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異世界ガクブル半隠遁  作者: 尾中垂太
乙女の身嗜みがととのうまで編
18/26

それぞれの勘違い

お気に入りの数が増えてて驚きました!あとちょっとで150人とかって別の人の作品ページを見てしまったのかと二度見してしまいました(笑)

見てくださった方やお気に入りにいれてくれた方々、本当にありがとうございます!!

あー、よく寝た。

寝過ぎたせいか変にリアルな夢を見たようだ。これぞサムライガール!って感じの子、紺色の長い髪をポニーテールにした凛々しい子の夢。…二次元みたいなよくわかんない所に来てまで漫画だかゲームだかのキャラの夢見るなんて、自分の頭はそうとうヤバイんじゃなかろうか?


覚悟決めました!な、顔してたし成長物語なんだろうけれど…はて、なんの漫画…いやゲームか映画だな、リアルだったし。タイトルなんだっけ?もうあの子が主人公でいいから私は家に帰りたい。


そんな事をつらつらと考えながら日課のストレッチを黙々とこなし顔を洗ったりなんだりを済ませ、スマホを起動。ケータイ依存症に引っ掛かりそうな勢いだけども仕方ない、こっちは文字通り命がかかってるのだ。


『おはようございまーす!』


『おはよ~?』

『あさあさ』

『ございます!』


うん、今日も精霊さん達は元気のようだ。無邪気さが眩しいがその無邪気さが恐くてガクブルな時もあるので少し複雑だけれども。


『こどもー』

『いたいた』

『ねこ』


猫?こども?子猫達が帰ってきたのかな?【精霊監視網】≪おみとおし≫を起動。ポチポチとスマホを操作して画面を切り替えていく。


「ん~?…おっ!いたいた…えっ!?」


確かに子猫達は近くまで帰って来ていた。が、問題はそこではなく…


「え、なぜに猫耳幼女?」


えっ!?なんでなんで!!

いやいやいやコレは不味いドン引きでしょ!異世界の倫理観や常識云々はまだよくわかんないけどもこれは確実に不味いと思う。危険溢れる山に一人ぼっちで泣く猫耳幼女…ってなんぞこれヒーローはどこだ、バッドエンドのフラグしか見当たらないぞ。

誘拐?これって…誘拐、だよね?それにしても一人って!?しかも転んだのか膝を擦りむいている。連れてくるなら連れてくるで最後まで面倒見ろよ!

珍しくはない二次元的な展開だが私にとってここは現実なのだ。現実的に考えて子猫がある意味子猫ちゃんを誘拐とかどうなっているのだろうかこの世界は。


『ねこがつれてきた』

『ないてるー』

『みゃあみゃあ』

『いやいやいや』

『あっちいけー』


少し目を離した隙に精霊さん達が可笑しな事になっている。なんだ?人見知りなのか?

余計なことをしないうちに釘をさしておくかな。


『あの子にちょっかいかけてないで早く風をおこしてください。

あっ!早く髪が乾くようにあったかいのでお願いしますね~』


『あそぶあそぶ』

『あったかいの~』

『ぶわっー』

『ぶわー』

『あついのはだめきずがつく』


おお!ちょうどいい!

実は昨日の夜に頭を洗わずに寝てしまったため、さきほど朝シャンをしたのだ。石鹸はないがぬるま湯で頭を洗うのと洗わないのではさっぱり具合が大分ちがう。

頭がぬれたままじゃ寒かったため思い付いたが、まさか髪にダメージを与えない最適な温度を追求しだすとは思わなかった。いまでは私は黙って座り、ブローは精霊さん達まかせである。なんか違うと思いつつも精霊さん達からは面白い遊びだと好評。気になる大精霊さんからはとても喜ばれた。なんでも風をおこすのは簡単だが髪を傷つけないよう熱を加えるのは加減が難しい、遊びと称して気紛れな精霊達の技術向上に努めるとは我等は善い友を持てた、とのことである。

…どうやら彼等は一度気に入ると、対象の悪い面が見えなくなるほどのめり込むらしい。なんだかうすら寒い物を感じるが対抗策を思い付かないままで、現状を気にしたら負けだと考えている。


