「幽霊はミステリになれない(創作短編)」
初めて書いた作品です。拙い部分もありますが、温かい目でお願いします。
死んだ。
寝てる間に何者かに心臓をぶすりと刺されて死んだ訳だ。
意味がわからない。なんで俺が?というか死んでるのになんで思考ができるんだ?
困惑しつつも一旦俺の死体と重なってみる。
ゆ〜たいりだつ〜!(ザ・◯っち)ってシャレになってないじゃないかこれでは。幽体離脱じゃないよ、死後だよ。
とりあえず俺の死体が発見されるまでは容疑者を考えてみよう。
ここはとある山奥のペンションで、外と繋がる道はバスで30分はかかる。
そして一昨日から土砂降り。バスは欠航していた。
俺は連泊して登山をしに来ただけだが、他の来客はどうなんだろうか。様子を見てみよう。
ドアの鍵を開けようとしたが触れない。ドアをすり抜ければいいと気付くまで30分かかった。
101号室。数珠を持った妙齢の女性だ。そしてこちらを見て口をパクパクしている。
「あー、えー、俺が見えるのか?」
テンプレみたいなセリフを言ってしまった。
目を白黒させながらコクリと頷く女性。
一旦落ち着いてもらおう。
名前は青山雪。話を聞くに、「インチキ霊能力で稼いでいた所、まさかの俺の霊が見えてビックリ」とのことだった。
どうやらここらの周りは呪いが取り憑いているらしく、それを祓う!と言ってテキトーにそれっぽいまじないごっこをして帰るつもりだったらしい。
犯人だったら困るので、103号室(何の変哲もなかった俺の泊まってた部屋だ。昨日までは。)には近づくな。と言っておいた、が、後々思い出した。
俺幽霊だった。他の人には見えないんじゃないのか?知らねぇ。効力があればいいんだよ約束なんてさ。
102号室。眼鏡をかけた男性だ。
「で、何の用だい?」
彼は落ち着いた様子でコーヒーを啜っていた。
「アンタ、俺が見えるのか!?」
先ほどと全く同じ言葉を吐く。
ミステリの霊感持ちは一人で十分だと思うんだがなぁ。属性被ってるだろ。
話を聞く。
名前は白神曇。なんだか知らないがリケーのアタマのイイ、学者サマだそうだ。俺と真反対だな。
「霊は本当にいたのか…詳しく聞かせてくれないか?」
生憎、こちとら霊になったばかりなので丁重にお断りしておいた。聞くなら先輩方に聞いてくれ。どこにいるのか知らないが。
チシツガクとやらを調べているらしく、めちゃめちゃ長い筒を見せてくれた。ボウリングとやらをするらしい。これピンにするのか?ボールは?と聞きたくなったがたぶん違うしバカがバレるのでやめておいた。
白神センセーにはゲンバケンショーの為103号室には近づかないでくれ、と伝えておいた。流石頭の良い学者サマだ。速攻で理解して約束してくれた。
104号室。長い黒髪の美しい、チャイナドレスがよく似合いそうな女性だ。特にこの脚が綺麗で…
「あなた、さっきから何?」
「あ、すいません」
反射的に謝ってしまったが、よく考えたらコイツも俺が見えるのかよ。死んだ俺がバカみたいじゃん。いやバカは殺したやつだ。霊が見える人間3人いるのに殺してたらミステリどころじゃないだろうがよ。
一旦話を聞く。
名前は赤澤レイン。モデルをやっているらしく、このペンションの名物である美肌温泉に浸かりに来たそうだ。
生憎の土砂降りで気が立ってるらしくそこまで聞いた時点で追い出されてしまった。
これだから気の強い女は苦手だ。
念のため103号室には近づかないように言っておいた。
105号室。あからさまにオタクな格好をしている眼鏡のチェック柄のシャツのオタクオタクしてるオタクである。
今時古いんだよ。あと眼鏡はもういるだろ。被ってんだよさっきから。とか思いながら観察していたら…
「わ…宇宙人だ…初めて会った…」
コイツもか。
「どうした?地球でも攻めに来た…と言えば満足か?」
彼の話によると、彼には俺の姿が宇宙人に見えてるらしい。グレイ型だとかなんだとか言ってるがなんだそれ。姉さんがよく言ってたイエベブルベの話か?それすらも詳しくねぇぞ俺は。
名前は緑川晴也。宇宙人オタクで大学で宇宙人がいると言い張ってたらサークルができるくらいになったらしい。こんななりだが人望はあるみたいだな。それにしてもジャンプ漫画の読みすぎだ。宇宙人なんているわけないだろ。幽霊はいるけどな!ガハハ!
