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雨は降っているのに
12時を過ぎたあたりで、止まった。
さっきまで、確かに動いていた流れが、
すっと消えた。
雨は強い。
むしろ、さっきより降っている。
それなのに、鳴らない。
駅前にいても、手は上がらない。
アプリも静かだ。
おかしいな、と思った。
雨やぞ。
今までなら、これで乗っていた。
だが、違った。
人はいる。
傘も差している。
だが、乗らない。
そのまま歩いていく。
ここで、気付く。
――冬とは違う。
一月に仕事を始めたばかりの頃、
同じように天気が崩れた日があった。
あの時は、理由なんかいらなかった。
寒い。
足元が悪い。
それだけで、乗った。
客は、自然に流れてきた。
だが、今日は違う。
寒くない。
雨でも、歩ける。
だから、乗らない。
必要な人しか、動かない。
観光地も同じだ。
動きがなければ、横に流れない。
東山が静かなら、横に流れない。
兼六園が止まれば、駅にも戻らない。
発が無ければ、回らない。
シンプルな話だった。
観光が沈めば、こっちも沈む。
冬は違った。
全体が動いていた。
今は違う。
動くのは、一部だけだ。
メーターは、静かなまま。
外では、しっかり雨が降っている。
条件は揃っているはずなのに、
動かない。
その理由が、やっと繋がった。
――季節が違う。
それだけの話だった。




