交差する記憶
まてよ、それじゃあ俺って...!
「なあおっさん、ちょいと腕相撲しねぇか?」
「やめとけやめとけ、その力じゃ腕おっちまう。そっちの嬢ちゃんとやってみな。」
「わかりました...と、この箱、借りていいですか?」
「おう、そこの勇者に思い知らしてやれ。
どれだけ力がないかを。」
「わかった、さぁこい!手加減はしない!」
「私とて、加減はしません!」
結果は惨敗だった。まさかこれほどまでに俺が弱いとは。
「こりゃあそうとうなレベル上げをしないといけねぇぜ、武器もいいものをつかわねぇとなぁ。」
「そうだなぁ...とりあえずその魔法鉄のナイフを買いたい、今の俺にはそれを使うしかないらしいからな。」
「では、私の装備も整えてみてはどうでしょう!私が強くなって勇者様と共にレベル上げをしやすくなりますよ!」
「それもそうだな。ラルカの装備も銀貨二百枚ほどで見立ててくれ。」
「わかったぜ、しばらく待っててくれよな。」
確か一時間ぐらいたっただろうか、時間で言うなれば昼の一時あたりだろう。
おっさんに呼ばれたから多分、仕立てが終わったんだろう。
「なぁおっさ」
「ちょちょちょちょっと待って下さい!」
「おいおいあんちゃん、それは無謀ってもんだぜ?」
あぁ俺、多分この世界でまともに生きれねぇわ。
「__い...____おい...おきろぉ!」
「すみませんでしたぁ!!!」
「もう大丈夫ですから!そんなに気に病まないでください!」
「本当にすまない!本当に!」
「いやいやもう大丈夫ですからぁ!」
そんなやりとりを多分一時間は過ごしていた。本当に申し訳ない。
「それじゃあ行ってくるぜおっさん、このナイフありがとうな。」
「まてまて、まだ装備してねぇだろ。
どうせあんちゃんのことだからしらねぇんだろうから教えてやるよ。
ステータスのコマンドの上に装備ってあるだろ?それを押してだな...」
「大丈夫だ、細かいの以外だったら大体確認したからその装備欄の存在なら知ってるしヘルプにも書いてあった。ありがとうな、気持ちだけもらっておくよ。」
「お、おう。だいぶ大人になったな、あんちゃん。それじゃあ行って来な。」
「最後にさ、本屋ってどこにあるか知ってるか?」
「本屋か、そこの通りを曲がって右だ。どうしてまた?」
「どうにも、俺の武器Lvが足らないらしく装備ができないんだ。」
「なるほどねぇ...おい、短剣自体は武器Lvが1でも装備可能だぞ。」
「それが...勇者様は武器Lvが0のようで...」
「全てか?」
「はい...」
「そんなわけだ、色々やってて時間もないからもう行くよ。ほんと色々ありがとうな。」
「何言ってんだあんちゃん死ぬわけでもないのによぉ。それに贔屓にしてもらうんだ、色々やるさ。」
「ありがとうな、それじゃあまたくる時まで。」
「ありがとうございました!大事に使います!」
「おう!頑張ってこい!」
あぁ、行ってくる。名前も知らない優しいおやっさん。また、必ずくるぜ。
「それじゃあラルカ、本屋に行くか。」
「わかりました、道は覚えていますか?」
「あぁ、そこの通りを曲がって右だろ?」
「はい!それじゃあ行きましょうか!」
全く、こんなにいい子に会えてその上いい武器屋といい関係を築けているんだ、仲間は多い方がいいがこういうのも悪くはないだろう。
「どこまで行ってるんですか!つきましたよ!」
「そうか、すまない考え事をしていた。それじゃあ外で待っててくれ、買うもの買ってかえってくるから。」
「わかりました、それでは。」
ここが本屋...かぁ。貯蔵量は中々あるな...と、
「なぁばあさん、修練の書っていうのはあるか?」
「あるよ、レイから話は聞いてある。
あんたが欲しいのはこれだろ。」
そこには[短剣の使い方]と表紙に書かれた本があった。また随分とそのまんまだな。
「それが短剣の武器Lvを上げれるものか、ところでレイってのは誰だ?」
「ん?あいつが自分の名前を言わないなんて珍しいねぇ。レイってのはあんたが行ってた武器屋の店主さ。騙されんじゃないよ、あいつがしてる左目の眼帯は(これの方が鍛冶屋っぽいだろ?)と、つけてる眼帯だから。心配なんて間違ってもしちゃいけないよ。」
マジか、あれって見た目を重視してたんだ。
「そうそう、この本代金はいらないよ。
そもそも一冊銀貨八百枚さ、あんたらもう百枚ないんだろ?代わりになんだが、この袋を[ムーゲル村]の村長のとこまで持ってってくれ。息子への手渡しは恥ずかしくてねぇ。」
「了解した、それじゃあありがたくこれはもらう。そしてこの依頼もきっちりこなす。」
「助かるねぇ、それじゃあはい。これは読んでも文字はわからないと思うわ。でも安心して、使う、使わないって表記が出るはずだから、使うに意識を持っていって手で触れたらもうそれは理解できるようになってるはずよ。」
「何から何までありがとうな、ばあさん。それじゃあ行ってくるよ。」
「えぇ、行ってらっしゃい」
「んーと、これか。使う使う...あったあった。」
中身はよくわからなかった、多分みんな知らないんだろう。だから別にこれといって深くは考える必要もないだろう。
そんなことよりも早く行かなくては。
「ラルカすまない、待たせてしまったな。」
「いえいえ大事ありません。ところで、ナイフは装備できるようになりましたか?」
「あぁ、少し重いがな。」
「それは普通とても軽いはずなんですけどねぇ。」
とかそんな他愛もない話をして、城門から外に出た。
やっぱりラルカは王族なのだろう、周囲の対応が明らかに違う。滅多にない経験だ、大事にしよう。
「ここで、レベル上げをするのか?」
「はい。手前の方は他の勇者様たちが戦っていたので邪魔するわけにはいきません。」
それもそうだ。
「なぁ、この可愛いスライムみたいなのが魔物なのか?」
「はい。可愛い見た目のせいで子供たちが何人も怪我をさせられてしまうほどには暴れています。一匹一匹は大して強くありませんが集団になると猛威を奮います。早急に、一匹一匹確実に仕留めていくのが宜しいかと。」
「わかった、それで行こう。行くぞ、ラルカ!」
「わかりました!」
魔法の金属で作られた武器は精神力の一部がダメージに加算されるらしいが実感がない、というかこいつら強くないか!?