皆には103号室に行くなと言ってあるがコイツには言わなかった。
どうせ行かないだろ。このタイプは逆に言うと行く。
次は201号室。なんとこのペンションは2階建てだ。階段を踏みしめられず登れない俺はずっと考えていたんだが…
「助太刀致す」
ナンダコイツ。
半透明の武士がいる。
歴史の教科書で読んだことがあるぞ。この髷の結き方は間違いなく武士だ。
「何してくれるってんだ、武士のあんちゃん」
「いや武士じゃないでござるよwブフォwただの一般通過ピーポーでござるwwフォカヌポウww」
あー違った、只の変なオタクだった。サイアク。というかオタク被ってんだよ。
「ワタクシたちにかかればZベクトルも自由自在でござるよww」
は?なんだそれ。Zベクトル?スーパーロボットか?生憎ロボットは詳しくなくてな。
「要するに任意にすり抜けて上昇できるってことでござる!wほら、おチリに力を!www上に行くイメージで!ww」
あ、本当だ、飛べる。
「礼には及ばぬでござるww霊だけにwww」
やかましい。
念のため名前を聞くことにした…が、名前すら覚えていないらしくブシオ、と呼ぶことにした。武士オタクの略だ。
俺の見立てではブシオは絶対犯人ではないことが確定している。何故なら俺達霊は物体を掴めないから。
ナイフも掴めないためぶすりとは行かないだろう。あと自分の名前すら覚えてないやつに殺されたと思うのも癪だからというのもある。
気を取り直して。201号室。
うわ。コイツ犯人だわ。絶対。
金ピカのスーツ着てるアニメみたいな金髪色黒のグラサンかけてる悪そうな奴がいる。
「まあお二方…かけろよ」
そして例にも漏れず俺たちが見えている。もう慣れた。
「霊だけに!でござるな!!ブフォww」
黙れ汚いワトソン。
話を聞く。というか半分説明していたが。
名前は金剛寺雷太と言うらしい。あの有名な金剛寺財閥の跡取りで、先述のバカみたいなスーツは執事が出ていった時のクローゼットにあったものだそう。バカみたいと言ってごめんな、バカみたいだけど。
「だからよ、思い出のスーツなんだ…」
悪いやつじゃなさそうだ。
103号室に近づくな、死体があるぞと忠告し俺たちは次の部屋に向かう。
202号室。オーナーの部屋だ。
「黒潮くん、どうしたんだい!そんなホログラムみたいになっちゃって!もしかして…これが今話題のzoom?」
違わい。今話題にしてはもうスタンダードだろ。というか相変わらず見えてるんだな。
「ブフォw」
ブシオはウケてんだかむせてんだか。
オーナー。黄島雹。高校時代からの友人で、一緒に登山部に入っていた。
「オーケー、コーヒー淹れるね。」
おいおい、俺だけにかよ。ブシオには?
