第四話
「パパ!ママ!聞いて! 昨日サンタさんが来たんだよ!」
朝食の席で元気よく話しだす女の子の頭を、女の子のお父さんは優しく撫でてあげた。
「そうかい。よかったね。それで、プレゼントはもらえたのかい?」
「ううん、わかんない…」
女の子は悲しそうに首をふった。お父さんも悲しそうに笑った。「目が見えるようになりますように」、という娘の願いを、お父さんも知ってはいたけれど、もちろん用意できるはずもなかった。
「でも、見てごらん。ほら、プレゼントが届いてるみたいだよ…」
「え!?」
お父さんはそう言うと、おどろく娘の手を取ってプレゼントに触れさせてあげた。
「これって…!?」
「犬だよ。きっと、サンタさんからのプレゼントだ」
「いぬ!? お父さん、飼っていいの!?」
「もちろんだとも」
大喜びで飛びはねる娘を、お父さんはいつまでもやさしく見守っていた。
「ちょっとあなた、どうしたのあの犬?」
お父さんがしばらく居間で犬とじゃれあっている娘を眺めていると、女の子のお母さんが近づいてきてたずねた。
「なに、昨日帰り道で、倒れてる所をひろったんだよ。死にかけてるみたいだから、助けなきゃと思ったし、夜の間暖炉の前に寝かせていたけれど、逃げる様子もない。娘のプレゼントにぴったりだと思ってね」
お父さんの話に、お母さんは眉をひそめた。
「大丈夫なの? 野良犬なら病気とか…」
「それは大丈夫、昨日のうちに街に連れて行って、病院で診てもらったんだがね」
お父さんはゆったりと白いひげをなでながらこたえた。
「どうやらあの犬、隣街では有名で、よく街の肉屋から食べ物をしっけいしてた奴らしいんだ。ちゃんと予防もしてきたよ」
向こうでは厄介ばらいできてせいせいしてたよ、とお父さんは笑った。お母さんは、そんなどろぼうみたいな犬を娘に飼わせるなんて…と不満そうに顔をしかめた。それでも無邪気に喜ぶ少女の姿を見て、最後にはやさしくほほえんだ。
「よろしくね、ジョン!」
ジョンとよばれた犬は、あたたかい暖炉のそばで灰色の目のご主人さまにそっとよりそい、その手をあまがみしてみせた。