まずい、リーチが把握できていない。
でも徐々に掴めつつある、これでどうだ!
「よし、一匹やっつけたぞ...」
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EXP +2
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視界上に出てきたこの数値と文字、異世界に来たんだって実感が湧いてくる!
さぁどんどんこい!大量に倒してレベルをさっさとあげてみせる!
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「日が沈んできましたので、今日の分はそろそろ終わりにしませんか?」
気がつけばもうすぐ夜だ、時間ってのは経つのが早い。
「そうだな、レベルも3に上がった。ナイフの武器Lvももう5だ。ラルカの方はどうだ?」
「私は既にレベルは11ありますので、もらえるEXPは0でした。」
「...すまない、ラルカ。」
「問題ありません、勇者様のレベルが早く上がればその分魔物の襲来や、より敵のレベルが高いところに行くことができます。」
「確かにそうだな、ところでこのスライムから取れた皮とか水分って売れるのか?」
「売れないこともないですが相当安いです。それよりも、これを置いておくことにより他のスライムたちがこれを食べて数を増やします。そちらの方が生態系も崩れることはないので冒険者達に推奨されています。」
「そうかぁ、ならこれは置いていくか。」
今日は一日疲れた、慣れない戦闘に慣れない多くの人との会話、今日はもう宿屋を取って早く寝よう。
「なぁラルカ、ここの宿とかどうだ?」
「んー...ここよりあちらの宿はどうでしょう?あちらの宿の方がベットがいいらしいですよ。」
「ならそっちにするか。」
王城のベットと比べるのは意地悪だろうが致し方ない...あれは相当心地よかったからなぁ。
「あんた、店主か?」
「はい、勇者様。お部屋はいくつがよろしいでしょうか?」
「部屋はふた...」
「部屋は一つでお願いします!」
「わかりました!ではこちらが鍵となります!」
「よかったのか?ラルカ。」
「極力お金の消費は抑えませんと、あと銀貨四十枚程度しかなくなってますので。」
それもそうなのかぁ...
「それよりもご飯を食べましょう!一階にご飯が置かれてるらしいですよ!」
「そうだな。」
あぁ、なんか頭が回らない...相当疲れているんだろうな。早く食べて寝よう...。
「美味しいですね、勇者様。ところで、お酒って飲みますか?」
「俺は...酒は飲まないかな。すまない、早く食べてお風呂に入って寝るよ...すまない。」
「わかりました。残念ですね。」
「すまないな、ラルカ。」
「大丈夫ですよ、勇者様」
「それじゃあおやすみ、ラルカ。」
「ええ、おやすみなさい。勇者様...」
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「やぁ、調子はどうだい?文也くん。」
お前は...!
だが、声が出ない。それに、動くこともできない。自分の体勢すらもわからない...。
「どうやら気づいたようだね、君がなにもできないことに。君に一つつたえわすれたことがあったから来たんだ。君は...いや違うな。ネタバレは面白くない、けれどもヒントをあげて必死になって動く姿を見るのも面白い。」
なに言ってんだこいつ...ことが一つ一つが浮いているようで、重みがある。
「世界は、世界に問うことになる。なにを犠牲とし、なにを得るか。君は強欲で貪欲に世界を守るのか...謙虚で無欲に世界に抗うのか、それとも類を見ない...初めての方法で僕に刃を突きつけるのか、楽しみにしてるよ...」
どういうことだ...なぁ...おしえてくれよ...!
「さぁ、起きるんだ。世界の救世主、文也。
ぶっ飛んでるとは思うけど、いずれは分かることさ。それはそう遠く無い先...........達..が.........ほら、..........な。」
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