「あー足りなかったか、はい、2つ目」
それでいい。
「宿泊客のみんなを広間に集めてくれ、頼めるか?」
我ながらあまりにもテンプレートな推理役のセリフである。遺体が推理とはこれ如何に。
「うん、ちょうどそう思ってたところ。」
流石黄島だ。昔っから全部お見通しってわけだ。
広間。
「このペンションには殺人鬼がいます!って、言ってみたかったでござるww」
やめろ。ざわついてるだろ。
「やっぱりね…103号室に入るなと言われたときから怪しいと思ったわ…犯人は横にいるわよ…その相が出てる」青山…それは俺を疑ってるのか?だとしたらトンチンカンだぞ、俺は殺された側だ。
「で?変なコスプレ幽霊と変態さんの言うことを信じろって?」
青山の真ん前で赤澤は常にキレてる。さっきから怖いんだよなぁ…
「ボクは信じるけどね。」
青山の隣から口を出す白神。
「お、おれ、こんなところにいられません!帰らせてください!!」
お前はテンプレみたいなセリフをポンポン出すな緑川。
「俺が解決する。名探偵金剛寺様のお通りだってわけだ!ハッハー!!」
どいつもこいつもキャラが濃いよ。
まずは現場検証と行こうか。
オーナーがマスターキーで俺の部屋のドアを開ける。
「グロくてショッキングですなwww」
人の死に様をそう言われちゃ困る。まあおっしゃる通りグロくてショッキングなんだが。
「触るな。」
金剛寺がナイフに触ろうとした赤澤に忠告する。
「なんで?あたしの勝手じゃん」
赤澤の逆ギレ。怖いんだよな。
「触ると霊が移るわよ…」
青山、移るも何もここにいるんだがな。
白神は顔を抑えている。やっぱ学者サマでも怖いものはあるんだな。霊は行けてもグロは無理か。だいぶショッキングな光景だろうしな。
「うわー!!!!!死体だ!!!!」
そうだったな緑川、お前には死体の話してなかったし俺が宇宙人に見えてるから初見なのか。
黄島は俺の死体に手を合わせている。
「君ともっと話したかったよ…」
いや横にいるって。
「ん、あぁごめんごめんそうだったね。」
広間に戻る。
とにかく、犯人推理の時間だ。
全員からアリバイを聞こうか。
青山「私は塩と酒を用意して部屋で祈祷をしていました。」
白神「その日取った地質資料を部屋で見ていたね。」
赤澤「温泉行こうと思ってたのに開いてなかったからふてくされて寝てたわよ、ツイてないわね、アタシ。」
緑川「おれはUFOを呼びに外に…!ほら靴もグショグショ…」
金剛寺「俺はスーツを畳んでいたな。毎日同じスーツじゃねぇかって?同じのが何枚もあんだよ。」
オーナー「僕は薬を飲むついでに夜食を作ってたね。広間のカメラに映ってるよ。」
カメラがあるなら「カメラがあるなら先に言えよ。」
思ってたことを金剛寺に言われてしまった。
これで万事解決!と思っていたのだが…
「ごめんね…広間にしかカメラがなくて…ウチカツカツなのよ…。」
黄島!!!!!!お前脱サラしてペンション始めたくせしてカツカツとか舐めとんのか!!!!勝算のある戦いをしろ!!!
「小3の頃からの付き合いだけに…wですなwww」
相変わらずうるせぇブシオ。
「ともかく!俺様は犯人がわかったぜ!犯人はお前だ!黄島!」
金剛寺が叫ぶ。
「私の占いでもそう出ています。」
青山もそうだそうだと言う。
「何故かって?簡単だ。面識があるのがお前しかいないんだよ。黒潮?とか言う髭面の兄ちゃんとな。」
黄島はあたふたしている。そりゃあそうだろうよ。犯人って言われてるわけだからな。
でも…「俺は違うと思う。」
一同びっくり。死人(の幽霊)が犯人(候補)を庇うなんて聞いたことがない。そもそも死人と話せている時点でおかしいのだが。
「なんでか分かんないけど…違うと思うんだ…黄島はこういう事するやつじゃないって…知ってるから。」
「大事な友情ってやつでござる!」
「…そこまで言うならボクは信じようかな。」
意外だった。白神センセーも人の言葉信じたりするんだ。堅物そうなのに。
「じゃあ誰なのよ!」
赤澤はヒステリックを起こしかけてる。
「一旦明日落ち着いて話をしよう。今はショックが大きすぎる。」
「死体の周りで喧嘩するなんて悪趣味でござるよ…」
落ち着いて話すのが一番だ。ブシオの言うとおり、俺の死体を見ながら喧嘩するなんて本当にやめてほしい。
ーーーーー
死んじゃった。
え!?アタシ死んじゃったの!?
もうスーパーモデルできないじゃない!!温泉浸かれないじゃない!!!!
えー!!!!!
「ようこそこちら側へ。」
「ようこそでござるww」
黒潮とか言う髭面のキタナラシーおっさん!そしてよくわからない武士オタク!!煽りに来たのね!!
ムカつくわね…。
「こうなったら意地でも犯人を探すわよ。」
復讐に燃えるクイーン・アカザワの目は鋭く尖っていた。
部屋にまた一同を集めてやったわ。
「次はおれなんだ…次はおれなんだ…おれも宇宙人にされちゃうんだ…」
さっきからオタクのボウヤが歯がガタガタ言わせてるのよね。
「だから宇宙人じゃないっての!何度説明したらわかるの!アタシはアタシよ!」
「まあ見えてるものが全てだろ、訂正は無意味だ。」黒潮のおっさんも諦めたみたい。
残りはババア青山、眼鏡の白神、緑川とか言うオタクのボウヤと金ピカの金剛寺、そしてオーナーね。
「アタシが殺されたってことは金ピカの推理は間違ってたってことで良いわよね。責任取ってちょうだい。」
「責任って言っても推理なんて外れるもんだろ。」
ムッキー!!!!!!正当化しやがったわこのガキ!!!!!
