死と生
# 生命の煌めき
## 慌てて門を叩く
ヒヘルの遷都は蜂の巣を突いたような騒ぎだった。光雷卿の帰還を喜ぶ暇もなく、ファリスの安否がわからないことで重く沈んだ空気になっていた。
そこへ、近衛隊長カルロスが血相を変えて飛び込んできたのだ。
「申し訳ございません」カルロスの息が荒い。「奥様が……」息が詰まる
執務室の空気が凍りついた。
「夫人は無事なのですか!」
「ハインツ皇子は!」
そこで息を整え
「奥さまが、産気づきまして」
「何だと?」
光雷卿の顔から血の気が引く。
## 死と生の狭間で
「侍女がその戦死しており我々では……」
カルロスの言葉が途切れる。彼の軍服には乾いた血痕。
「まさか」
「ミラは……」カルロスの目が潤む。「ファリス様を庇って……」
光雷卿の拳が机を打つ。怒りよりも深い悲しみが彼を包んだ。
「ミラが亡くなったなんて!」光雷卿の表情が曇る
「とにかく医師を!誰か!」
廊下が騒然とする。従者が駆け出し、医師を呼びに行く。
「ハインツは?」光雷卿が思い出したように問う。
「こちらに」
カルロスが後ろを振り返る。年端もいかない少年が怯えた顔で立っていた。
「父上様?」
「おおハインツ!」
光雷卿の顔が和らいだ。しかし直後、新たな混乱が訪れる。
## 必死の出産
「産婆が見つからない!」「どこかに経験者は!」
「あの奥方が危険な状態で……」
騒然とする廊下。光雷卿はベットに深く腰掛ける。
「落ち着け」
彼の声が部屋を支配する。「焦りは事態を悪化させる」
その時扉が開き老婆が現れる。町の産婆だという。説得で来てくれた。
「準備はよいぞ!」
老婆の声が響く。布団が敷かれ湯が沸く。
「皆様はこちらでお待ちを」
老婆の厳しい声。外に出る。
「ハインツ」
ベットに息子を招き。「これから生まれる子供出てくるまで待とう」
## 煌めく星の下
「生まれました!」「おめでとうございます!」
祝いの声が上がる。ベットの上にいた光雷卿の声が飛び込む。
清潔な布に包まれた赤子。
「男児です!」老婆が宣言する。
「お疲れ様でした、奥様」
ファリスが弱々しく微笑む。
「元気な子です」老婆が言う。「この時期の誕生は稀有です」
窓の外を見上げる。そこには冬の星座が輝いていた。
「まるで……星の贈り物のようだ」
光雷卿の声が震える。涙が頬を伝う。
「そうだな……慌ただしい時に生まれた子だ。きっと生涯慌ただしいだろう」
ファリスが小さく笑う。
一同が笑い合う中で新しい生命が産まれる
【ミラル・ベルガー】
光雷卿のきつい部分と軍事的才を受け継ぎ、長男ハインツと折り合いが合わず、兄弟喧嘩をする。
統率 78 武力 87 知力 63 政治 36 魅力 42
【ミラ】
ファリアの侍女、ファリアの実家のカイナー家の執事の娘でファリアと一緒に育ち、嫁に行く時に付いてきた、姉妹のような関係、ファリアは息子に名前を残した
# 落城の報せ
## 怒りの奔流
産後間もない静かな部屋に悲報が届いた。光雷卿の眉間に深い皺が寄る。
「白鳥の落城……スベッチの処刑……」
光雷卿の拳が震えた。
「許せぬ……」
次の瞬間、ベットでの横にある水飲むように用意していた陶器を握りつぶし手に怪我を負いながら。侍女たちが悲鳴をあげる。
「幻影め!」
近くにあった剣に手をかける。彼の瞳孔が収縮していた。側近たちが恐る恐る近づくも光雷卿の一睨みで凍りつく。
「殿下……怪我を……」
「黙れ!」
鋭い一喝で部屋が静まり返る。
## ファリスの制止
ファリスがゆっくりと体を起こした。産後の衰弱で顔色は青ざめていたが、その眼差しは強い。
普段皆いるところでは光雷卿と呼ぶが
「あなた」
静かな怒りのこもった声が部屋を満たす。
「お怒りはわかりますが……今はなりません」
光雷卿の瞳が揺れる。彼女の腹部には新生児ミラルが眠っている。
「あなたの怒りを鎮めて下さい体によくありません、まだ直っていないのですから」
「……それは……」
「分かってません」
ファリスがゆっくりと立ち上がる。痛みで顔をしかめるも毅然としていた。
「お怒りは体に障ります」
その言葉が光雷卿の耳に突き刺さった。
## 悔恨の涙
光雷卿の顔から血の気が引いた。彼の両手が血に染まっていたことに気づく。
「わ……私は……」
膝から崩れ落ちる。周囲の者たちが慌てて支えようとするも、彼は自力で姿勢を正した。
「すまなかった」
深々と頭を下げる。
「お前の方が辛いはずなのに……」
彼の声が震える。
「ミラの死……スベッチの死……」
拳を強く握りしめるが、今度は陶器ではなく自分の掌を痛めつけた。
「すべて我が責だ」
## 癒しの絆
その後の光雷卿は別人のようだった。ファリスへの接し方が一変した。
「お前を失うことが最も恐ろしかった」
彼女の側に寄り添い、ミラルの話しかけた。
この時に側室を持とうとか思わなくなり生涯妻は1人、ファリスだけを愛し光雷卿はファリスをより大切にするようになった。




