3.侯爵令嬢は状況を整理する
前世思い出す→3人の転生者→状況整理(今ここ)
交流会のあいだ、私たちはずっと三人で対策会議をしていた。
その様子を見ていた母が、
「本当に楽しそうね」と泣いていた。
今まで本当にごめんなさい。
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ユイナが当然のように言ったのは、この世界の“常識”だった。
「この世界、魔法あるやん」
「あるんや」
これ、私は初耳だった。
どう記憶をたどっても出てこない。
あとで父母に問いただそう。
ただし、私たちに備わっているのは派手なものではないらしい。
水を出す。
火を起こす。
風を通す。
聞けば聞くほど生活インフラである。
「騎士団長級とか聖女級とか、そういうのは別枠やな」
「つまり私らは普通」
「普通上等や」
今までゼロだったのだ。
プラスになっただけでも十分である。
■
数日後、私は両親にそれとなく確認した。
「魔法って、どの程度のものなんですか?」
父と母は顔を見合わせた。
「……いつか言おうと思っていたのよ。」
母が小さく言う。
「魔法のことを知らなければ、学園に出さなくてもいいと思っていて」
ええーー
「本当にいつか言うつもりだったのよ」
父は悪びれもなく、
「侯爵家の娘なのだから、魔法がなくても困らないだろう。学園に行かなくても……」
と続けた。
母も横で頷いている。
いや、頷かないでほしい。
仮にも未来の国母候補にそれはだめだろう。
この人たち、本気で私を箱に入れて育てる気だったらしい。
■
交流会後、彼女らを見送った後、すぐに状況は変わった。
届いたのは大量の本と、家庭教師の手続き。
妃候補としての教育が始まるらしい。
淑女教育、語学、歴史、魔法基礎。
学園の教育以外にもやることがたくさんあるらしい。
次々と入れ替わる教師たちの中で、三人は情報を共有していた。
「○○先生、ちょっと嫌味やった」
「この先生、手を叩くタイプやな」
「なんか形式ばっかりの教え方やな」
それすらも、記録していく。
そこで自分たちが対策できそうな課題をみつけ積み上げていった。
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苦手意識がそうさせたのか、妃教育の中で一番の難関はダンスだった。
前世では運動は嫌いではなかった。
だが、踊るのは別である。
優雅に歩きながら回る。
笑顔を保つ。
相手の足を踏まない。
全部同時にやる。
意味がわからない。
足は痛み、靴擦れもできた。
そんな頃、二人から手紙が届く。
『負けられへんわ(笑)』
どうやら向こうも同じ目に遭っているらしい。
それだけで少し元気になった。
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そして、王都へ移る日が来た。
父は仕事の都合で同行し、
母は領地を離れられず見送りだけだった。
「本当に行ってしまうのね」
母の顔は少し寂しそうだった。
後ろ髪を引かれる思いで、馬車に乗る。
「休みにはすぐ帰りますし、お手紙も書きますね」
ようやく父母と顔を合わせて話ができた気がする。
3人の対策会議の答え合わせができるのが楽しみだ。
3人の対策会議の答え合わせを次回で行います。
妃教育の間、3人がしてきたことは何だったのか。私も楽しみです。




