第十二刀 オムレツ
俺はメイドさん達が使う給湯室のような所へやってきた。
その給湯室に小さいながらもキッチンがあるので、そこを借りようと思ったのだ。
俺と一子がこの城で働くようになってからメイドさん達と話す機会が多くなり仲のいいメイドさんも出来た、その人は大体の時間は給湯室に居るらしいのでその人に頼んでみるつもりなのだが。
「いるかな?」
給湯室に入ると数人のメイドさん達がテーブルでお茶を飲んでいた。
このメイドさん達は若いメイドの教育係みたいな人達で、現役を引退して裏方に回ったおば様達である。
「こんにちは」
「あら、ソータじゃないか?どうしたんだいこんな朝に」
「マリアさん達こそ朝からどうしたんです?」
「若い子達はもう仕事が板についてきたから教育期間は終わり、でアタシ達はこっから数カ月は暇になるのさ」
マリアさんという恰幅のいいおばさんはこの城のメイド教育係で、三児の子供を持つお母さんでもある。
子供達は長男が執事として独り立ちしており、長女もメイドとしてこの城で働いている、一番下のリリンちゃんはまだ10歳でこの城によく遊びに来る。
マリアさんが言うには子育ては気合らしい。
うちの母さんと気が合いそうだ。
うちの母さんも子育ては気合いと言っていた。
「そうなんですね、じゃあみなさんは」
「そう、暇してるのさ所でソータ、アンタこんな所に来てなんのようなんだい?」
「あ、そうだったあのキッチン貸してもらえませんか?あと食材もちょっとだけ」
「別にいいけど、どうしてだい?」
「一子の朝ごはんを作るんです」
「イチコちゃんのために朝ごはんを作る、相当惚れ込んでるねアンタよし!食材は何が欲しいんだい?何でも持ってきてあげるよ」
「本当ですか!?有難いです」
「で、何を作るつもり?」
「オムレツとサラダをあ、なるべく新鮮な材料でお願いします」
「分かった知り合いに食材もらってくるよ少し待ってな」
そう言うとマリアさんはものすごい速さでかけて行った。
そして数分後、大きな籠を提げてマリアさんが戻ってきた。リリアちゃんを連れて。
マリアさんは住み込みで働いており、リリアちゃんも城に住んでいる。
食材を取ってくる時に連れてきたそうだ。
「おにーちゃん料理するの?」
「うん、そうだよ」
「アタシも食べたい!!」
「こら、リリア迷惑かけちゃダメだろう?」
「だっておにーちゃんの作った料理食べてみたいんだもん!」
「ハハハ、分かったよ少し待っててね」
「ほんとに済まないねぇ」
「いいんですよ、一人分増えたところで手間はかかりませんし」
俺を含めて三人分と伝えたのだが、多めに持ってきてもらったおかげで結構な量が作れる。
俺が今回作る料理はオムレット、通称オムレツだ。
「オムレツはその名の由来としては本来オムレツは薄く焼いた事から薄片を意味する、lamerreが語源と言う説や、素早く焼くことから、homme leste (素早い男)が語源と言う説などがあると僕の世界では言われています」
「ん〜なんか凄いね!!」
「リリアちゃんには少し早かったかな?」
「分かってるよ!」
そんな豆知識をリリアちゃんや、メイドの皆さんにいいながら作業をする。
「僕が今回作るオムレツは一人分の材料としてはこれだけですね」
俺は一人分の材料として机に、卵2個、小皿に塩少量、こしょう少量、バター大さじ1、植物性油まぁ、サラダ油をフライパンになじませる用で適量を並べた。
「これから、作っていきますね因みに作る時には新鮮な素材を使用することと、厚手のよく使い込んだ焦げ付きの無いフライパンを使ってください、それでは先ずはボウルの中に卵を割入れ、溶きほぐして、ここでかき混ぜすぎないことがポイントです、塩こしょうで味付けをします」
「フムフム、かき混ぜすぎないことになにか意味はあるのかい?」
「今回のオムレツはふんわりとさせたいので、敢えてザックリと割りほぐします、こうすることによって混ざりきっていない白身が固まりふんわりとした食感を作るんです」
「へぇ、為になるねぇ」
「ちょっとしたコツで美味しくなるのが料理ですから」
俺は話しながら次の工程に移っていく。
先にフライパンに火にかけ熱しサラダ油を入れて馴染ませ、油を別の容器に開けておいた。
「さて、この熱してサラダ油を馴染ませたフライパンにバター若しくはサラダ油を入れて強火で熱します。それで、さっきの卵を一気に流し入れて箸とフライパンを同時に動かしながら半熟になるまで手早く混ぜますこの時強火で手早く焼いて下さい」
よし、ここからはスピード勝負だ、慎重にかつ丁寧に作業しなければ失敗してしまう。
「半熟になったらフライパンの柄を持ち上げて、手前から向こう側へ卵を巻くようにして寄せます、柄の手前を持ってフライパンの先これは向こう側ですねそれが下向きになる感じで手前の柄を叩いて卵を回転させます、そこで形を整え卵が一回転したらフライパンを裏返すようにしてオムレツを器に盛ります」
「出来たー!凄いね、おにーちゃん!!」
完成だ、さぁ、これをあと何個か作るまでがゴールだ。
「頑張ってね!おにーちゃん!」
「おう!」
やっと料理作成シーンかけたぁ。
ここまで長かったよ。
デモマダアルンダヨォ