だからションベン臭い金髪が似合うってのよ!!!!!
「まあ一旦落ち着け。」
黒潮のおっさん!アンタもさっきからそれしか言ってないじゃない!!アタシのことエロい目で見てたの知ってるんだからね??
というかアンタは夜中何してたのよ!!幽霊なんだから夜に出るもんでしょ!!!
「寝てた。」
このおっさんが…!!!!!体力がない…!!!
「だって仕方ないだろ。眠いんだから。」
「生活習慣でござる!ww」
まあいいわ、犯人を見つけて未来永劫祟ってやるんだから。
ーーーーー
一旦2日目のアリバイを整理しよう。
赤澤が俺と同じように殺されたってことは連続殺人だったってことだ。
青山「き、昨日と同じく部屋でお祈りを。」
緑川「おれは寝てた…かな…」
オーナー「昨日は金剛寺くんと白神くんと徹夜でテレビゲームをしてたよ。怖かったからね。カメラにも映ってる。」
赤澤「インドア派が多いわね…」
「で、久しぶりに晴れたわけだが」
金剛寺が言うには、大雨で電話線が破損し固定電話が使えず。そしてバスの連絡路は橋が倒壊して使い物にならないらしい。
本格的にミステリになってきたな。
「幽霊がいることを除けば…ですかな?w」
お前ッ…!俺の台詞を取るな。
「まずは現場検証からだろ。」
金剛寺は探偵の自覚があるようだ。
「推理も間違えてたのによく言うわね。」
赤澤お前さぁ…。擦りすぎだ。スクラッチくじじゃねぇんだぞ。
現場検証の時間だ。
ナイフは俺のナイフを使い回されてるみたいだ。そして傷が2回になっている…
犯人、嫌な奴だな…
「使い回しほど嫌なものはないでござるww食器とかww」
相変わらずやかましい。
「流石アタシ。死に様も様になるわね。」
こちらもやかましい。
「分かったわ。アタシを殺した犯人は眼鏡白神、アンタよ。」
赤澤が叫ぶ。
「違う。信じてくれ。本当だ。」
白神センセーもこんな顔するんだ。
証拠はないのか?赤澤。
「女のカンよ。」
ダメじゃねぇか。
「だってどう考えても怪しいじゃない、推理小説ならこういう無色透明なキャラが一番犯人なのよ。アリバイがあるって言ってたけど、部屋にはそっくりな動く土人形がいっぱいに違いないわ!」
赤澤…漫画の読みすぎだ。
「じゃあボクの部屋に行ってみるかい?何もないよ?」
白神も堂々としすぎている。逆に怪しい。
うーむどうなんだ…
今日は考えるのをやめて、ひとまず眠りにつくことにした。
赤澤「アタシは寝ないからね!!!!」グー…
ーーーーー
はっはっは…
次はまさかのボクか。
残念だなぁ。
せっかく黒潮クンを見つけたのに。
あんなに都合のいい人、もう二度と見つからないだろうな。
あー、二度とはないんだったな。残念。
ーーーーー
やっぱり次おれだったんだ〜!!!!!!
でも死ぬまでに宇宙人見れたからいいや!
せっかく宇宙人になれたしサークルのみんなに自慢しよ〜!
ーーーーー
「えっアンタも死んだの?」
びっくりする赤澤。
そりゃそう。俺たちもビックリだ。なぁブシオ。
「人が死ぬことに慣れちゃダメでござるよ…」
どうしたんだ?元気ないじゃねぇか。
「あー、もう隠す必要もないか。そう言えば黒潮クンさ。」
なんだ白神センセー。疑ってごめんな。
「黒潮クン殺したのボクなんだよね。」
は?
