は崩壊寸前。誰も私たちがファビオ家の派閥を攻撃するとは思っていないわ」
「しかし我々の兵力では……」リッカルドが言いかける。
「だから傭兵を雇い奇襲する」ルナリアが遮る。
「バレン派閥が追い込まれたと聞いて」ルナリアが目を細める。「ファビオ家は今リッカルド執権が倒れることを狙っているわ。倒れた後、クリスティナを中心にファビオ家とベルガー家と和平を結ぶと信じている。自分の血を流さず収めようと考えている風見鶏ね」
「ですが……」リッカルドが不安そうに言う。「ファビオ家は西の帝国の中で東で大きな力を持っています」
「だからこそ隙ができるの」ルナリアが扇子を閉じる。「彼らは油断している。自分ではない力を自分のもののように思っている、私たちはファビオ家の派閥を各個撃破落していきバレン派閥が力が上になった時に停戦し、指導権を握りその勢いでベルガー家を落とす」
## ≪大胆不敵な資金計画≫
「傭兵を雇う、お金は私のお小遣い内でお願い」ルナリアが軽やかに言った瞬間、軍議室に沈黙が落ちる。
「お嬢様!」ソフィアが珍しく声を上げる。「ご冗談でしょう?」
「もちろん冗談よ」ルナリアが扇子を揺らす。「リッカルド!財産庫にお金まだあるわね。勝てる戦いを用意するための資金くらいはあるでしょう?」
リッカルド執権が唖然とする。「そんな金は……」
「お金は使ってこそ生きるのよ」
## ≪傭兵の選定≫
「さて」ルナリアが地図を指さす。「まずは優秀な傭兵が必要ね。特に前回第三都市を落としたあの傭兵団」
「彼らを信じていいのですか?」将校が首を傾げる。
「信じる?」ルナリアが鼻で笑う。「彼らが誓ったのは金銭的契約と勝利への信頼よ。どちらも満たせば引き受けるわ」
「だからソフィア、あなたに分かるでしょどれだけ傭兵団を雇えばファビオ家の派閥が落とせるか」
## ≪メイドの真価≫
ソフィアが一礼する。「お嬢様の仰せのままに」
「あなたの人脈と交渉術を駆使して」ルナリアが続ける。「前回の傭兵団リーダーを探し出して」
「承知いたしました」ソフィアが冷静に答える。
## ≪宿屋での訪問≫
傭兵ギルド近くの安宿の一室。
ラッツが酒杯を傾けながら窓の外を眺めていた。遠くから聞こえる夜市の喧騒が心地よい。
「失礼します」
「誰だ?」ラッツが警戒する。
「ソフィアと申します」彼女が一礼する。「バレン公爵家に仕えるメイドです」
ラッツの眉が上がる。「バレン家の?」
「はい」ソフィアが頷く。「貴方様にお話があり参りました」
「再依頼か?」ラッツが酒杯を置く。
「金は今回儲けたからな」ラッツが肩をすくめる。「俺には信念がある」
「それは存じております」ソフィアの声が柔らかくなる。「貴方が第三都市の市民に危害を加えなかったこと……それに感銘を受けた方もいらっしゃいます」
「……」
ラッツが考え込む。
「何を求めている?」ラッツが鋭い目を向ける。
「ファビオ家の派閥を攻める計画があります」ソフィアが単刀直入に言う。「第三都市の功績に免じて貴方に参戦をお願いしたい」
「理由は?」
「あなたのその戦力と信用を信じて」
「ほう」少し考え「最初スワイケルド公国バレン家、次にパベル王国のベルガー家、次にまたスワイケルド公国バレン家を受けるか。ここまで聞くると面白いな受けよう」
こうしてラッツ中心とする複数の傭兵団をまとめ1万規模の軍を整備した
【嘆きのグレイブ】
## ≪嘆きのグレイブが泣く夜明け≫
ファビオ家領の辺境砦──。
「行くぞ!」
闇の中でラッツの号令が低く響く。ラッツ傭兵軍の精鋭たちは月光を浴びながら静かに森を抜けた。
先頭に立つラッツが【嘆きのグレイブ】を掲げる。
「これが戦闘開始の合図だ」
## ≪巧みな指揮≫
数キロ離れた丘の上で、ルナリアは遠眼鏡を手にしていた。
「素晴らしいわ」彼女の口元に満足げな笑みが浮かぶ。「予想以上の働きぶりね」
横に控えるソフィアが尋ねる。「お嬢様、なぜラッツを選んだのですか?」
「理由は二つ」ルナリアが双眼鏡から目を離す。「第一に彼の戦闘能力。第二に彼の信用が第一これは信用できる傭兵、金銭だけにあるわけではない所」
## ≪勝利の方程式≫
「ラッツの弱点は戦略がない所」ルナリアが地図に印をつける。「だから私は彼に戦略を授けた。そして彼の武力でそれを実行させる」
「それで勝率は?」
「100%」ルナリアが当然のように答える。「理論上ね」
その言葉通り、ラッツの傭兵団はファビオ家の領内を次々と攻略していく。小さな村から始まり、砦を落とし、徐々に重要な拠点へと迫っていた。
## ≪嘆きの舞踊≫
「突撃!」
ラッツの【嘆きのグレイブ】が振り下ろされる。ヒューヒュー……
嘆きのグレイブ振れば、ヒューヒュー音とともに、刃が敵の兜を真っ二つに切り裂いた。次々と敵兵が倒れていく。
「怯むな!数は少ないぞ!」ファビオ家側の隊長が叫ぶ。
だが遅かった。ラッツの卓越した武力と、事前にルナリアが仕組んだ戦略により、傭兵軍は最小限の損失で最大限の効果を上げていた。
## ≪勝利の報告≫
夕刻、ラッツがルナリアのもとに現れる。その鎧には返り血一つない。
「次の村も制圧完了です」
ルナリアが立ち上がる。「本当に期待通りね」
「お嬢様の戦略が的確だったからです」ラッツが素直に答える。
「当たり前よ」ルナリアが扇子を開く。「私なのだから」
ソフィアが苦笑する。「お嬢様らしいお答えです」