風邪を引かないように精霊さん達にドライヤーがわりに温風を出してもらいながらこれからの予定をたてる。




えーと、今日は荷物を受け取って、彼等に報酬として【とっておき】を渡す。その後に荷物を見て~、あとすることは………駄目だもう限界。


目線の先にはスマホ。


そこには本格的に泣きの体制の猫耳幼女がいた。山の生き物を警戒してかしゃくりあげるけど声は出さずにボロボロと泣いている。あげくの果てには途切れ途切れに、


『おっ、おじい…ちゃん……』

『だ、いじょうぶ…ちゃ、ちゃんとっ…でっ、きる…』


凄く小さな声で自分自身に言い聞かせるているようだ。なんでわかるかって?見てる精霊さんがテロップで詳しく教えてくれるからだよ、ほんともうやだ。そこまで拾わなくていいから早く何とかしたれ!そう思ってたがスマホと視点を繋いでいる精霊さんは無関心。あげくの果てには飽きたのかカメラアングルであそぶ始末で期待できそうにない。



多分、いやきっと、私があの子を家に帰してあげてと言えば、あの子は直ぐにでも家に帰る事ができるだろう。現に私は昨日、そうやっつ衝動的に少女を助けている。今回もそうすれば私は気を揉まなくてもいいし、あの子も助かる。一見いいことずくめだ。

ずくめ…なんだけどその先を思うとどうも気がすすまない。【精霊監視網】≪おみとおし≫で見たこの世界にはお伽噺の中の魔法や魔術、獣人にエルフ、魔物に幻獣、ドラゴンに精霊と、夢のような存在が盛りだくさんだ。しかしファンタジーだぜひゃっほい!と暢気に喜んでいる訳にもいかない。

この世界には当たり前に奴隷がいるし戦争だってある。一部では酷い種族差別や私から見たら酷く歪んだ選民意識だって垣間見えた。

あの小さい子猫や子犬達でさえ『人は餌』と人≪・≫である私に平気で言うのだ。考え方が違いすぎる、現代日本の常識や倫理観のままで行動するのは非常に危険だ。

生きて帰る、だからこそ命大事にのスローガンを掲げて決心した。


ここであの子を、山に来る人間を助け続けるのは簡単だ。けれどそれが幾度も続くと人は簡単に山に入るようになるだろう。そうするとこの小屋まで来る人がきっと現れる。


私のスマホはチート臭が半端ない。


凄い力を持ってる相手がチョロい、私ならばまず利用するだろう。いや、する。だってすでに精霊さん達をいいように使ってるし。


いいように、または一方的に利用されるのは絶対に嫌だ。私自身にメリットがないし、それが定番化したら元の世界への帰還すら邪魔されかねない。

精霊さん達にも不安があるけど今の所、大精霊さんと話をつけてあるし問題ない…と、こればっかりは思うしかない。


胃がキリリと痛む。

ううっ、深く考えちゃ駄目だお腹痛い。【写真収納】≪おどうぐばこ≫から改良を重ねたポーション…いや、原型があれば蘇生可能らしいからエリクサー?を取り出して胃に一気に注ぎ込む。

え?エリクサーの無駄遣いじゃないかって?大丈夫だ、問題ない。これは私が作ったやつだから誰にも文句は言わせないぞ。こういう事から意識改善していかなきゃ、うーん、駄目だ…。


「はぁ、一人だと無駄に考え込んじゃうなぁ~…」



そうして悶々としている内に時間は過ぎて子猫達が帰ってきた。猫耳幼女は相変わらず泣いているし、精霊さんはやけに過激な下からの煽りアングルを習得したようだ。なにやってんだこいつ。


バカらしくなってきたので直接聞くとしようそうしよう。痴漢を見るような冷ややかな目で猫に問う。



「で?なんで、よそ様の子を連れてきたの?」

『な、なんにゃいきなり。我等はシナの言うお使いを果たし終え帰還したにゃ!やめるにゃ!にゃんでそんな目で我を見る!?』

「いや、だからなんでよそ様の子、しかも幼女を連れてきちゃったの?」

『それのにゃにがいけにゃい?』


わ、わかってない。

不味いな、いろいろ有り得ない展開に何だかヒートアップしてきた。情緒不安定すぎだろ自分、しっかりしろ自分。ロリ誘拐はダメ、絶対!よし!いける!!


