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プロローグ


「肉・・・肉が食べたい・・・」

 そう発したのは金髪で碧眼、どこからどう見ても日本人には見えない、ただ幼さの中に妖艶さをまとう見た目16、17の少女だった。

 控えめに言っても美人、雑誌の表紙を飾っていてもおかしくない程には。

 一つ通常と変わった点を上げるとすれば額に怪しい光を放つ石が埋め込まれていることだろうか?

 それがただの装飾品であるかどうかは一目にはわからないけれども、

「ならあそこの牛丼屋なんてどうだ?」

 そう返すのは、目付きが悪く髪もボサボサで目の下にはクマなんか出来ている少年だった。

 グローブを片手左手だけにしている。

 さらにその左手を隠す様な仕草が癖のようで、その金髪碧眼の美少女に全国展開している牛丼屋を目で促してそう言った。

「ならば金をよこせ」

 金髪少女はとても口が悪いようだ。

「誰のせいで今の状況になったとでも?」

「私の所為だと言うのか!?」

「他に何が有ると?」

「貴様だって付いてきたではないか!?」

「ああ、なんで財布くらい手にしなかったのかが悔やまれる・・・それになんであの部屋オートロックなんだよ・・・知ってたけど」

 どうやら何処からか締め出されたらしい。

「こら!オートロックなどの所為にするでない!」

「いいやお前の所為だからな?」

 締め出しの原因を作ったのは金髪少女か?

「しかし、つかさが帰ってくるまでここで食いっぱぐれなのか?」

「話をそらすな」

「話などどうでもいいわ!」

 深い溜息を付く少年と少女。

「絶望だ!死んでしまう!」

 少女は叫んだ。

「勝手に死んでろ」

 少年は慣れたようにあしらう。

 今二人は公園のベンチで意味もなく石を拾っては投げ石を拾っては投げを繰り返している。

 そこに何の意味もない。

 そして沈黙が数秒続いた後に、

「ああ!もう待ってられるか!」

 おもむろに少女は立ち上がる。叫びながら。

「うおっ!びっくりした」

「肝っ玉の小さい奴め」

「いきなり近くで大声を出されたら誰だってびっくりくらいするだろうよ」

「そんなことはどうでもいい!行く!」

「行くって何処にだよ、まさか金もないのに牛丼屋に入るつもりじゃないだろうな?」

「たわけ!”待ってられるか!”と言ったのだ。行くのは学校じゃ!」

「学校ってまさか司のところじゃないよな?」

「そうじゃが?何か問題でも?」

「問題だらけじゃねぇか!」

「何処が問題なのじゃ?」

「司には迷惑を掛けないのがルールだったろうが」

「迷惑を掛けない?はっこのままじゃ私らは空腹で死んでしまう!多少の譲歩はしてもらわねばならぬのではないか!?」

「いや一日くらい食事を抜いても死なないだろう」

「いいや!死ぬね!あと一歩でも動いたらわしはそのままあの世逝きじゃ!」

「行って二度と帰ってくるな」

「いいや!行くのは学校じゃ!」

 こうなったら誰にも止められない事をよくよく知っている少年は渋々と立ち上がり、

「わかっているな?目立った行動はナシだ」

「ケッ、誰に物を言っている?」

 と歩き出した。


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