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葬送のレクイエム──亡霊剣士と魂送りの少女【小説家になろう版】  作者: 深月(由希つばさ)
外伝(第7章)──褐色の天使と無垢な悪魔

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エピローグ──決戦前夜(後編)

挿絵(By みてみん)


「…………エマ。……エマ、」



 肩を揺さぶるクロードの声で目を覚ました。


 リビドの郊外(こうがい)にある酒場だった。カウンターのロックグラスの氷はとっくに溶けて、色の薄い液体になっている。隣にいたはずの商人は、もうどこにもいなかった。


 クロードはさらさらとした銀髪の下、むっと眉根を寄せた。



「こんなところで酔いつぶれるなんて不用心な……」


「ク、クロード様!? いつからここに……ア、アスター・バルドワルトと一緒にいたんじゃ?」


「夜中に抜け出してきた。おまえがいつまで経っても宿に戻る気配がなかったから」



 らしくないな……と眉をひそめる。その様子に、エマの胸が小さく鼓動を打った。


 こんなとき、エマは秘かに錯覚したくなる。クロードが自分を本気で心配してくれているのではないかと。


 ともに過ごした二年間──クロードは、エマの中の何かを変えた。



「報告を聞こうか」


「は、はい」



 隣に座ったクロードにエマは慌てて居住まいを正した。


 そうして足枷付きの少女に関するエマの報告を聞き終わると、クロードは宿に戻ると言って席を立った。エマも影のように付き従う。


 夜明けを待って凍える石畳をふたりで歩く。空は早くも朝の訪れを予感させて白み始めていた。

 ふと、エマはクロードの背中に声をかけた。



「……クロード様、」


「うん?」


「私は確かにルリアのためにここまで来たけど、でも、今はそれだけではありません。……あなたとは運命共同体だと思ってますから」



 ──それがエマにとってどんなに大切な言葉か、クロードはきっと一生知ることはないだろう。

 それでも、振り返ったクロードはふっと笑った。



「…………そうか」



 その表情が満足げに映ったのは、エマの気のせいかもしれなかったけど。

 リビドの町に、朝が訪れる。

 それが最期の日になろうと、エマはきっと後悔しない。


 ルリアとクロード──

 自分の大切なもののために過ごす一日なのだから。



(『葬送のレクイエム(外伝)』──完)




(※『葬送のレクイエムⅡ──不死鳥の巫女と殲滅(せんめつ)のつるぎ』へ続く)



※※作者より※※


ご愛読、本当にありがとうございました(*´ω`*)


明日(元旦)から

「第Ⅱ部──不死鳥の巫女と殲滅せんめつのつるぎ」を開幕します。


1/5(日)まで毎日更新しますので、

よろしければ遊びにきてください^^


2024年、本当にありがとうございました。


みなさまにとって、

素敵な2025年になりますように。

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