「幼女は見るもんであって、絶対に絶対に触っちゃダメだし連れてきても駄目なの」

『シ、シナ?』

「あの誓いを忘れたの!?ノータッチ!ノータッチ!」

『ノータッチノータッチ?なんの呪文にゃ!?そんにゃ誓いにゃんてしてにゃいのにゃ!!』

『はっ!お姉さま、シナがいっているのはさっきの…』

『き、きっとそうにゃ!落ち着くにゃシナ!怪我をさせないと剣に宿る精霊に誓ったにゃ!』


お?てことは保護者に許可もらってる?私の剣幕に猫達が珍しく慌ててるし

このままいこう。


「怪我してるけど…」

『そっれは、村の入り口で勝手に転んだ時のにゃ!』


怪我には本当に関係ないみたいで全身を使って否定している。

それにしてもあんな小さい子をこんな所にやる許可を出すその保護者はなにを考えてるのか。まぁ、考えたところで地球産の自分には理解できないんだろうけど。

子猫達が猫耳幼女を頭からバリバリと食べる可能性があったから勢いで家に帰そうと思ったけど、どうやら杞憂だったみたいだ。


『あ、あの、シナ?おちつきまして?わたしあの子とお友達になりましたの』

『シナがあんにゃ大声出すとは珍しいにゃ。あれは心配いらにゃい、姉妹達と遊ばせたらすぐ返すにゃ』


と、友達?

念のため同じ種族かと聞いたら猫耳幼女は獣人で古猫種とは全くの別物とのこと。珍しい色…たしかに白黒に赤茶で三毛っぽい。いったいどうなってんだ異世界遺伝子。

どうやら此処まで連れてくるのは精霊さん達が微妙に嫌がったらしくて途中で置いてきたらしい。途中で気を反らしてもやっぱり嫌なもんは嫌だったみたいだ。しかしいくら回りに子犬と子猫が二頭づつ見張ってて、ある程度は安全だとしてもあの子が可哀想すぎる。だってこの山、半端なく怖いのだ。

そんな感じに猫耳幼女…シルヴィちゃんの事をそこそこ詳しく聞きつつも【写真収納】≪おどうぐばこ≫から少し大きめに作っておいた【とっておき】を六個取り出して子猫達に渡す。



あれ?なんか不満そうなんだけど…。



『シナ!我等を侮るつもりかにゃ?』

「え?報酬ってそれだよね!?」

『はあ…シナ、これではあまりに…』


げっ!余計に機嫌悪くなった!?どういうこと?【とっておき】とはこの魚バーグの事…。のはず、少なくともお使いに行くまでは同じ認識だったし…じゃあ、量の問題?いやいやいつもより奮発してるし!もしかして…ふっかけようとしてる?ど、どど、どうしよう!?頭でも力でも勝てないのにこれは不味い!!



『シナー!腹へった~!【とっておき】もらいに来たぞ!!』



ぼ、ぼろ雑巾来たー!!


焦りに焦って乙女としてあるまじき量の汗をかいていると、子犬達のところの末っ子くんが意気揚々と駆けてきた。

よし!いざとなったらこいつ買収して応戦しよう!!余談だが消炭くん以外の二頭は汚れ過ぎてて元色がわからないのだ。だから見た目がまんま、というわけだ。そそくさと【とっておき】を渡す。


「お、お疲れ様~。はい!【とっておき】です!一人三個!」

『おー!!古猫種じゃま!

全部?それ全部おれの?すっげぇ!えっと…さ、ん?…たくさんある!』

「それであってるよね!?それ全部いいよ!」


いやん、数がわからなくて沢山で誤魔化すなんてかわい…いや駄目だいかんせん見た目がゴツすぎる。思い出せ小さくとも異世界産の子犬は子犬の前に獣だということを!ああ、あの爪に牙、いかんトラウマが…。