「やっぱりアンタじゃない!!」
赤澤が激怒する。
「それは違うんだ、信じてくれ。赤澤サンを殺したのはボクじゃない。」
白神センセー、それってどういう…
「やっと宇宙人になれたぞー!!!!!」
うるさいのがこっち側に来た。
「宇宙人になるってこういうことなんですね!!!!!!魂で理解しました!!!!」
そうだな、魂で理解したというか魂しかないというか…
「アンタ雰囲気ぶち壊しすぎなのよ!というか同じ日に二人も死んでたのね!?」
これにはさすがに赤澤に共感だ。
後の犯人候補は青山と金剛寺とオーナーだけだ。
アリバイを聞こうか。
青山「わ、わたしは日々の祈祷を欠かさずに…。」
金剛寺「アリバイなんて聞かなくていい。オーナーか青山が犯人だろ。というかオーナーが怪しいって睨んでたんだ。ちなみに俺は相変わらずスーツを畳んでアイロンかけてたぜ。」
オーナー「私は…やめてくれ。もう話したくもない。やめろ。」
もうみんな精神が限界でぐちゃぐちゃみたいだ。
今日はもう推理はやめて、今日は気分転換にみんなで祠でも見に行くことにした。推理なら死んでからでも話せる。
と、思っていたのは俺たちだけだったみたいだ。
ーーーーー
次の日。
青山が首を吊った。
遺書があった。
「赤澤さんごめんなさい、犯人は私なんです。あなたにイラッときた、傍若無人な若さが嫌だった。私には無いものが欲しかったの。
白神さんも、緑川さんも。巻き込んでしまってごめんなさい。」と書き残して。
青山の霊はどこにもいなかった。
気配すらなかった。きっと霊にすらなってないのだろう。
普段騒がしい幽霊組も、一言も喋らなかった。
ただ、風と日差しが窓を叩いていた。
「これで事件は解決…ってことか?真犯人さんよ」
金剛寺が口を開いた。
黄島は違う、違うと頬を掻いている。
こんなはずじゃなかった、と
次の日。
金剛寺は撲殺されていた。
「ハッハー!!!!!やっぱり真犯人じゃねぇかァ!!!!!!」
金剛寺は問い詰める…が
黄島は何も答えない。
ただ一人でポツリ、と。
「知らないんです。黒潮の事件も、赤澤さんの事件も、白神さんと緑川くんの事件も。」
「金剛寺くんを殺したのは私です。黒潮があの世で寂しくないように。」
「私もそっちに行けるかな、黒潮。」
「みんな『何か』が見えてたようだけど、ずっと私には黒潮の幻覚しか見えてなかったよ。」
「黒潮。黒潮。黒潮。あの世で元気してるかな。今そっちに行くからね。」
ーーーーー
「で?結局アタシを殺したのは誰なのよ、この際ウソつく必要ないでしょ。」
赤澤が最初に口を開いた。
ブシオはさっきから静かに泣いている。珍しいな。
「ボクじゃない」
白神は全て話した。ボーリング調査はこんな軽装備ではできないこと、人が入りそうな筒の中にはホルマリンがたっぷり入ってたこと。俺の遺体を持って帰りたかったこと。
「宇宙人になれて良かったじゃない、宇宙語勉強しようよ」
緑川は相変わらず霊を宇宙人だと思っている。
「俺様に見えるか?」
あそこまで探偵ごっこを楽しんでいた金剛寺が嘘をつくとは思えない。まだまだ若いため、童心を持っていたのだろう。
「じゃあ消去法で青山じゃないか?黄島は知らないって言ってたしな。自殺したらきっとこちらに来れないんだろう。」
俺の推理はきっと当たっていると信じたい。
ーーーーー
「黒潮さん。」
誰だ?お前は。
「私は祠の神。お参りに来てくれてありがとう。」
あぁ。あの祠の。
「一度だけ、やり直すチャンスをあげましょう。」
やり直すチャンス?貰えるものは病気以外なら何でももらうぜ。
「ただし、少しだけ、ですよ。」
少しだけ?うわっ!
ーーーーー
階段を登れなくて困っている俺がいる。
助けに行ってみようか。
「おい、大丈夫か『助太刀致す』」
?
口が勝手に…おいおいこれじゃあブシオじゃないか…
「何してくれるってんだ、武士のあんちゃん」
武士?何を言ってるんだ?
そもそも俺は武士じゃ…
『いや武士じゃないでござるよww』
口が勝手に…
なるほどな。これが「少しだけ」、か。
次は変えてみせる。
ーENDー