『どういうことにゃ!!』

『…っ!ちがう、お姉さまわたしたちが…』

『シナが古犬種を優遇するつもりにゃら我等にも考えがあるにゃ!!大陸中にシナの事を暴露してやるにゃ!!』



え?優遇?というか今この三毛猫ってば凄く最低な事を言わなかった?しかもアメショーの言葉遮ったし。

…あ、そういうことか。


『お姉さま!ちがいますわ!わたしたちの勘違いでしたの!!』

『にゃ?にゃにを……あ』


「で?」


『…すまんかったにゃ。さっきのは嘘にゃ出来心にゃ』

『あの…ほんとうにごめんなさい』


やり取りを続けるのが馬鹿らしく、とりあえず謝罪だけを無言で受け取り【とっておき】一頭につき三個渡す。

どうやら子猫達は一頭につき三個を全体で三個しかもらえないと勘違いしたらしい。

やっぱりここ異世界だ…たんなる魚バーグで攻撃されそうになるとは…。世界中に存在ばらすとか悪質すぎるだろこいつ。

物語りじゃないんだ気を引きしめなくちゃつまらない理由で簡単に死亡フラグがたって殺されそうだ。もしもの為に保険かけとくかなぁ…でもなぁ…。あんまり特定を贔屓とか優遇するの好きじゃないんだよなぁ。


『ばっかでー!シナはズルしないんだぜ?兄ちゃん達が言ってた!!』


ぐっ…。

今度は迷わずに【写真収納】≪おどうぐばこ≫から先日拾ったブツをぼろ雑巾もとい古犬種さん家の末っ子の前にだす。これはけっして贔屓や優遇ではないのだ。なんていうか…そう!弟にいい教育をしたお兄ちゃん達への感謝の品だから大丈夫!


『にゃ!!』

『まぁ!』

『すっげー!!ルゥル鳥だ!!』


「ほーれ、これも食べていいよ~」


『ほんとか!?おれの?ルゥル鳥おれが食べていいのか!?』

「いいよいいよ~。ただルゥル鳥?は、お兄ちゃん達と食べるんだよ~」

『わかった!!』


ウオーンと遠吠えをして兄弟を呼ぶ末っ子、その尻尾は千切れんばかりにふられている。そうか、このハトを凶悪にしたような鳥はルゥル鳥っていうのか。実はこの鳥、羽を閉じた状態で私と同じ位の大きさだから捌く技術も度胸もなくってスマホの中で眠っていたのだ。

すぐさま他の二頭が来て外で兄弟仲良くがっついている様は正しく獣って感じなので見ないふり。

ああ、中を舞う鳥肉の破片が青空に映えること映えること。


『ああ…にゃんて、にゃんてことにゃ…』

『お姉さま…』


チラチラ此方をみてくる子猫達。いやもう鳥はないからこっちみんなし。暫くは放置で…いや此処で生きるにはそれも不味いか?てか、荷物!


「荷物ってどこ?

それにシルヴィちゃんだっけ?まだ小さいんだから暗くなる前に帰してあげなさい、できる?」


『で、できるにゃ!…?…シナは獣人に興味にゃいのか?』

「う~ん、興味はあるけど会うのはまだ恐いし辞めとく」

『わかったにゃあ…』


なんだか酷くショボくれている子猫達を見ると胸が痛んでしょうがない。もしかして異世界人に会わせてくれようとしたのか…いや、ここは心を鬼にしないと今後が…。


「あ、コレあの子に使ってあげて。こっちはご家族でどうぞ、って言って渡すのよ?」


魚の一夜干しとポーションを渡す。

が、猫達は受け取らない。


『にゃぜここで施しをするんだにゃ?

我が言うのもアレだがにゃ、シナから見たらあの子どもは侵入者にゃ。子どもだからと憐れんで過剰にゃ施しをすれば痛い目みるにゃ』

「コレ施しじゃないから。大声出して泣かなかったシルヴィちゃんへのご褒美だから」

『ご褒美、ですの…?』

『にゃるほどにゃ~…』


戸惑うアメショー。三毛猫は私の言いたいことがわかったのか呆れた目でこっちをみている。うるさいこっちみんな!

目をそらす私に気を良くしたのか三毛猫は声高に喋りはじめる。


『つまりにゃ!シナはシルヴィに施すことで内に芽生えた罪悪感を…』

『否』

『なんにゃ脳筋!遮るにゃ!我の素晴らしい語りの最中にゃ!!』

『その話興味無い』

『だよなー!古猫種ばっかじゃねー』

『ふん!脳筋共には理解できにゃいからと僻むにゃっ』


『否、シナは理解を望んでない。なればルゥル鳥分の守護はしよう』


ちょ、いま凄い感動した!

鳥を貰ったから庇うって本音は正直いらんかったけど、この状況で猫の演説を遮って庇うって!なにそれかっこいい!

食べ物の話しか反応しないただの食いしん坊キャラかと思ってて本当に申し訳ないです!


『ふぅむ、我としても叡知をひけらかすつもりはにゃいにゃ。許せシナ、この癖は我が種の特徴なのにゃ。

今後は無闇矢鱈と暴かにゃいと友に誓うにゃ』

『わたしからも謝罪を…ほんとにごめんなさい』


珍しく反省の意を示してくる猫達に驚きつつも、この話題が流れるならいっかと気持ちを切り替える。いいからいいから~と軽く流しつつ、返してもらったばかりの薄いピンクのハンカチにポーションと一夜干しを包んで渡す。

よし、今度はちゃんと受け取ってくれた。アメショーの彼女は凄く申し訳無さそうにしている。やだ、ちょっときゅんとした!どれ、ちょっくらフォローいれとくか。


「いやね、私も甘いってのは自覚してるけどさ?指摘してくれるのも庇ってくれるのもありがたいから、この件はコレで流そ?」

『にゃあ』

「じゃあそれ渡して今日中に村に帰すこと。そしたら姉妹皆でここおいで?

早く帰ってこれたら一夜干しも一つオマケしてあげるから」


『シナ!!』

『す、すぐにいってくるにゃ!』


元気になって飛んでったしこれはこれでいっか。にしても友達だからってこんな所連れてきて放置って…こっちの友達の定義がわからない。

ちらりと子犬に目をやると、およそ鳥の骨とは思えないほど立派な骨にかじりついてお口のケア真っ最中。視線に気づいた消炭くんが目線で荷物の位置を教えてくれたためお礼を言っておく。ううむ、報酬をあげ終わらなきゃ荷物の開封ができないし少し暇だ。



石鹸入ってるかな?髪をとかしたいしブラシもあるといいな。

この間のじゃが…クルー芋も食べたい。栽培に挑戦してみようかな?

こっちの女性の服ってエプロンドレスみたいなやつだったよな、山でそれは今更ながらキツいかも。



『シナー!』

「ん?どしたの~?」


末っ子くんが話しかけてきたので返事をする。この子は本当は何色なんだろうか?うーん、気になる。


『シナ、怖がられるのイヤなのか?』

「うん」


キョロキョロと落ち着きなく末っ子くんは話を続ける。子犬達がここに来る時に私に近付て話すのは基本的に消炭くんだけなので、この子だけ近付いてくるのは珍しい。それにどうしてこんな話題を出してきたのかが謎だ。


『なんで?』

「いや、なんでって言われても…」

『だって強いから怖がられるんだぜ?かっこいいじゃん!!』

「え?」


その後も末っ子くんの話は続き、私は子猫達が子犬を脳筋と言う意味を理解した。彼等の中では強いと怖いがイコールで結ばれているみたいで、怖がられるのを怖がる私が不思議だったみたいだ。そうこうしているうちに話の流れが変わってくる。


『古猫種がなー、シナは恐怖を恐怖するとか言って、対等なる取引?とかってなんかしたら荷の量が減って、代わりに荷の中身が良くなったんだぜ~』


おや?


『あのな、おれたち荷を運んだけど、人間と話つけてあれ用意したのは古猫種なんだぜ?』


これは、まさか?


『だからさー、あんま、あいつらのこと怒るなよな~』


「ちょっ、消炭くんこっち来てー!!」

『是』

「ちょっと!お宅の弟さん超かわいいんだけど!?なにコレなにコレ!」


急に大声だした私に驚いたのかキョトンとした顔で尻餅をついた末っ子くんに悶えながらも消炭くんを呼ぶ。一番子猫達につっかかる子だから嫌いのかと思ってたけど、あらあらまあまあ。

呼ばれた消炭くんは誇らしげに胸を張りただ一言。


『是、当たり前だ』


その後、シルヴィちゃんを送り届けた子猫達が戻るまではしゃいぎ悶えたのだった。




気づけばもう20話。なんだか全然話は進んでないのに話数だけがふえていってしまっているような気が…。



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